

Interview:ニック・ムーン
——今回、ソロライブを初めて観たのですが、ビートメイカーやパッドサンプラー、ミキサーなどを巧みに操る姿に驚きました。カイトでもシンセは操っていましたが、複数の機材を同時に操作しながらの演奏を、いつの間にどうやってマスターしたのでしょうか。 今も勉強中で、マスターはしてないんだけど(笑)。ここ数年、エレクトロ系の機材を揃え始めていて、特にエイブルトン社のLiveというDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトを導入してからは、それをベースに構築してる。やっぱり、ライブでリアルタイムに操作するのにLiveは向いていると思うんだ。感覚的に操作できるからね。それと、ライブのパフォーマンスとして、観ていて面白いものにしたい。僕が機材を操る様子を観て、オーディエンスが楽しんでくれるようなステージングを目指しているんだ。 ——ミキサーのクロスフェードを切り替えるところとか、DJ並みのスピードとリズム感でした。おそらくそういう操作って、鍵盤に向かうのとは全く発想が違うと思うのですが、それが曲作りにも影響を与えていますか? 例えばミキサーのツマミを、様々なエフェクトにアサインできるから、曲ごとに色んなセッティングが可能になってくるんだよね。ツマミをどう動かすかで、いくらでも楽曲をクレイジーには出来るんだ(笑)。でも、結構複雑なことをやっているようで、仕組みそのものは理路騒然としているから実はとても楽なんだよ。うまく説明しづらいのだけど。とはいえ、機械だから何かしらのエラーやミスが起こりうる確率は結構高いので、この手のパフォーマンスは楽器よりもリスクは大きい。 ——その予測不能なところをどれだけ楽しめるか、それも含めての「ライブ」なんでしょうね。 うん、僕もそう思う。プレライブもとても楽しかったよ。ふた晩やって、1日目は全て予定通り順調に進んだ。2日目はちょっと技術的な問題があったのだけど、でもああいう暖かい雰囲気の中で「見直すべき箇所」を確認できたし、自分にとってはいい経験になった(笑)。 ——オーディエンスの反応はいかがでした? すごく良かった。しばらくステージに立っていなかったから、ライブそのものがどんな感じになるのか全く予想もつかなかったのだけど、とても親密な雰囲気だったし終演後に様々な感想をもらえた。ライブ中のことで印象に残っているのは、みんなが体を動かしながら聴いてくれたことかな。カイトの時は、割とゆったり目の曲が多かったから、みんな立ち尽くしたような感じで聴き入っていてくれたじゃない?(笑) その違いはとても面白かったよ。 ——カイトのメンバーとして複数人で演奏するのと、たった一人でステージに立つのとはどんな風に違いましたか? とても不思議な気分だった。バンドの時は、僕だけじゃなくて他のメンバーのこともオーディエンスは観ているけど、ソロだと僕しか観てないわけだから(笑)、かなりナーバスな気持ちになったよ。あと、今回みたいに何かトラブルがあった時、バンドだとメンバー同士で励まし合うことができるけど、一人だと孤独になってしまうこともあるからね。ただ、それも含めてチャレンジングだとは思ってる。 ——孤独なぶん、ソロは圧倒的に自由ですからね。今のニックには、目指すべき指標というか、ロールモデルのような存在っていますか? そんなこと、今まで聞かれたことなかったな。うーん、すんなり出てくるかと思ったら、なかなか出てこない。(日本語で)ムズカシイデス! ——(笑)。子供の頃は、目標にしている人っていました? 子供の頃は、例えばレディオヘッドやシガー・ロスなど、好きなミュージシャンを目標としていた。何かを生み出す人に憧れるんだ。人間は誰しも、自分が生きていた証のようなものを残したいと願うものだよね。この先レディオヘッドやシガー・ロスが解散して、この世からいなくなったとしても、作品は残り続けるだろうし、それが遺産になると思う。さておき、大人になった今は特に目指すべきロールモデルっていないのかも知れない。 ——「トム・ヨークが目標です」とは……。 今となっては言い難いね。子供の頃から目標にしていた人たちって、長い間自分の中に住み着いていたから、ある意味では「家族」みたいな気持ちになっちゃうのかも。「公的な有名人」ではなく、「昔馴染みの親戚」というか。でもさ、母親や父親は、ドライブに連れて行ってくれたり時折お小遣いもくれたりしたけど、トム・ヨークにそんなことされた記憶はないからな(笑)。



INFORMATION
Nick Moon初のソロ・アルバム『CIRCUS LOVE』 発売記念!

RELEASE INFORMATION
CIRCUS LOVE
2018.04.11(水) ニック・ムーン ¥2,200(+tax) Sony Music Japan International(SMJI) [amazonjs asin="B078XXZJPK" locale="JP" title="サーカス・ラヴ"] 詳細はこちらEVENT INFORMATION
ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES & YAMS」
2018.06.07〜全国22公演 オープニングアクトとして出演 詳細はこちらCopyright (C) Qetic Inc. All rights reserved.