

原点:台湾ミュージックのTSUTAYAを作るには?
「台湾インディーズ音楽カオスマップ」の制作をはじめた原点には、「台湾ミュージックのTSUTAYAみたいなのを作りたい」という小さな野望があります。地方出身の私にとって、音楽文化への理解を深める最初の接点は、TSUTAYAでした。
メディア情報からデータベースを作る
「台湾インディーズ音楽のTSUTAYAをつくる!」という野望をブチ上げたものの、すぐに作れるわけではありません。私がはじめに行ったのは、情報の収集です。幸いにも、これまで台湾音楽関係のイベントや書籍、また自サイトの企画などで収集したアーティスト情報があり、それらを頼りに、エクセルで簡単なリストを構築しました。
泥臭く一次情報をあつめる
メディア情報の収集と平行して行ったのは、一次情報の収集です。これは台湾の音楽に限りませんが、メディアで紹介されるインディーズアーティストはごく一部です。言語障壁やビジネス障壁がある海外の音楽では、その傾向は強くなります。しかし、紹介されていないアーティストの中にも、才能のアーティストがいることを、ご存じかと思います。 そこで(1)一般投稿を受け付けるアンケートフォームを設置する (2)日本と台湾を行き来する現場の方に取材する、という2点に取り組みました。前者では多くの方に協力を頂き、アーティスト情報だけではなく、おすすめコメントや、台湾音楽の発信について思うことなどのフィードバックが集まり、企画を進行していく上で学びが得られました。現場の方への取材では、ミュージシャン、サウンドエンジニア、音楽ジャーナリストの皆さんにお話を伺うことができました。知識や経験をお持ちの方に相談をすることで、アーティスト情報はもちろんのこと、より具体的な相談もでき、企画の質を向上させることができました。 泥臭く情報を集める、話を聞く、そしてそれをコンテンツに落とし込む。これは私がずっと大事にしている考え方です。これらの取り組みの結果、最終的に約200アーティストの情報を収集できました。【中間報告】#台湾インディーカオスマップ 🇹🇼
— 中村めぐみ / ぐーちゃん (@Tapitea_rec) October 31, 2020
台湾のインディーズ音楽を攻略するマップを鋭意制作中🎈
現在、150ものアーティスト情報をあつめました。
12月の完成まで、もうしばらくお待ちください✨
▼まだ載っていないバンドを推薦する(誰でも参加🆗)https://t.co/LVMBamK302 pic.twitter.com/NPqLVKg7Kw
テクノロジーを活用する
アーティスト情報が充実したところで、実際のマップの制作に入りました。 マップの制作で意識していたポイントは、 (1)文字情報だけでなく、アーティスト写真を使って、映えるようにする。CDジャケットが並んでるイメージで。(まさにTSUTAYA!) (2)検索しなくても音源を聴ける仕組みにする(中国語名で音源を検索するのが手間であると考えられるため) この2点です。 今回の目的は、単に「マップ作りました!ドヤ!」とすることではありません。「マップを見た人がすぐに音源を聴けるようにする」というレベルまで作りこめてこそ、TSUTAYAのような体験を見た人に届けられると感じたからです。 しかし、(1)はできたとしても、(2)はどうすればできるのか、自分の知恵では見当がつきませんでした。そこで、台湾音楽好きのエンジニアの深谷 泰士さん(@tai_fukaya)に相談をすると、「Miro」というツールで実現できそうなことがわかりました。 Miroは、世界の有名企業でも取り入れられているオンラインホワイトボードツールです。文字を書き込むだけではなく、画像を入れたり、リンクをつけたりもできるとのこと。不安がないわけではなかったのですが、今回はMiroに賭けることにしました。

価値を届ける
さまざまな経緯を経て、マップが出来上がり、12月30日に、私のブログメディア「Tapioca Milk Records」で公開しました。記事をTwitterでシェアすると、多くの方に拡散頂き、これまでに行った企画で一番の反響をいただきました。さらに多くの方にこの地図の価値を多くの方に届けるために、プレスリリースを作成し、音楽・カルチャーメディアさんにお知らせすることにしました。(私は本業では広報の仕事をしています) プレスリリースは、先行事例を参考に文章を作り込んでいくのが一般的です。しかし、今回はインディーズ音楽×カオスマップという前例のないプロジェクトであり、プレスリリースの書き方には悩みました。そこで、音楽業界のプレスリリースではなく、「カオスマップ」という文化が生まれたデジタルマーケティング業界のプレスリリースを参考に、文章を作りこみました。 すると、多くのメディアさんから反響をいただくことができ、さまざまな切り口で取り上げていただけました。この結果、某大手音楽フェスティバルのイベンターさんにも情報が伝わっていることを確認できました。プレスリリースに添付したSpotifyのプレイリストも、マップの公開から1週間で100人に到達し、今も増え続けています(この記事を書いている時点で160名超)。集合知で顧客体験をモダナイズする
今回は(1)過去の情報を集める(2)取材をして一次情報を集める(3)テクノロジーを活用する(4)価値を届ける、という4つのプロセスでマップを制作いたしました。 どのステップにおいても、私一人の力では実現できないものだったことをお分かりいただけたかと思います。 私は、台湾の音楽関係で面白そうなことを企画して、情報を広める企画を打つのは得意です。しかし、その他の知識やスキルには欠けている部分があります。このプロジェクトを通して学んだのは、周りの方の協力と応援を頂ければ、前例のないものをつくり、これまでよりも多くの方たちに広めることができるということです。 もしあなたにも、広めたい世界や音楽がある場合は、一度周りに相談して、その形を作ってみませんか? 私は、台湾に限らず、詳しい人のおすすめから音楽を聴くことが好きです。これを見た方が音楽地図を作り、多くの音楽情報に触れられる日を、楽しみにしています。Special Thanks:「台湾インディーズ音楽カオスマップ」制作にあたりお世話になったみなさん
いつも周りで背中を蹴飛ばしてくれるみなさん 一般投稿にご協力いただいたみなさん 早川徹さん(東京中央線) 劉堅白さん(Dope Purple) 笛岡俊哉さん(AKNIT) MADZINEさん(サウンドデザイナー) Brien Johnさん(音楽ジャーナリスト) 深谷 泰士さん(ソフトウェアエンジニア) UROROS 編集長 北原さん BELONG Media 編集長 矢部さん DIGLE MAGAZINE 編集部の皆さん Qetic 編集部 桑原さん みなさま、お忙しいなか、当マップの制作、拡散にご協力いただきまして、 どうもありがとうございました!TEXT by 中村めぐみ
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