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FAKY・Hinaのチェキさんぽ。おいものチップスを食べに川越をぶらり旅

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ゲストを迎え、チェキとともに“ゆかりの街”を歩く連載シリーズ「チェキさんぽ」。第42弾は、5人組ガールズ・ユニオンFAKY(フェイキー)のメンバーであり、大人気の恋愛リアリティーショー番組『月とオオカミちゃんには騙されない(以下、オオカミちゃん)』への出演で注目度急上昇中のHinaさんが登場です。今回訪れたのは、「小江戸」の愛称で親しまれる人気観光名所の川越エリア。普段のクールなアーティストイメージからは少し意外な風情あふれる街並みを「“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック(以下、mini90)」と一緒におさんぽしながら切り取ります

Hinaのチェキさんぽ “歩いているだけでも楽しい”

「川越には、『小江戸おさつ庵』のおいものチップスを食べに来ました(笑)!上京してから観光っていう観光をしたことがなくて、一回メンバーとどこか遊びに行こう!って話しながらInstagramでいろいろ調べているときに川越のおいもチップスが出てきたんです。そこからずっと食べたいなって思っていたのですが、なかなか来られなくて。今日やっと2年越しに来られてうれしいです! レトロなものも実はけっこう好きです!川越は、ふだんなかなか見かけないようなものがたくさんあって、歩いているだけでも楽しいですね。」

「ちょうど1年前の2018年に現在活動しているFAKYっていうグループに加入したのですが、そこからの1年間はとにかくついていくのに必死でした。そこから『オオカミちゃん』に出演させていただくことが決まって、一気に環境が変わりました。グループで活動をしていると一人で仕事をすることがあまりなかったし、初めてのレギュラー番組ということで最初は不安だったのですが、メンバーが支えてくれているのもあって、今は本当に自分の素の部分を出す場所とグループを表現していく場所、2つを同時進行でがんばっているからすごく大変だけど、すごく新鮮です。」

川越氷川神社

「うしろに鳥居を入れて自撮りしようとしたんですけど、鳥居が大き過ぎてちょっとしか写らなかったので、鳥居だけ撮影しました。この写真は好き。天気が良くて、空がすごくきれい。」

「境内の椿の花を撮ろうと思ったら、寄り過ぎてお花が写ってなかったんですけど、光がすごくいい感じになってくれて。ふだんもお花を見つけたらけっこう撮っちゃいます。」

「人の気とかをわりと信じるタイプなので、この“人形流し”は出来てすごくうれしかったです。なんとなく気持ちがスッキリするし、身体が軽くなった気がする!」

「魚の形のかわいいおみくじ、大吉でした! 大吉なんて久しぶりなのですごくうれしいです。」

「こんなにたくさん絵馬がかかっているのを初めて見ました。今もし自分で絵馬を書くなら、いっぱいいろんなお仕事が出来ますようにってお願いしようかな。」

「こういうのって真面目にやると照れちゃいますよね。ライブで地方とかに行くと空港に顔ハメのパネルがあるんですけど、あれはよくメンバーと撮ったりしています。」 ……Hinaさんのチェキさんぽはまだまだ続く! 「Cheki Press」でチェック!

Cheki Pressで続きを読む!

Hina(FAKY) 1997年2月19日生まれ。京都府出身。「avex GIRL’S VOCAL AUDITION」で約6000人の中から決勝に進出し、小室哲哉さんプロデュースのガールズグループに抜てきされデビューするも、2018年に惜しまれつつ解散。その後、ブランクを経て「FAKY」のメンバーに抜てきされる。ファッション誌やファッションイベントへの出演経験もあり、モデルとしての活躍も期待される。ストレートの黒髪ロングと抜群なスタイルでティーンから支持を集めている。

詳細はこちら

Text by Misaki Nonaka Photo by Kohichi Ogasahara

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トロント・インディーシーンのキーマン、サンドロ・ペリの哲学とは?

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音楽を作るということは自分の想像力に動きをだし、もう少し「リアル」にするということーーサンドロ・ペリ

カナダ/トロントのインディーシーンの最重要人物、サンドロ・ペリ(Sandro Perri)が新作『Soft Landing』を携え、2017年以来となる来日公演を果たす。今回は単独公演に加え、これまで共演経験のあるROTH BART BARRONやKUDANZも出演する山形での「肘折国際音楽祭2020」にも出演することが決定しており、日本のバンド、アーティスト経由で彼の音楽に触れたリスナーにとってはそのセンスや音楽性に通底する何かを楽しめる機会でもある。 サンドロ・ペリ(以下、サンドロ)を一言でどんな音楽家なのか説明するのはむずかしい。トロントを拠点にシンガーソングライター、作曲家、プロデューサーとして活動する彼は、ソロと並行して音楽性ごとにPolmo Polpo、Glissandro 70、Off Worldなど名義を使い分けている。それでいて、サンプリングをベースにしたエレクトロニックサウンドなテイストの本人名義の作品タイトルが『Plays Polmo Poplo』(2006年)であったりするために、リスナーはどことなく「サンドロの作るサウンドや世界観」に信頼を寄せてきた。彼の個人名と作品が結びついたのは2011年リリースの『Impossible Spaces』からだろう。 その後、長尺のタイトルチューンを1曲目に配したアルバム『In Another Life』を2018年に、さらにコンスタントに翌年には『Soft Landing』をリリース。一つのテーマの中で徐々に移ろいを見せる展開は、それがエレクトロニックなサウンドでも、生楽器でもいわゆるポップソングの構造を持たないし、特定のジャンルへの拘泥はない。にもかかわらず、難解さはなく、しっかりと連綿と続いてきたミュージックヒストリーへの愛情が窺えるのだ。 ミックス・エンジニアとしてTurntable Filmsの『Small Town Talk』を手掛けたり、ROTH BART BARRONがトロントでライブを行った際には共演のみならず、ライブPAを行うなど、日本のバンド/ミュージシャンにもファンが多いサンドロ。今回の来日を前に、改めてマジカルな彼のサウンドを紐解くため、ルーツとなっている音楽やコンスタントなリリースの理由などをメールインタビューで問いかけてみた。

interview:サンドロ・ペリ

――今更ながらの質問なのですが、あなたにとって音楽的にもっとも重要なルーツになっている音楽家、アルバム、曲とその理由を教えてください。 答えるのが難しい質問だけど……ここ50年間の中から僕が大好きなレコードをピックアップしてみたよ。
70年代 Gil E Jorge / Gilberto Gil & Jorge Benjor 素晴らしいレコード。 たまたま自然に出会った2人のベテランがお互いの曲を自由に演奏しながら歌っているんだ。ジョルジ・ベンはこのアルバムをリリースするにはあまりにもワイルドすぎると思っていたそうだけど、最終的にリリースすることに賛成してくれてありがたい。
80年代 Peter Zummo / Zummo With An X とても深いサウンドだね。美しい構成とメンバー同士のシナジーにはとても刺激されるよ。何度も聴いているけど、いつも僕を別世界へ連れて行ってくれる。
90年代 Sonny Sharrock / Ask the Ages 僕の“人生を変えた”レコードの中の一枚だね。僕の音楽に対する姿勢を変えくれた。これは“ジャズ”カルテットなんだけどギターがロックのレコードのように重なっているんだ。献身と不敬がお互いに調和しているんだ。ビル・ラズウェルによるバンド構成と演出は天才的だよ。ソニー・シャーロックは僕の“ギターヒーロ“だね。
2000年代 Sparks / Lil Beethoven スパークスは大好きだね。2人とも素晴らしいソングライターだし、とても面白いよ。このレコードは彼らの天邪鬼な性格の中にある純粋な部分が出てきた作品。このレコードには不快で、大げさな “Pro Tools”的な感覚があって、その偉大さがさらに衝撃的なんだ。このレコードは一般ウケはしないかもしれないね!
2010年代 ASA-CHANG&巡礼 / まほう ASA-CHANG&巡礼(以下、ASA-CHANG)の中だったら『花』が一番好きなアルバムだと思っていたんだけど、このレコードはレベルを超えていったね。ASA-CHANGは僕の音楽のヒーローの中の1人だよ。このアルバムを50年後に聞いても先を行っている音楽だ、と感じると思うな。歌詞の翻訳が欲しいよ!
――それらの音楽は今のあなたの音楽にどのような形で生きているのでしょうか。 これらのレコードがどのように僕の音楽に反映しているかわからないな。 僕は好きなアーティストの精神や音楽から学ぶようにしているんだ。これらの音楽をただ聴きながら日々を過ごしているだけで僕の人生をとても良いものにしてくれる。僕が音楽を作る時のゴールは、常に頭の中に浮かんだサウンドを見つけることだけなんだ。 ――前作『In Another Life』がソロ名義では7年ぶりだったことに比べ、新作『Soft Landing』は1年という早いスパンでのリリースとなりました。アイデアや曲がすでに前作の時点で溢れていたのでしょうか。 アイデアは常にあったよ。ただ、スケジュール的に個人的なレコーディングができなかったんだ。2016年に1ヶ月間スタジオを借りて両方のレコードを一緒に制作したんだ。選ぶ曲がたくさんあったんだけど、数年間かけてゆっくり削っていったんだ。 『Soft Landing』に収録されている曲は実は『In Another Life』に入っている曲より古いんだ。 ――『In Another Life』は「終わりなきソングライティングへの実験」をテーマに掲げていましたが、それは例えばタイトルチューンの『In Another Life』が24分の長尺でありつつ、「長い」と感じさせない曲作りを意味していますか?それともまた違った意味でしょうか。 リスナーによって時間の認識が違うというのは面白いことだと思う。「無限」という言葉は、始まり、中間、終わり、といった「弧」がないため、再生時間が長くても曲の性質が変わらないことを意味するんだ。曲の一編、一編がそのように感じるように設計されている。また、誰もがそこに歌詞を書くことができて、それでも曲の性質が変わらないから「無限」なんだ。 ――日本のファンだけでないと思うのですが、あなたの近作をみんな「永遠に聴いていられる」と言います。あなた自身には作曲やアレンジの段階でそういう意図はありますか? 今までもらった言葉の中でも最高の褒め言葉だね。僕の曲制作の意図は音を作るということだけなんだ。そうしたら、僕にも聞こえるからね。滅多にないことだけど、うまく仕上がった長い曲は好きだよ! 他の人に僕の音楽を聴いてもらえることはとても光栄だし、何回も聴きたいって思ってくれることは嬉しいことだよ。 ――新作『Soft Landing』の1曲目“Time”も16分の長尺ですが、前作とは違い、シンセやエレクトロニックな要素は減ったと思われます。むしろトロピカリズモや南米のニュアンスも感じる生音のアンサンブルですが、この変化はどのようにして起こったのでしょうか。 僕にとってそんなに大きな変化ではないよ。どんなサウンドでも聞こえたら使うよ。エレクトロニックなサウンドは純粋さがあるし、アコースティックは人工的に聞こえることもある。ただサウンドや状況によって違うだけ。作曲をしている時の僕の責任はどんな音でも頭の中にあるモノを見つけることだよ。 Sandro Perri | "Time (You Got Me)" Edit
――“God Blessed The Fool”におけるスウィートなソウルの要素はあなたのルーツにあるものですか?この曲のミックスやエンジニアリングにおける留意点は? そうだね、スウィートソウルは大好きだよ。アラン・トゥーサン、スキップ・ジェームス、ジミー・スコットなど……ずっと挙げていられるよ。この曲をミックスするのは難しくて、完全に満足したわけではなかったんだけど、制作を終わらせたよ。 Sandro Perri | "God Blessed The Fool"
――ラストのタイトルチューン“Soft Landing”でのアーバンなギターサウンドと温かいオルガン・サウンド、パーカッションの融合とこのゆったりしたテンポで表現したかったこととは? 僕は常に重力のない無重力の感覚をさがしているんだ。この曲ではそんな気持ちを表現したかった。 Sandro Perri | "Soft Landing"
――新作は世界のどこかにありそうでない場所をイメージさせるアルバムだと感じました。あなたにとってはこの新作は架空の場所の創造なのか、具体的な音楽要素をミックスする実験だったのか、もしくは前作に続き「終わりなきソングライティングの実験」だったのでしょうか。 『質問の中で上げてくれた』3つの解釈は曲が作り終わってから思いついたことなんだ。最初の意図はとにかく頭の中にある音楽を形にすることだった。どんな物で、どんな試みになるかは曲を作り始めるまでわからないこともある。時には終わるまでわからないこともあるし、何ヶ月か何年か経ってから、別の理解を深めていくこともある。何を、何故といった考えは曲制作とは別のことなんだ。別の言い方をすると、音楽を作るということは自分の想像力に動きをだし、もう少し「リアル」にするということなんだ。 ――あなたの音楽は未知の世界であるにもかかわらず、安堵と好奇心を満たしてくれるのですが、そこには時代性は関係しているのでしょうか。 安堵と好奇心は良い組み合わせだね! 音楽を楽しみ、好奇心を抱くと言うことはその音楽を「信頼」する必要があるしね。音楽を作る時に意識的に時代を反映させようとは思っていない。どんな音楽を作ったとしてもその時代のサウンドになると思っているからね。70年前の機材とテープマシンを使ってドゥーワップレコードを作ることはできるかもしれないけど、結局自分が生きている時代の経験を反映させたものになると思う。 ――ところでトロントの音楽シーンは2010年代にどのような変遷を遂げたと思いますか? (トロントの音楽シーンは)常に変わっている。トロントはカナダで1番大きな都市で多種で違うスタイルを持った多くのミュージシャンがいるよ。2010年で起こっていたことは、現在では消え様々な関心を持つ違う世代に入れ替わっていく。僕はトロントの音楽シーンの2%くらいしか知らないよ。多分もっと少ないかな! ――トロントのインディーシーンで注目のアーティストは?あなたがプロデュースしたIsla Craigの魅力、他にもThomas Gillなども今聴いておいた方が良い? Thomas Gillは素晴らしいミュージシャンだよ。彼は世界中のあらゆる曲を覚えてあたかもヨーヨーをしているみたいに演奏できるんだ。もし、彼のことが好きなのであれば“Bernice”というバンドを聴いてみるべきだね。僕はIsla Craigをプロデュースしたわけじゃなくて、何年か前に彼女のレコードをミックスしたことがあるだけ。彼女の声はとてもユニークだよ。 ――日本の30代ぐらいのアーティストにあなたの作るサウンドに絶大な信頼を寄せている人たちが多いのですが(Turntable Films井上さんやROTH BART BARONの三船さん)、彼らの音楽にサンドロさんが感じるものとは? 両バンドとも好きだよ。以前Turntable Filmsのアルバムをミックスしたことがあるから彼らをよく知っているしね。(井上)洋介のギター演奏は大好きだよ。 ――井上さんも三船さんもサンドロさんは自分の感覚で必要のない音はバッサリ切るし、エフェクトもガンガンにかけてくる、それも彼のセンスを信用しているのでむしろ良くなるとインタビューで読んだことがあります。ミックスにおける哲学はありますか? 彼らがそう言ってくれてることはありがたいことだね! 僕の哲学は歌の「スピリット」を見つけ出すことなんだ。それが時にモノを取り除くということを意味することもあるし、特定の音の特徴を得るために編集や処理を行うという意味になることもある。時には何もしないということがベストな時もある。ミキシングを説明するのは実はとても難しいことなんだ。サーフィンみたいに常に次の波を急いで追いかけているようなものかな。 ――前回2017年の初来日公演で印象に残っていることは?また各地で共演したキセル、渚にて、ASA-CHANG&巡礼についての印象やエピソードはありますか? 3バンドともとても素晴らしかったよ。キセルは知らなかったんだけど、(彼らの音楽には)感動したし、彼らと話していて楽しかった。ASA-CHANG&巡礼は20年間くらいずっとファンなんだ。彼らが一緒にライブをやってくれると知った時の興奮は説明できないほどだよ。初めてレストランでASA-CHANGに会った時はスーパースターに会ったみたいでとっても緊張したよ。名古屋(のライブ)でサウンドチェックが始まった最初の10秒から開いた口が塞がらなくなったよ。彼らの音楽を聴いている時はずっと子供みたいになっていた。本当に最高な音楽だよ! ASA-CHANGは今生きている偉大な作曲家の中の1人だと思う。 渚にては知っていたんだけど、そんなに詳しくは知らなかったんだ。彼らと出会い、実際の演奏を聞けたのはとても良い経験になったよ。彼らとは2回ライブで共演したから、少し話すことができたしね。彼らの音楽がもたらしてくれる感覚が大好きなんだ。彼らのレコードは全部買ったよ。シンジ(柴山伸二)が教えてくれた頭士奈生樹の“III”というアルバムにも恋に落ちてしまったよ。 ――今回は約3年ぶりの来日で、どんなメンバーでのライブになりますか?(前回と同じトリオ編成でしょうか)。またセットリストは新作が中心になるでしょうか。 今回は新しいバンドと一緒に演奏するよ。セットリストの何曲かは前回と同じ曲で、新しい曲もいくつか披露するつもりさ。バンドメンバーは、ドラムにブレイク・ハワード、ベースにジョシュ・コール、そしてキーボードにトーマス・ハマートンの3人で出演する予定だよ。 ――今回は地方のフェスティバルである<肘折国際音楽祭>にも出演されます。出演することになった経緯とは? 僕の日本人のプロモーターが全てアレンジしてくれているんだ。彼の提案には全て二つ返事で「YES」だよ! 肘折には一度も行ったことがないから楽しみにしているよ。 ――この音楽祭にはROTH BART BARONらが出演しますが、気になっているバンド、ミュージシャンはいますか? ROTH BART BARON にまた会えるのを楽しみにしているよ。トロントで一緒に演奏したんだけどとっても楽しい夜だったしね。KUDANZとも前回東京で一緒に演奏していて、Phewに会えるのも楽しみにしているよ。他のアーティストはまだ知らないからサプライズになるね。 ――最後に日本のファンに向けて、メッセージをお願いします。 僕はライブに来てくれる人たちとの出会いが大好きなんだ。日本のオーディエンスのライブでの聞き方には感謝しているよ。恥ずかしからずに、ぜひショーの後声を掛けに来てください!

Text&Interview by Yuka Ishizumi

INFORMATION

<SANDRO PERRI JAPAN TOUR 2020>

2020年3月5日(木) Shibuya WWW 開場19:30 / 開演20:00 ¥4,800(税込) 020年3月7日(土) 肘折国際音楽祭 2020 山形県最上郡大蔵村 肘折温泉 肘折いでゆ館 ゆきんこホール 開場12:00 / 開演12:30 【出演】 Dr.A.SEVEN KUDANZ(band set) Sandro Perri(Canada) 寺尾紗穂 betcover!!(弾き語り) ROTH BART BARON 詳細はこちら

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フッドめし – HoodFood #01|釈迦坊主 × MARZY

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし』。 この番組では、毎回主役となるアーティストがホストに立ち、自身のソウルフードを紹介し、ゲストを迎える。リスペクトしあうアーティストとともに、ただただ食いあう! そんな「ちょっとしたチルな時間」をお届けする新たなグルメ番組シリーズだ。今夜ついにシーズン1の#01が公開! SEX Yamaguchi氏より頂いた紹介文とともに、映像をお楽しみください!

Comment from SEX Yamaguchi

フッドめし』始まりました! 記念すべき第1回は釈迦坊主MARZYが恵比寿の「HEMP CAFE TOKYO」に登場だ。 本日のメニューは“波動が高まる料理”。とりあえずつべこべ言わずに観てほしい。 まずは、料理がテーブルに運ばれてくるまでに交わされる2人の会話に注目。この時点で多少なりとも“波動”を感じることができたら、あなたも素質アリである。ちなみにセク山はビンビン感じることができた。というか、わかる。 CBDオイルを垂らしたヘンプビアのおかわりもすすみまくり、料理を食べるごとに美味しさの感動に包まれる2人。目がキレイである。 これはぜひお店に行って料理を堪能したくなる映像だ! お腹空いた!

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #01 釈迦坊主 × MARZY

INFORMATION

shaka bose 釈迦坊主

フッドめし 和歌山県御坊市出身。ラッパー、トラックメイカー、ミックスエンジニア、 またある時は映像作家としても活動する東京在住のマルチアーティスト。 TwitterInstagram

MARZY

フッドめし 幼少期から両親の影響で80’s、90’sのディスコソウルなど様々なジャンルの音楽に親しんで育った、DJ・シンガーMARZY。 アメリカでの滞在経験からヒップホップの影響を色濃く受けているが、ジャンルに捕われないフレキシブルなミックスと類稀なMCスキルで、きっちりとフロアを盛り上げるのがMARZYのDJスタイル。2012年にクリエイティブチーム 「PROPERPEDIGREE」に加入し、2017年に現在AwichやkZmが所属してるミュージックコレクティブ「YENTOWN」にも所属。2017年にblock.fmとコープロデュースしたオリジナルシリーズ「AZAMARZY」をリリースし、国内外から東京のマスコットとして注目を集めた。2018年に別名義Caryn10としてKick a Showのトラック「Buchiaga Lit」にフィーチャー。ファッション業界との関わりも深く、Atmosとのスニーカー&インタビューシリーズ「SNEAKER ADDICT」のホスト務め、Tiffanyのようなブランドが企画するパーティーにも度々出演している。過去にはWIRED FESTIVAL、Fuji Rockのようなフェス、Lil Yatchy、Goldlink、A$AP FERGなどの来日サポートで入り、現在Ameba MIXやHARLEMのウィークリーパーティー「BORN FREE」にレギュラーとして出演。2020年にMARZYは、どのような活動するかお楽しみに。 TwitterInstagram

SHOP INFORMATION

HEMP CAFE TOKYO

18:00〜23:00(22:00LO) 東京都渋谷区東3-17-14 クリスティエビス 8F 03-6427-1984 詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN 18:00 ADV ¥2,000/DOOR ¥2,500 ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced 詳細はこちら

次回のゲストはCreative Drug Storeのクルー、dooooだ! お楽しみに!

フッドめし

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齋藤陽道×原田郁子(クラムボン)×河合宏樹|映画『うたのはじまり』のはじまりを求めて

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映画『うたのはじまり』は、ろうの写真家として知られる齋藤陽道(さいとう・はるみち)が、かつて嫌いだった「うた」と出会う過程を追ったドキュメンタリー映画だ。この作品には、人間にとって「うた」とは何であり、なぜ人は表現するのかという本質的な問いが込められている。 アルバム『triology』のジャケット写真の撮影など齋藤とも縁の深いクラムボンの原田郁子は、本作品を2回鑑賞したという。というのも、原田にとってこの作品は「自分がずっと言語化してこなかった領域だったから」だ。どういうことなのか? そこで今回Qeticでは、監督の河合宏樹をモデレーターに加え、齋藤と原田の対談を実施。当日はまず、映画にも登場する齋藤の愛息子・樹(いつき)を幼稚園に迎えに行くところから始まった。冬の夕刻、かつて齋藤がおさめた『絶対』シリーズの作品のように圧倒的な夕陽が降り注ぐ街を歩く3人。手話やジェスチャーを交えながら談笑する3人の美しさは、以下の写真が示す通りである。

樹と合流し、今度は齋藤の自宅のダイニングテーブルで、原田が映画完成記念にと持参したワインで乾杯。お酒を飲みながら和やかな雰囲気で、筆談による3人の会話が始まった。背中には笑い合い遊び合う齋藤のこどもたちの存在を感じながら、「うた」とは何であり、表現とは何であるかについて探った。

Interview:齋藤陽道×原田郁子(クラムボン)×河合宏樹

“陽道くんの写真には音を感じる”

ーー今回、河合監督が齋藤さんの対談相手に原田郁子さんを選んだ経緯から教えてください。 河合宏樹(以下、河合) 今、(原田)郁子さんとたまたま別のお仕事でご一緒させていただいるんです。一緒に作業しながら話すうちに、郁子さんの音楽とうたは、この映画のテーマと本質的 に通ずると思ったからです。 原田 嬉しいなあ。 齋藤陽道(以下、齋藤) 郁子さんのうたってどんなだろうなーと、ずっと想っています。 原田 うん。 河合 郁子さんと(齋藤)陽道さんはいつ出会ったんですか? 原田 わたしが陽道くんを初めて知ったのは、坂口恭平くんが「郁子ちゃんきっと好きだと思う」って教えてくれたことがきっかけです。それでワタリウム美術館の写真展(2013年『宝箱 ー 齋藤陽道 写真展』)を観に行ったんです。その後、クラムボンの『triology』(2015年・9thアルバム)のジャケット撮影をお願いしました。 齋藤 びっくりしました。だって20周年の大事なアルバムですもんね。うれしかったです。 原田 日の出前からの撮影で寒かったけど、きれいだったよね。 齋藤 朝5時でしたっけ? 空気が澄み切ってましたね。 原田 (原田が持参した撮影時のスナップ写真を見ながら)懐かしいね。陽道くんと麻奈美さんがまだお父さんとお母さんになる前だ。『triology』のジャケットになったこの写真は、顔が写っていないけれど、3人のそれぞれをものすごく表していると思いました。身体全体がその人を表しているよね。すごく象徴的。 齋藤 何をいうでもなく、しぜんにみんなバラバラに動き、踊り出したんです。 原田 寒すぎて(笑)! 陽道くんはこの日がミトくんと大ちゃん(伊藤大助)と初対面だったんですけど、こういう写真を撮れるのはすごいなと思うし、この一瞬をこんな風に捉えられる人は誰もいないだろうなって。陽道くんと祖父江さんが一緒に本を作るようになったのも、この時がきっかけだったんだよね。 河合 やっぱり陽道さんは人間の生きた道をちゃんと写しますよね。この写真も、20周年のクラ ムボンのメンバーの生き方をしっかり捉えている。出会った時はどんな印象でしたか? 齋藤 郁子さんのことは、水みたいな人だと思いました。すーっと流れてくる。 原田 水かぁ。わたしは陽道くんにお逢いするより先に写真を観たんですけど、とても音を感じました。ひかりの粒や陰のラインが音楽みたい。

河合 僕も同じことを感じます。初めて陽道さんを見たのは、映画のシーンにもある飴屋法水さん演出の聖歌隊・CANTUSの教会ライブに出演した彼を撮影した時で、ろう者だとも写真家だとも知らなかったんです。だから最初の 印象は「イケメン」。 齋藤 (笑)。 河合 でもあの公演で彼の生い立ちや境遇を知って衝撃を受けました。実際に仲良くなったのはそれから一年くらい経ってからでしたね。その時は、東日本大震災から1年経ったくらいだったのですが、陽道さんは『写訳 春と修羅』という作品をつくっていて、僕は作家の古川日出男さんたちが行っていた朗読劇『銀河鉄道の夜』を撮影していたんです(河合宏樹 映画『ほんとうのうた~朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って~』(2014))。宮沢賢治という同じテーマでふ たりとも作品をつくっていたこともあってメールをしてみました。そうしたら「なにか根底でつながっているような気がします」って返事をくれて、すごく嬉しかった。 原田 じゃあ初めて陽道くんに出会ったのはあの教会だったんだ。 河合 そうです。その後、高知県で七尾旅人さんが開催したライブの打ち上げで陽道さん と再会しました。陽道さんも偶然仕事で高知に来ていたんですね。その時に、奥さんの麻奈美さんにも初めて会いました。その時の陽道さんと麻奈美さんの手話での会話が美しくて、「撮りたい」と直感したんです。 原田 そっかぁ。飴屋さんと旅人の存在が大きい? 河合 そうですね。2人は今回の映画のキーパーソンです。

ーー郁子さんは、この映画を2回鑑賞されたそうですね。 原田 はい。初めて観てから、陽道くんの家族がずっと自分のなかにいる感じがあります。とてもなまなましく生きていたから。本当は河合さんにコメントを頼まれたのですが、まとめられなくて……。 齋藤 どうしてまとめるのが難しかったんですか? 原田 うーん、ずっと言葉化してこなかったから……。 河合 (青葉)市子ちゃんも同じことを言ってました。 原田 ほんと? でも確かに、市子さんのコメントからそのことがとってもよく伝わってきました(「うたは、だれにでも。うたは、生きていることが。」)。

おもむろに河合が、齋藤家の棚にあった、作家の小指(小林紗織)のZINEをとりだし、原田に「うたのはじまり」絵字幕版取り組みの説明をする。 小指が劇中の”うた”や”声”を描画し、それを字幕として映画内に取り組む新しい試みだ。 齋藤はその様子を見て、その取り組みを原田に伝えられたことが嬉しそうに、ほほ笑みを浮かべていた。

※「うたのはじまり」絵字幕版とは? 本作の重要な要素である「音楽」を聴覚障がい者の方にも少しでも 理解していただく為に、「音楽」を「絵」で表現する「Score Drawing」 という手法を本編に取り入れた試みです。この<絵字幕版>は齋藤陽道の発案で制作が進み、本人も「完成した絵字幕版を観て感動した。 まったく新しい形による“うた”の表現となっているのではないかと思う」と感想を残しています。聴者にとっても <通常版>とは全く違った印象を残す筈ですので、是非2つのバージョンを見比べて頂きたいです。

詳細:齋藤陽道note

“理想と現実のはざまで”

齋藤 2人が覚えている一番古い「うた」の記憶って、何ですか? 河合 実はそれを思い出そうとしていたんだけど、出てこないんです。ただ、最近姪っ子をあやすようになって、陽道さんの気持ちが少しわかるような気がしました。実際に初めて音楽に触れたのは、たぶん幼稚園の頃のカセットテープだった気がします。『アンパンマンのマーチ』とか。記憶として言葉にできるのはそこなんだけど、その前にもある気がしていて、まだ考えている。 原田 おうちの踊り? 河合 ああ、三味線の音の記憶はすごくありますね。うちは日本舞踊の家系だったので、「ペンペンペンペン……」という音がずっと聴こえていました。その音は今でも聴こえているので、潜在意識にはあると思います。 原田 おじいさんと旅人の映像(『”蒼い魚”を夢見る踊り子~藤間紋寿郎の沖縄戦~』)観ました。 河合 ありがとうございます。現在98歳の日本舞踊家で(2020年2月時点)、沖縄戦を生き残った祖父のドキュメントと、旅人さんの”蒼い魚”という楽曲が自分の中でシンクロして作品化したんです。最近は家族の影響をかなり意識するようになりました。おじいちゃんおばあちゃんっ子だったから、彼らから聴いた音は残っているかもしれない。郁子さんはどうですか? 原田 4歳の時にピアノを習い始めたので、「うた」って認識するより先に楽器を弾いていたかもしれないです。合奏とか遊びの延長でピアノを弾いてるのは楽しかったんですけど、うたは、恥ずかしくて、人前で歌ったりできなかった。ひとりでちっちゃい声で歌うことはあったけど、誰かに聞かれたら嫌だから、こっそり……。将来歌うようになるとは思っていなかったです。 齋藤 いつから嫌じゃなくなったんですか? 原田 うーん、すごく閉じてしまった時期があって。周りに馴染めないし、目の前を見たくない。苦しかったんですけど、でも、そうなってから初めて、音楽がちゃんと聴こえてきた。自分に必要になったというか。もう渇望するようにのめり込んでいきました。現実逃避ですね。それでジャズを聴いた時に、なんて自由なんだと思って、心が躍るようで、自分もそういうことがしたいと思ったんです。音のコミュニケーションだけど、ことばみたいだった。 河合 なるほど、なるほど。 原田 でも、いざ、ジャズピアノを始めてみると、ものすごく難しかったんですね。理想があるのに追いつけない。「うーっ……」となってる時に、ほんとにたまたまピアノを弾きながら歌ってみたんです。ため息みたいに、「はーーーー……」って。そしたら、すーっとしたんですよね。胸のつかえが取れたような……。だから陽道くんの映画を観て、とても深くいろんなことを思い出したんです。 河合 今の郁子さんの話は、現実に向き合うことにおいて、陽道さんの子守唄の誕生にすごく近いと思いました。 齋藤 ぼくが「うた」や「音楽」に苦手意識を持っていたのは、郁子さんの言う「理想」と「現実」が噛み合っていなかったからなんだな、ということを今の話を聞いて思いました。ぼくの理想は「きこえる人のようになりたい」。でもそんなのはムリなことで、「うーっ……」となってしまう。聞くふりをして、楽しむふりして、でもぜんぜんわからない。だから、ぼくには「うた」や「音楽」は関係ないと思うようになりました。 でも、こどもをむかえたら、生活のあわただしさが良い感じに理想を見えなくさせてくれたんです。こどもという圧倒的現実があって、こどもの体温が、いろいろな思い込みをほぐしてくれた。そのこわばりが解けた時、目の前のたったひとりの名前をぽろぽろとつぶやいてみたんです。それこそ、ため息みたいにふーっと、「いつき、いつき」と。

“「うれしいからっぽ」から生まれたうた”

河合 本当に、こんな陽道さんは、こどもと出会う前は見たことがなかったなあ。 齋藤 そのため息のようなこどもの名前がほかのイメージをつれてきてくれて、それも声になりました。こどもを抱き抱えたまま、気持ち良いままにリズムも加えていたら、こどもが眠ってしまった。……あ、これが「うた」か!と気づいた瞬間です。これがぼくのいちばん最初の「うた」との出会いでした。 河合 これこそほんとうの「うた」ですよね。「うた」は言葉以前にあるもので、関係を修復するために生まれたものじゃないかと思っているんです。 ーー自分と世界との関係、ですか? 河合 そうです。以前、ある音楽家に教えてもらったんですが、『らくだの涙』というドキュメンタリー映画があって。出産のショックで子らくだを認識しなくなってしまった母らくだに向けて、モンゴルの遊牧民族が馬頭琴を奏でると、音楽を聴いた母らくだが涙を流すんです……。まさにそういうことだなと。 ーー齋藤さんと郁子さんにとって、「うた」は現実と和解させてくれたものだったのですか? 自分のなかから自然と「うた」がうまれた時、世界と折り合いがついたというか。 齋藤 和解!! そうですね、ほんとそうです。ただ、まだ続いている。 河合 うーん、すごい難しいですね……和解……解けて終わってはいないんですよね。根元に戻る、初心に戻るのであって、「世界と折り 合いがついた」というニュアンスとは少し違う気がする。 原田 ……和解ってなんだろう? 矛盾してるかもしれないんですけど、音が鳴ると、自分のなかに深く降りていって、無音の世界に出る、みたいな感じがあるんですよね。そして、歌ったり演奏したりしていると、波みたいな、海みたいな感じがしてくる。……というか、もっとぜんぶ? 今日見た太陽の光にも似ているかもしれない。ぜんぶの一部、みたいな。うまく言えないから絵に描いてみます……。

原田 「ひとり」ということが見えてくるんですよね。だけどまわりの空気は震えている。とても近くに振動を感じていて、自分とそうじゃないもののあいだが、遠いようで曖昧になってくる。 齋藤 こどもにうたっていて「あ、今とても気持ち良いなー」と思えた時、自分がからっぽになっているんですね。さみしいからっぽじゃなくて、うれしいからっぽ。 原田 うん! それだ。うれしいからっぽ!

“水のように湧き続ける「生存本能の発露」”

ーー今の話は、表現の根本にある話だと感じました。劇中では「あらゆる表現は生存本能の発露」という齋藤さんの印象的な言葉もありましたが、みなさんが表現をする理由、続ける理由を知りたいです。 河合 とても究極な質問ですね……ずっと悩んでいますが……僕の場合は縁のような気がしています。生きていると、人や土地との出会いから自然と自分にテーマが降ってくることが多かったので、生活するうえで必然的に続ける必要がありました。これからもテーマが目の前に現れてくるかわからないけど、この映画を通して、改めて、「うた」をはじめとする「表現」と呼ばれるものがとても日常的なことから生まれることがわかり、自分の生活の一番身近なところからこれからも表現が生まれてくるのでは……と最近思います。 原田 わたしは、すごく永い時間だったり、水が湧いている感じかな。 河合 あっ、湧いて出る感じ、それすごく近いかも。『うたのはじまり』の「はじまり」を手話で表す時も、「はじめる」ではなく、水が湧いてくるような「うまれる」の手話で表現しています。陽道さんが考えてくれたんです。 原田 そっかぁ。ライブをしたり曲をつくったり、演奏したり、その度に毎回ゼロになるんだけど、少しずつまた湧いてくる。滝のようなイメージが自分のなかにあります。 そして、やればやるほどまた音楽が好きになる。遠くに向かって「おーい!」と叫んでみると、思いがけず返事が来たり、こうして誰かと出逢えたり。そうするとうれしくて、また音楽のなかに行きたくなるんです。ライブをしていると、時々、たくさんの人たちの、その前の、前の前の……ずーっと人が繋がってきたことが浮かんできて、歌うこともあります。 齋藤 すごい。シャーマンみたいですね。 原田 その分、きっと「今」や「瞬間」が際立つんだと思う。それは音楽も写真も同じかもしれない。0コンマ何秒で変化し続けるもののなかで、曲をつくったり、本をつくったり、映画をつくったりしている。そうせずにはいられないというか。昔々の人々がやっていたこと、踊ったり歌ったり、祈ったりすること、形は違うけれど、きっとそれらの営みと本質は同じなんだろうなと思っています。 河合 まさに祈りですね。それが陽道さんの「生存本能の発露」という言葉に繋がってくるんじゃないかな。とても近いと思います。 齋藤 SNSやネットの配信にはない存在としての重みが「作品」にはありますよね。1回限りとか、今その時じゃないといけない、あるいは、時間が何十年も過ぎてやっと見えてくるものがある。その重みあるものを自分の身体ひとつで生み出せるという喜びは、とても大変ではあるけれど、何にも替えがたい歓喜があります。まずその喜びがあるから、ぼくは表現を続けているのだと思います。

Text by Sotaro Yamada Photo by Naoto Kudo

映画『うたのはじまり』

2020.02.22(土)からシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開

監督・撮影・編集:河合宏樹 整音:葛西敏彦|字幕作成:Palabra 株式会社|Score Drawing:小指 出演:齋藤陽道、盛山麻奈美、盛山樹、七尾旅人、飴屋法水、CANTUS、ころすけ、くるみ、齋藤美津子、北原倫子、藤本孟夫 他 2020 年|日本|カラー|16:9|86 分|DCP|PG12| 配給:SPACE SHOWER FILMS © 2020 hiroki kawai/SPACE SHOWER FILMS

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フッドめし – HoodFood #02 MARZY × doooo

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし』。 今夜はシーズン1の#02が公開!

Comment from SEX Yamaguchi

今回のホストは釈迦坊主からのバトンを繋ぐMARZY。第2回はCreative Drug Store所属のDJ/トラックメーカーとして活躍するdooooを召喚し、池尻大橋のつぼ焼きかれーのお店「ビストロ喜楽亭」へご案内。 スタッフ陣の顔色を伺いながらも、シレッと“牛フィレステーキかれー”(¥4,800!!!)をオーダーする2人。街ブラグルメ番組をわかっているカマしだ。ナイスオーダーである。 テーブルに運ばれた料理を仲良くシェアし、ジューシーなフィレ肉にかぶり付く。すごく美味しそうだ。。 噛み合ってないように見えて実はだいぶ噛み合っている会話がメロウに心地良い2人であった。ほっこりしちゃう!

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #02 MARZY × doooo

フッドめし - HoodFood #01 釈迦坊主 × MARZY

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INFORMATION

MARZY

フッドめし 幼少期から両親の影響で80’s、90’sのディスコソウルなど様々なジャンルの音楽に親しんで育った、DJ・シンガーMARZY。 アメリカでの滞在経験からヒップホップの影響を色濃く受けているが、ジャンルに捕われないフレキシブルなミックスと類稀なMCスキルで、きっちりとフロアを盛り上げるのがMARZYのDJスタイル。2012年にクリエイティブチーム 「PROPERPEDIGREE」に加入し、2017年に現在AwichやkZmが所属してるミュージックコレクティブ「YENTOWN」にも所属。2017年にblock.fmとコープロデュースしたオリジナルシリーズ「AZAMARZY」をリリースし、国内外から東京のマスコットとして注目を集めた。2018年に別名義Caryn10としてKick a Showのトラック「Buchiaga Lit」にフィーチャー。ファッション業界との関わりも深く、Atmosとのスニーカー&インタビューシリーズ「SNEAKER ADDICT」のホスト務め、Tiffanyのようなブランドが企画するパーティーにも度々出演している。過去にはWIRED FESTIVAL、Fuji Rockのようなフェス、Lil Yatchy、Goldlink、A$AP FERGなどの来日サポートで入り、現在Ameba MIXやHARLEMのウィークリーパーティー「BORN FREE」にレギュラーとして出演。2020年にMARZYは、どのような活動するかお楽しみに。 TwitterInstagram

doooo

フッドめし プロデューサー,DJ。岩手県出身。 クリエイター集団CreativeDrugStoreに所属し、様々なアーティストにトラック提供を行う。 2016年に自身初となる12inchレコード「STREET VIEW / PURPLE FLOWER」をリリースし、シングル曲ながらも2,000円という高値で販売した為に各方面から批判を浴びる。 2017年11月に1stアルバム「PANIC」をリリースし、ジャケットに人肉MPCを使用した為リスナーの皆様から引かれる。 2019年6月に「人肉小銭入れ」を発表し、趣味が悪過ぎるDJ/音楽プロデューサーとして日本国内外から批判を浴びる。 その他に嫁の肩もみ、買い物の手伝いなど、精力的に活動を行っている。 TwitterInstagram

SHOP INFORMATION

ビストロ喜楽亭

11:00~2:00(L.O.1:30)/ 定休日 不定休 〒154-0001 東京都世田谷区池尻3丁目30−5 03-3410-5289 詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN 18:00 ADV ¥2,000/DOOR ¥2,500 ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced 詳細はこちら

次回のゲストは『フッドめし』のテーマソング“Hungryman”を手がけたKojoeだ! お楽しみに!

#01はこちら フッドめし

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THE ALEXXが示す新しい陶酔の形|柴那典ライブレポート<SHIBUYA CLUB QUATTRO GAN-BAN NIGHT SPECIAL>

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The Alexx

そこにあったのは、まったく新しい形で鳴らされた“陶酔”の感覚だった。 11月22日にデビューアルバム『VANTABLACK』をリリースした3人組、THE ALEXX。公式音源を1曲も発表しないまま<FUJI ROCK FESTIVAL ’19>でデビューライブを敢行し、その後に出演を予定していた<朝霧JAM 2019>は台風で中止。この日、渋谷クラブクアトロで行われた<GAN-BAN NIGHT>への出演が2度目の、そしてデビュー後初のパフォーマンスだ。 開演時刻をすぎると、SEと共に杉浦英治(Syn)筒井朋哉(Gt)Tonton(Vo)の3人がステージに姿を表す。インストゥルメンタルナンバーの“Ring Of Saturn”からライブはスタート。筒井がバイオリンの弓でギターを弾いて残響音を響かせ、Tontonがクリスタルボウルを鳴らし、あたりは神秘的な倍音に包まれる。「地球上で最も黒い物質」の名前からとられたアルバムタイトルを彷彿とさせる、漆黒のサウンドスケープが表出する。

The Alexx

「リスナーにバイアスをかけたくない」という理由で当初は素性を明かしてはいなかったが、THE ALEXXは、SUGIURUMNとして20年にわたるDJ活動を続けてきた杉浦が結成した新バンドだ。ボーカリストのTontonはSUGIURUMNの数々の作品で歌ってきたシンガーであり、メンバーの筒井はElectric Glass Balloon時代からの杉浦の盟友でもある。全員がかなりのキャリアの持ち主だ。 ただ、実のところ、筆者自身はライブ直前までTHE ALEXXの正体は知らなかった。「浮遊感はあるけど、流されない感じ。屹立してる」ーーとニューアルバムに対してコメントを寄せたのだが、それは、事前情報なしのまっさらな状態でTHE ALEXXの楽曲を聴いての率直な感想。メンバーの名前やこれまでの活動どうこうよりも、音の持つダークな芯の強さが何よりの魅力だと感じていた。そしてこの日のライブを見て、その印象はさらに強まった。 ダウンテンポの四つ打ちの“Beatwave”から「今日はよろしくお願いします」と杉浦が告げ、“Jeanie”、“Daisy”とステージは進んでいく。杉浦は曲によってシンセやギターを忙しく操り、Tontonが妖艶な歌声を響かせる。

The Alexx

アシッド・ハウス、マッドチェスター、トリップホップ、サイケデリック・ロック、ドリーム・ポップ……THE ALEXXの鳴らす音楽にはさまざまなルーツにつながる系譜を見出すことができる。プライマル・スクリーム(Primal Scream)マッシヴ・アタック(Massive Attack)カサビアン(Kasabian)THE XXなどUKの様々なアーティストとのリンクも感じることができる。同時代の日本で言えば、この日も共演したD.A.N.yahyelあたりとの共通項も感じる。ただ、ステージから放出されるのは、いわゆるジャンルやスタイルでは括ることのできない類の感覚だ。共通しているのは「正気じゃなくなる」ことへの強いアディクション。初めて観る人がほとんどだっただろうオーディエンスも、徐々に心地よく身体を揺らし、その音世界に耽溺していく。

The Alexx
The Alexx

終盤は、杉浦と筒井のツインギターにTontonのテルミンが加わった“Sounds Of Radio Frequency”から、歪んだギターをかき鳴らすパンキッシュな“Tablaman”へ。オーディエンスにフィジカルな興奮をもたらすこのあたりの楽曲はステージパフォーマンスにおける大きな武器となるだろう。

The Alexx

およそ40分ほどのライブは“Alan Smithee’s Monolog”で終了。2度目のライブということもあり、正直、まだまだ荒削りなところも多かった。たとえば映像やヴィジュアルの演出が加わることで、サウンドだけじゃなくその裏側にあるTHE ALEXXの思想や言葉が伝わっていくんじゃないか、と思うところもあった。

The Alexx

ただ、それ以上に、大きな可能性を感じるステージだった。 それはTHE ALEXXだけでなく、彼らが所属するレーベル〈REXY SONG〉がキューバのINTERACTIVOやイタリアのBANDA BASSOTTIのリリース元となっていることも含めた意味合いだ。つまり、さらなるグローバル化の進展と共にポップ・ミュージックのトレンドの一極集中がより進む一方で、世界各国のアーティストが手を結び「ニュー・インディペンデント」を掲げるであろう2020年代に向けての、日本からの一つの旗印になるかもしれない、という意味。 貴重な一夜を目撃したと思う。

The Alexx
The Alexx
The Alexx

THE ALEXX

The Alexx

2019年の晩秋、実は2020年にオリンピックが開催される事など誰一人本気で考えていないユースカルチャー・ガラパゴスのこの国で、フジロックを主催するSMASH代表が立ち上げたインディーレーベル「REXY SONG」が突如専属契約した初の日本人アーティスト“THE ALEXX”。 公式音源を1曲も発表しないまま<フジロック‘19>の激しい雨の中でデビュー・ライブを行い、デビュー・シングルを発表した直後に<朝霧ジャム’19>に出演が決まっていたが台風の影響でキャンセルに。 彼らはTHE XX以降のダークさとポップさ、ダンスミュージッックのマナーとロックのダイナミズムを個々の体内に沁み込ませ、ニューウェイヴ、ハウス、電子音楽、インディーダンス、ニューディスコ等々、過去から現在までに溜め込んだ豊潤なユースカルチャー・ミュージックの影響を混乱したままダイレクトに表現している3ピースバンドだ。 THE ALEXXのデビューアルバム『VANTABLACK』は、まるでセックス・ピストルズ/クラッシュ/ニュー・オーダー/スミス/プライマル・スクリーム/マッシヴ・アタックに熱狂した日本人プログラマーが設計したAIが作ったJ-POPアルバムのようだ。 エンジニアにはzAk氏を起用し、ダークでダビーなサウンドを究極なまでにソリッドに仕上げることに成功している。 令和、0話、ゼロセット。日本のミュージックシーンにブラックホールを生み出す“THE ALEXX / VANTABLACK”。新たなダークヒーローの誕生です!

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RELEASE INFORMATION

The Alexx

VANTABLACK

2019.11.22(金) ¥2,300(+tax) THE ALEXX 品番:REXY-6 Tracklist 1. Jeanie 2. Beatwave 3. SOUNDS OF RADIO FREQUENCY 4. VANTABLACK 5. Daisy 6. Ladybug is on there 7. Tablaman 8. Freak out of blue 9. The Scorpion Revives In This Way 10. ONADAY 11. Alan Smithee’s Monolog 12. Go to the bar

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新イベント<SyU -種->主催バンド座談会|”種”の概念を拡張した先に見える新たなシーンとは

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種 -Syu-

3月8日(日)に、渋谷は円山町にあるclubasiaの24周年企画として、ravenkneegato、the McFaddinPOINT HOPEの4バンドが主催する新イベント<SyU -種->が開催される。 互いの違いや共通項を認め合いながら切磋琢磨してきた4バンドのパフォーマンス力やキュレーションのセンスが融合し、新たな花が咲く瞬間を想像させてくれるエネルギーに満ちたタイトル。 ラインナップに目をやると、エレクトロにロック、ヒップホップなど、さまざまな要素を独自の感覚で採り入れ、“ジャンル”の向こう側にある未来を開拓しようとする気概を感じるライブアクトと、現場の空気を捉え空間を彩ることのできるDJがずらりと並ぶ。遊びに行く理由は人それぞれだが、どの角度から入っても、今までに感じたことのない刺激によって、以降の日々に見える景色を豊かに彩ってくれるだろう。

種 -Syu-

Interview ravenknee × gato × the McFaddin × POINT HOPE

━━まず、なぜこの4バンドで主催しようと思ったのですか? joe matsumoto(Vo.&Gt./ravenknee 以下、joe) 2019年1月にravenkneeが初めて開催した自主企画のイベントに出てもらったのが、gatoとPOINT HOPEで、the McFaddinも呼びたかったんですけど、スケジュールが合わなくて。今回のイベントはうちのhigashiが発起人なんですけど、当時の企画に呼んだ、または呼ぶ予定だった4バンドの主催なんです。 ━━では、みなさんお互いにどのような印象をお持ちでしょうか。 joe gatoは音楽的に僕らとはぜんぜん違いますけど、エレクトロと生演奏を新しい感覚で掛け合わせてるという意味では共感できる部分が大きいですね。そして、ライブがめちゃくちゃカッコいい。 katsuyuki higashi(Dr./ravenknee 以下、higashi) あまり他のバンドのドラマーに機材のことは訊かないんですけど、gatoのhirokiくんには「そのシンバル、口径はなに?」とか「そのハットどうやってんの?」とか、よく尋ねますし、彼とはお揃いのシンバルを使ってるんです。

[caption id="attachment_346623" align="alignnone" width="1440"]種 -Syu- L:katsuyuki higashi R:joe matsumoto[/caption]

━━なぜhirokiさんのドラムにはそこまで興味が湧いたのですか? higashi エレクトロの音にハマる生ドラムとして理想的なんです。例えばクラッシュシンバルだと、僕が使ってるものは高い音がするんですけど、hirokiくんのは低いというか。そういう細やかなこだわりがシンセや同期の音とすごくマッチしていて、違和感がないんですよね。 hiroki(Dr./gato) 僕は初めてhigashiさんのドラムを見たときに、すごすぎてバンドやめようかなって思いましたけどね。めちゃくちゃいい音が爆音で鳴っていて、どんな人が叩いているんだろうなって。ravenkneeはとにかくスケールがでかい。 age(Vo./gato) うん、スタジアムとかフェスとか、大きな会場がイメージできるよね。僕らも同じように、いろんな場所に出ていきたいとは思ってるんですけど、ざっくり言うならば、gatoは「陰」でravenkneeは「陽」。その二極でちゃんとライバルとして活動している感覚があって、敵であり仲間なんです。 keisho maeda(Gt./the McFaddin 以下、keisho) わかる。joeが前にやっていたバンドも好きだったんですけど、ravenkneeになって、よりメジャーなフィールドでやれるマインドやパワーを獲得したように思います。演奏力も圧倒的で、初めて対バンした時もヤバいと思った。

種 -Syu-
[caption id="attachment_346622" align="alignnone" width="1440"]種 -Syu- L:age R:hiroki[/caption]

━━gatoとravenknee、the McFaddinは、音楽性は違えどお客さんが被る部分も多くて、共同体的なイメージもあるんですけど、POINT HOPEは活動ベースが少し異なるようなイメージがあって。そこはどうでしょう。 age 確かに、イメージはそうかもしれないです。でも、POINT HOPEとはルーツが近い気がしていて、親近感を持っています。 中村歩己(Gt.&Syn./POINT HOPE 以下、中村) gatoは“ダンスフロア“と対峙しているバンドだと思うんです。それに対して僕らはクラブシーンとの関わりは少ないし、アプローチこそ違うんですけど、共鳴できる部分はあるような気がします。 age 僕個人の出自がハードコアとかエモで、マインド的には今もそこが中心にある感覚があって、ハマってるんじゃないかと思います。 中川航(Dr./POINT HOPE 以下、中川) そこは重なりますね。僕がPOINT HOPEとは別でやってるsans visageというハードコア寄りのバンドのイベントに、ageくんがDJで出てくれた時に、彼のイメージにあったダンスミュージックで“躍らせる”スタイルではなく、エモとかポストロックを、“いい曲をかける”って感じで響かせてくれたんです。

[caption id="attachment_346624" align="alignnone" width="1440"]種 -Syu- L:中川航 R:中村歩己[/caption]

━━バンド単位でPOINT HOPEともっとも距離が近いのは、joeさんが冒頭で話されたようにravenkneeですよね。 joe POINT HOPEの存在は、うちのギターのkazuki(matsumoto)に教えてもらったんです。当時、僕らは“daydreaming”を世の中に喰らわせてやるぞって意気込んでたんですけど、彼らの“トンネルを抜ければ”を聴いて「まじか……やめてくれよ」って思いました。POINT HOPEに限らず、ravenkneeはgatoとPOINT HOPEとthe McFaddinを混ぜて爆音にしたバンドだとも言えるくらいに、みんなからは影響を受けてます。 ━━the McFaddinとPOINT HOPEだけは、まだ一度も交流がないんですよね。 keisho このあいだ東京でボン・イヴェール(Bon Iver)のライブを観に行った時に、加藤(Vo./POINT HOPE)さんにはお会いしました。Bon Iverを好きな人に悪い奴はいないと思うので、テンション上がってます。近いシーンでやっているのにも関わらず、一緒になる機会がなかったので、今回満を持してって感じで、お互いのライブの感想とかも言い合えたらなって思います。 中村 the McFaddinは音源を聴いたときに「これをライブでどうやるんだろうな」と思ったので、僕らも楽しみにしています。 age ravenkneeもポップだと思うんですけど、the McFaddinは“キャッチー”という言葉がはまる感じがしますね。アートワーク、音源、ライブ、あらゆる面ですごく色気があって、あえて変な言い方をすると、すごくエッチなバンドだと思う(笑)。 joe 僕がravenkneeの前にやっていたバンドの頃から、keishoとは出会ってて、この中ではもっとも古い仲間。めっちゃカッコいいです。 higashi 実はkeishoがravenkneeの初代ギターだったかもしれないっていう。 joe そうそう。gatoがエレクトロの部分で見習うべき仲間だとしたら、the McFaddinはフィジカル面を見習うべき仲間だと思っています。

種 -Syu-

━━イベントタイトルの「種」はどこから来たのでしょうか。gatoとravenkneeとはとりわけ関わりの深い、東京亜種というコレクティブもありますが。 higashi うちのkazukiも在籍するS亜TOHというユニットがやってるパーティ<亜>から自然と導かれた部分はあると思います。“亜”と言えば“亜種”みたいな。 ━━え?東京亜種ありきだと思っていました。 higashi 僕は東京亜種が立ち上がるって話を知らなかったんです。ravenkneeが2019年の最後のライブの後に、何やら集合写真を撮るらしいということで、ふらふら着いて行ったらそれが“東京亜種”で(笑)。あとは漫画の『寄生獣」ですね。「この種を喰い殺せ」ってシーンがあって、いいワードだと思いました。共存というか、一緒に頑張っていこうとは思うけど、仲良しこよし、馴れ合いみたいな感じにはしたくない。それぞれ固有の“種”ではあるんですけど、ちょっとダークでアンダーグラウンドな要素もありつつ、メジャーな世界を目指しているという共通点もある。そんな“種”同士が食い殺し合う勢いで戦って、相乗効果でいいものが生まれてほしいという願いを込めています。

種 -Syu-

age “種”は“一つひとつ”という言葉にあるニュアンスを示した言葉だと思うんです。僕らそれぞれが個人レベルから始まって、バンドやユニットといった演者単位になって、もちろんお客さんも含めて、そこに生まれる“種”の概念をどんどん拡張していけたらいいなって、思います。 keisho 今回の4バンドって、gatoがエレクトロで、ravenkneeはバンドとエレクトロの融合、僕らがいちばんロックなバンドで、ある意味gatoとは対極にいる感じがするんです。 ryosei yamada(Vo.&Gt./the McFaddin 以下、ryosei) どのバンドもカッコいいと思っていることはある程度共通しているのに、やってることは全く違う。そこにすごく魅力を感じます。 keisho だから、ジャンルの違いはほぼ意識したことがなくて、今回唯一関西から参加する僕らの立場からすると、東京の洗練された感じを採り入れていきたいですね。

[caption id="attachment_346625" align="alignnone" width="1440"]種 -Syu- L:ryosei yamada R:keisho maeda[/caption]

━━東京と関西の違いとは? ryosei 僕らが知る範囲のバンドシーンにおいては、技術的にパソコンを触れる人、それをライブで体現できる人は、東京のほうが確実に多いと思います。全体的な動きとして、新しいものを積極的に採り込んで、ブラッシュアップしていってるイメージが強いです。 keishoもちろん、京都、関西にもそういう人たちはいるけど、確かにそうだね。地域単位になると、東京だけでカルチャーがどんどん進んでいるような気がするんです。僕らはそこにある結界みたいなものをぶち壊したい。京都とか東京とか関係なく、もっと大きなスケールで、互いに刺激を与え合っていいものを追求していけたらなと、思います。 中川 その“結界を壊す”みたいなことに近い意識は僕らにもあります。さっきも話しましたけど、他の3バンドのように、クラブカルチャーに根付いたイメージはないと思うんですけど、やっぱりエレクトロも好きだし、今回はDJもたくさん出てくれるので、すごく嬉しいし楽しみです。 中村 ひとつの“種”だけだとやがて息絶えてしまう。いろんな“種”が混ざってこそ、新たなシーンが生まれ活性化していく。そこがこのイベントの醍醐味なんじゃないかと思います。 higashi まさにそうですね。僕ら以外に出てくれるゲストアクトも、そういう想いで呼ばせてもらいました。DJは今回、あえて個人ではなく、<Ajam>、<TIPS>、<FORM>と、近い志を持っているパーティ単位でブッキングしました。Group2(DJ set)は、以前asiaで<ZONE>というイベントをやっていた繋がり。illiomoteとJohnnivanは、一緒にやってそうなんですけど、いいタイミングのなかったバンド。kycohは若手でもっともおもしろいと思っているバンドで、今回はオープニングアクトですが、次は主催側にいるかもしれない。そういう新たな動きを感じられることは大きな魅力だと思います。 ━━そこにWez Atlasがいることも、すごく興味深いです。 higashi ヒップホップは今すごく元気がいいなかで、僕らから見たヒップホップの要素も入れていきたいと思ってるんです。その最初の一手がWez Atlasですね。僕らならではのミクスチャー感も、味わってもらいたいです。 joe そしてまた、それぞれに散って“種”を芽吹かせて、再びみんなで集まって何かやりたいって、気が早いですけどすでにそう思うくらいワクワクしてるんで、まずは1回目を楽しみにしていてください。

Text by TAISHI IWAMI Photo by 横山 渉

EVENT INFORMATION

種 -Syu-

SyU-種-×Ajam -clubasia 24th Anniversary-

2020.03.08(日) OPEN/START 15:00 渋谷clubasia&渋谷LOUNGE NEO ADV ¥3,000/DOOR ¥3,500(1ドリンク別) LINE UP: [-種- ACT] ravenknee gato the McFaddin POINT HOPE [-GUEST- ACT] Group2(DJ set) illiomote Johnnivan Wez Atlas Gi Gi Giraffe Omoinotake kycoh(O.A) [-亜種- ACT] 東京亜種 S亜TOH RiL valknee Us DVESHA SALICHANMODE Mari Sakurai [DJ] Ajam (遠藤孝行,斎藤雄,片山翔太,村田タケル) TIPS (斎藤雄,SHiN,YUU UMEMOTO) FORM (JUDGEMAN,tommy.arakaki,age) [VJ] Hello1103 OYAMADA [FOOD] みやん軒 ミンキッチン 詳細・チケットはこちら

種 -Syu-
ravenknee 東京を拠点に2017年12月始動。 同日「daydreaming(short ver.)」をYouTubeに公開し注目を浴びる。 2018年4月に自主制作盤『1st EP』を世に送り出し、8月には早々とSUMMER SONIC 2018に出演を果たす。 同年11月Debut EP「PHASES」を、2019年7月に「ubugoe」、9月に「Pick you up」を配信リリース。 そして10月には1st Full Album「the ERA」をリリースし、渋谷WWWにて自身初となるワンマンライブを12月に開催し成功を収める。 ドラマティックに高揚するエレクトロサウンドをベースに、イギリスや北欧を中心とした世界中の音楽的ルーツを唯一無二のセンスで色濃く抽出し、 エッジーに煮詰め、 ポップミュージックに仕上げられた楽曲たちが新たな時代の最前線を担う。

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種 -Syu-
gato 2018 年、突如インディーシーンに現れたエレクトロバンド《gato》。 昨今のムーブメントである post dubstep, future bass, hiphop といったジャンルを基調にしつつも、ゼロ年代 ドイツエレクトロシーンや北欧エレクトロニカの流れをも感じさせるバンドサウンドは、現行のインディーシーン において唯一無二の存在。 同年 12 月に、1st EP『Luvsick』を配信限定でリリース。当時全くの無名にも関わらず、表題曲「Luvsick」が TOWER RECORDS や HOLIDAY! RECORDS などのプレイリストに選出され、早耳リスナー間で話題を集める。 渋谷 Glad にて開催した同 EP のリリースパーティでは、カルチャーとしての音楽にフォーカス。 ヒップホップ・トラックメイカー・シンガー・DJ と表現の幅を絞らず、CIRRRCLE, pavilion xool,Utae など 同世代の多彩なアーティストを招集。初の自主企画ながらも 150 人超の動員を記録しソールドアウト。 2019 年 4 月、新メンバーとして sadakata(VJ) が加入し現体制に。ボーカル age の美声、曲を繋いで演奏する DJ ライクなパフォーマンス、映像と楽曲のシンクロ率の高さが武器のライブには定評があり、イベンター・DJ・ ブッキングマネージャーなど、各所から出演オファーが殺到中。多い月は 10 本近くイベントに出演することも。 初見のオーディエンスから対バンアーティストまでをも虜にし、着々とファンを増やしている。 時はサブスク戦国時代。Billie Eilish, BTS, Black Pink などを筆頭に、加速度的にボーダレスな化が進む 世界の音楽市場に向けて、日本発信で真正面から勝負できるアーティストになることを目指す。

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種 -Syu-
the McFaddin 関西を中心に活動中の5人組ロックバンド。 ヒップホップ、ニューウェイブ、エレクトロ等メンバーそれぞれのルーツとなるサウンドを詰め込んだ、1st Full Album「Rosy」を2019年7月に発売。ネットストアにおいて入荷後すぐにソールドアウトになるなど注目を集める。 同年9月に自身初の海外フェス公演を行い、全編現地にて撮影を行ったMV「N.E.O.N.」を公開した。 全編VJを導入しているロックバンドとして、多方面にて活動中。 現在では主催ナイトイベント「dip.」を京都METROにて定期開催しており、DJ、rapper、トラックユニットなど多彩なカルチャーをミックスしたパーティを行なっている。

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種 -Syu-
POINT HOPE Alternative music group from Tokyo

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SNS時代の心の痛みと孤独を歌うLAUVインタビュー|1stアルバム『~how i’m feeling~』が完成するまで

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LAUV(ラウヴ)の待望の1stアルバム『~how i’m feeling~』が完成した。2018年5月にプレイリスト『I met you when I was 18.』を公開し、その17曲とそれ以降にデジタルリリースされた3曲をCD化した日本独自企画盤が昨年4月に出てはいたが、ワールドワイドでのアルバムはこの『~how i’m feeling~』が初めてである。つまりこれが彼にとってのデビュー盤ということになるわけだ。 アレッシア・カーラ(Alessia Cara)からBTS(防弾少年団)まで6組のアーティストとのコラボレーション曲を含む全21曲は、ヒットポテンシャルの高いポップソングが多く並び、LAUVがソングライターとしてもシンガーとしても『I met you when I was 18.』から大きく進化していることがよくわかる。ただ、ひとつ気になることもある。ハッピーだったりロマンティックだったりのラブソングよりも、自身の心の痛みや孤独感を赤裸々に歌詞に綴った曲がやけに多いのだ。それはどうしてなのか。LAUVに話を聞いた。

Interview:LAUV

――遂に1stアルバムが完成しましたね。いまの気持ちは? すごくいい気分だ。今回、僕は初めてアーティストとしての自分の全てを見せることができたと思う。 ――アルバムには21曲(ボーナストラック含めて全22曲)が収録されています。全部で何曲くらい書いたんですか? 40曲くらいかな。いや、もっとあったかもしれない。だから選ぶのに苦労したよ。 ――21曲というのはなかなかの多さですが、そのくらいたっぷり入れることに拘った。 いや、単純に好きな曲を全部入れただけだよ。はっきり言って、いまの時代、ルールはないと思うんだ。 ――このアルバムのテーマについて話してください。 自分のなかのさまざまな部分を全て受け入れるということ。これは、ひとりの人間のなかに複数の人格が存在していることを描いた作品なんだ。それを表現するために6つのキャラクターを生み出した。紫は実在している僕、青は夢見がちで可哀想な僕、緑は間抜けな僕、黄色はポジティブな僕、オレンジはやんちゃな僕、赤は刺激的な僕。それらが合わさって僕という人間が形成されている。ひとりのなかにボーイバンドがあるような感じをイメージして作ったんだよ。 ――“Sims”のオフィシャル・ショート・フィルムにも出てくるその6つのキャラクターは、どのように生まれたんですか? 一緒に仕事をしている仲間と「アルバムの曲はすごく多様で、色とりどりのサウンドがある」って話をしているなかでアイデアがでてきたんだ。アルバムは、「自分は誰なんだ」「ネット上では自分をどう表現すればいいんだ」というような実存的な危機意識から作っていった。そういうところもこの6つのキャラクターに反映させている。自分のなかにあるのはひとつじゃなくて、いろんな側面があるということをみんなにわかってもらいたかったんだ。
――アルバム・タイトルを『~how i’m feeling~』とつけたのも、そのことと関係ある? まあそうだね。ある朝起きて、その日の感情だったり、その日はどんな自分でいるのかというのは、当然違うわけで。それを正直に歌いたかった。 ――前回のインタビューで「新しい家に引っ越してスタジオも作ったから、そこで制作することが多くなった」と話していましたが、アルバムもそこで作ったんですか? ほとんどの曲がそうだね。何曲かはほかの家で制作したけど、いわゆるレコーディングスタジオで録音した曲はない。レコーディングスタジオが好きじゃないんだ。 ――歌詞を見てみると、ハッピーなラブソングやロマンティックな曲よりも、あなた自身の心の痛みだったり孤独だったりを赤裸々に表現しているものが多いようですが、この1~2年は辛い時間が多かったのでしょうか? このアルバムの制作の大半は、2018年から2019年の初めにかけて起きたことを自分なりに消化することを意味するものだった。僕は多くの問題を抱えていて、寂しくて、孤独で、精神的に最悪の時期だったんだ。そこから抜け出したときは、以前よりもっと幸せを感じることができた。制作によって辛い日々を消化していったわけだね。 ――辛い状態に陥った理由を話すことはできますか? うん。話すのはかまわないよ。鬱病と強迫性障害だと診断されたんだ。具体的な理由はなく、ただどんどん不安になっていった。不安になる理由を自分で探して治そうとしてみたけど、無理だった。緊張と孤独からそうなってしまったようで、僕はもうひとと関わることができないし、生きていられないんじゃないかと思ったんだ。それがまさしく強迫性障害の特徴なんだけどね。どうしてもネガティブな思考にとりつかれてしまって、自分が誰かを傷つけてないか心配になってしまうんだ。みんなに嫌われているんじゃないか、僕は悪い人間なんじゃないかって考えてしまって、どん底状態だったね。 ――その時期は音楽に向き合うのも辛かったのでは? うん。2018年の大半はそうで、曲を作るのがきつかった。本当はその年にアルバムを作る予定だったんだけど、納得のいく曲が書けなかったんだ。セラピーや薬の治療を始めてから、ようやく曲が書けるようになったんだよ。 ――そうだったんですね。それを乗り越えて曲を作り、特に手応えのあった曲や新しい扉を開けることができたと思えた曲は、どれですか? “Drugs&The Internet”だね。初めて自分を追い込んで、これまでに作ってきた曲とは違うタイプの曲を作れたという実感があった。「クレイジーな曲ができた!」って思ったよ。現代を生きるひとはSNSのリアクションをどうしても気にしすぎてしまう。なんて言われるかを気にして、自分の行動を変えてしまったりとかしてね。僕にもそういうところがあって、さっき言ったようにみんなに嫌われているんじゃないかって考えにとりつかれたりもした。でもこの曲が書けたことで、これからは型に捉われずいろんな曲を作っていこうと思えたんだ。
――ほかに手応えのあった曲は? “El Tejano”もこれまでと違ったムードの曲だから手応えがあったよ。“Who”は初めてベルティングボイスで歌った曲で、やってみて面白かった。“Modern Loneliness”も大事な曲で、僕が長い間感じていたことを歌っているし、きっと多くのひとが共感してくれると思う。“Billy”はけっこう奇抜な曲でね。どこからともなく生まれた曲って感じなんだ。まあ、どの曲も自分なりに冒険してできたものだよ。『I met you when I was 18.』を制作しているときは全てを同じ場所で書いている感覚があったけど、今作は冒険しながら書いた感じだ。
――アルバムにはゲストを迎えてのコラボレーションで作った曲が6曲入っています。その6組についてと、一緒にやってみての感想を聞かせてください。まずアン・マリー(Anne-Marie)から。 ひとりずつ話すの? OK。アン・マリーは僕の友人のなかで最も面白いひとりだよ。いい意味でぶっとんでいて、よく笑い、一緒にいると元気をくれる。一緒に仕事ができてよかったよ。“fuck,I’m lonely”は僕がオリジナルの曲を送って、彼女に自分のパートを録ってもらって、すごくスムーズに進んだんだ。
――続いてアレッシア・カーラ。 僕は彼女のファンで、前から歌声が大好きだった。ライブも観に行ったし、すごく尊敬していたんだ。それで曲を送ったら気に入ってくれたので、彼女なりにひねりを加えてもらうように頼んだ。互いのメンタルの話をしたりして、僕らはすぐに仲良しになれたんだ。“Canada”の2番の歌詞は彼女が書いてくれた。そして素晴らしいアレンジもしてくれた。声も最高だよね。 ――L.A.を拠点に活動するシンセ・ポップ・バンドのLANYはどうでした? LANYとコラボしてほしいというファンの声がツイッター上に多かったんだ。ポール(・クライン)とは去年から会うようになって、互いに惹かれるようになり、LANYのツアー中に“Mean it”のアイデアを送ったら気に入ってくれて、それで彼が彼のパートを歌ってボイスメールで送ってくれた。で、そのあと一緒にスタジオで完成させたんだ。いつか一緒にライブでこの曲を歌いたいね。
――BTSとはどういうきっかけで? 去年、彼らがロンドンでショーをしていたときに初めて会った。すごくいいひとたちで、会ってすぐに彼らの“Make it right”のリミックスに参加しないかと誘ってもらったんだ。彼らのアルバムのなかで一番好きな曲だったから「もちろん!」って答えてリミックスをした。そのあと僕が作っていた曲で“Who”という彼らにぴったりな曲があったから、初めのバージョンを送ったら、ぜひ一緒にやりたいと言ってくれた。とても自然な流れだったね。 ――メキシコのソフィア・レイエスとはどうでした? 彼女とやるきっかけは面白いんだ。L.A.の家の近くに「El Tejano」というレストラン・バーがあって僕はこの曲を作ったんだけど、偶然彼女もそのお店が好きだったらしくて。曲を送ったら「私もEl Tejanoが大好きなの!」って(笑)。完璧だって思ったよ。そんなこと知らずに曲を書いたんだからね。そこはL.A.っぽくないバーで、引っ越してきた頃にいろんな経験をしたところなんだ。彼女とはMVも一緒に撮ったけど、すごく優しいひとだよ。 ――イギリスのアン・マリー、カナダのアレッシア・カーラ、L.A.のLANY、韓国のBTS、メキシコ出身のソフィア・レイエス(Sofía Reyes)、それに前回のインタビューで話題に出たオーストラリア育ちのトロイ・シヴァン(Troye Sivan)と、出身や拠点を置く国がそれぞれ違うわけですが、意識的にいろんな国のアーティストを相手に選んでいるんですか? いや、特に意識してそうしているわけじゃない。6組が異なる国の出身だって考えたことがなかったくらいで。本当に自然とそうなったんだ。でも自分と同じアメリカのひととばかりやるのはつまらないと思う。グローバル化って言葉は堅苦しくて好きじゃないけど、実際に音楽と文化がこんなにグローバル化している時代だし、いろんな国のひととコラボレーションするのを楽しみたいんだよね。
――ところで、いま世の中で起きていることで、あなたが特に関心のあることはなんですか? 人間同士の本当の繋がりについてのことかな。いまの時代って、みんなが孤独であることを共有している感じだよね。ソーシャルメディアは、気持ちを高めてはくれるけど、満たしてくれるわけではない。たくさんのひとと繋がっていても、人間同士の深い繋がりにはならないというか。関心があるのはそういうことだね。あと、メンタルヘルスの問題も。僕が「Blue Boy Foundation」という財団を立ちあげたのも、社会のメンタルヘルスの問題に取り組むためなんだ。 ――最後の質問です。アルバムを作り上げたいま、5年後にはどんな活動をしていたいと思っていますか? 僕は5年後や10年後のことを考えない人間なんだ。そんなことを考えるのはつまらないと思う。とにかく好きなことをやり続けて、人間的に成長したいね。振り返ったときに、ああ、いろんな新しいことに挑戦できたなって実感できる生き方をしていたい。既にもう新しい曲を作り始めているんだけど、これからもっとたくさんの曲を発表したいし、「Blue Boy Foundation」の活動にも力を入れたい。ツアーで回る先々でもメンタルヘルスの問題に取り組んでいる団体のひとたちと会って、サポートできることがあればしていきたい。あとフリースタイル・ダンスをもっとうまくなりたいね。

Text by 内本順一

LAUV LAUV(ラウヴ)。LAを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサー。Lauvの由来は、母親がラトビア系であり、彼が獅子座ということもあり、ラトビア語のライオン「Lauva」の最後のaを抜いてLauvと名付けた。本名:アリ・レフ(Ari Leff)。ラウヴの名前を知らしめるきっかけとなったのは、彼がNY大学在籍時に発売したシングル「The Other」。そしてその後発売されたシングル「I Like Me Better」は世界的大ヒットを記録した。またチャーリーXCXの「Boys」(ゴールド・ディスク獲得)など、アーティストへの楽曲提供も行っている。2017年秋にはエド・シーラン来日公演のオープニング・アクトの出演が予定されていたが、エド・シーランのケガにより来日公演が延期となり、ラウヴの来日は中止となった。同年、デビューEP『ラウヴEP:ジャパン・エディション』を10月25日に発売。2018年3月、初の単独来日公演を代官山UNITで2回実施。2019年1月、トロイ・シヴァンを迎えたシングル「i’m so tired…」を発売。同年4月、デビュー以来デジタルで発売してきた全20曲を収録した来日記念盤『I met you when I was 18.』を発売。同年年5月、ジャパン・ツアーを東名阪で開催。2020年3月6日、全世界待望のデビュー・アルバム『~ハウ・アイム・フィーリング~』を発売。 Officialsite Facebook Twitter Instagram

RELEASE INFORMATION

〜ハウ・アイム・フィーリング〜 (〜how i'm feeling〜)

lauv Modern Loneliness 2020.03.06(金) ラウヴ (Lauv) LAUV/Traffic Inc. TRCP-260 ¥2,200(+tax) ボーナス・トラック収録/解説:内本順一/歌詞対訳付 Tracklist 1. Drugs & The Internet 2. fuck, i'm lonely (with Anne-Marie) 3. Lonely Eyes 4. Sims 5. Believed 6. Billy 7. Feelings 8. Canada (feat. Alessia Cara) 9. For Now 10. Mean It (with LANY) 11. Tell My Mama 12. Sweatpants 13. Who (feat. BTS) 14. i'm so tired...(with Troye Sivan) 15. El Tejano(feat. Sofia Reyes) 16. Tattoos Together 17. Changes 18. Sad Forever 19. Invisible Things 20. Julia 21. Modern Loneliness *リード・トラック 22. i'm so tired... (Stripped Live in LA)*ボーナス・トラック 詳細はこちら

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フッドめし – HoodFood #03 doooo × Kojoe

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし - HoodFood』。 今夜はシーズン1の#03が公開!

Comment from SEX Yamaguchi

dooooの現フッドである川崎・溝の口Kojoeがやってきた! 戦後の闇市から続くと言われている(諸説あり)、駅前に位置する溝の口駅西口商店街へご案内。古本屋や八百屋、居酒屋に焼肉店などが雑多にひしめく店舗の中からdooooがおもてなす本日のフッドめしは「いろは」の“やきとり”だ。 「塩でねぎま2本!とり皮2本!かしら2本!」まったく迷いのないオーダーは自信すら伺える頼もしさ。Creative Drug Storeの面々と行き慣れた場所なのであろう。 Kojoeも居合わせた会社員と一緒に写真を撮ったりしてGOODな雰囲気。 電車の走行音をBGMにやきとりとビール。dooooくん俺も案内してくれよ!

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #03 doooo × Kojoe

フッドめし - HoodFood #02 MARZY × doooo

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doooo

フッドめし プロデューサー,DJ。岩手県出身。 クリエイター集団CreativeDrugStoreに所属し、様々なアーティストにトラック提供を行う。 2016年に自身初となる12inchレコード「STREET VIEW / PURPLE FLOWER」をリリースし、シングル曲ながらも2,000円という高値で販売した為に各方面から批判を浴びる。 2017年11月に1stアルバム「PANIC」をリリースし、ジャケットに人肉MPCを使用した為リスナーの皆様から引かれる。 2019年6月に「人肉小銭入れ」を発表し、趣味が悪過ぎるDJ/音楽プロデューサーとして日本国内外から批判を浴びる。 その他に嫁の肩もみ、買い物の手伝いなど、精力的に活動を行っている。 TwitterInstagram

Kojoe

フッドめし 新潟生まれ、NYクイーンズ育ち。07年にNYのインディペンデント・レーベル・RAWKUSと契約し、コンピレーション『Rawkus 50 Mixtape Vol.1』に参加するも、その後にRAWKUSが閉鎖。09年に帰国後は英語と日本語をミックスし、ラップと歌の二刀を使い分けた高いスキルのラップ・スタイルを武器に数々のアーティストと共演。完全インディペンデントなスタイルを貫き通した孤高のラッパーとして日本のシーン内で特異な存在を確立。同業者からも圧倒的な支持を受け、様々なレーベルから様々な名義で作品をリリースし、近年はOLIVE OILや5lackとのリンクで新たなファン層を広げた。17年11月にアルバム『here』をリリース。この年を代表する日本語ラップ・アンセムとなった“BoSS RuN DeM”でのAKANE、Awichを筆頭に5lack、ISSUGI、BES、FEBB、MUD、OMSBら地域/世代/クルーの枠を越えた多彩なゲストが参加し、各所で高い評価を獲得。同作に参加した殆どのアーティストがゲスト出演した渋谷WWWXでのリリース・パーティの模様は、OLLIE誌で10ページもの特集されるという異例の大反響を獲得。また『here』からキャリアをスタートさせたMIXエンジニアとしての才も発揮し、専門誌「サウンド&レコーディング」のカバーも飾った。2018年には前作から9ヶ月という驚異的な早さでアルバム『2nd Childhood』を発表。ラップのみならず、前作からさらに磨きのかかったビート / プロデュース力が遺憾なく発揮されることとなった。そして2019年に入り新たな企画として『DemoTape』のリリースを開始。カセットテープでの1発録りというラップスキルと同様にRECスキルも問われる本作には、BUPPONと¥ellowBucksがそれぞれリリースを行い、今後も別アーティストの作品が控えている。歩みを止めないKojoe。2020年の次の一手に注目が集まる。 TwitterInstagram

SHOP INFORMATION

いろは

16:00~23:00/定休日 日曜・祝日 〒213-0001 神奈川県川崎市高津区溝口2-4-3 044-811-4881

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし - HoodFood LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN 18:00 ADV ¥2,000/DOOR ¥2,500 ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced 詳細はこちら

次回のゲストはGAPPER、OYG、WATTERのトリオ・Double Doubleだ! お楽しみに!

フッドめし - HoodFood #01#02

フッドめし

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自分達だけじゃない抜きの美学。sankaraが織りなすカルチャーを探る

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柔らかく心地いいRyoの歌と、熱を内に秘めたしなやかなTossのラップ、等身大の感情が綴られた彼らの音楽は、優しくもあり情熱的だ。sankaraを結成してからすぐの頃はくすぶっていたという彼らだが、昨年には初のEP『BUD』をリリース。それからは精力的な動きでシーンでの存在感を強めていった。 たなかみさきやニシクボサユリとのコラボに始まり、10月からは3ヵ月連続で配信(“Walking the river”、“Train”、“Callin”)リリース。その間TOKYO HEALTH CLUB、SUSHIBOYS、SPiCYSOLを招いたツーマンツアーを行うなど、様々なフィールドで活躍する感度の高いクリエイター、アーティスト達と交わることで、彼らのクリエイティブの領域は大きく拡張された。そうした経験が反映された新作が、2枚目のEP『SOP UP』である。既存の3曲に新曲3曲を加えた6曲入りで、中でも“Elevator”という懐の深い1曲からは、これまでにはなかったスケールを感じるはずだ。 ジャケットはドローイングアーティスト、SUGIが手掛けるなど、益々カルチャーとコミットしながら成長していくふたりの現在に迫る。

Interview:sankara

ーー新作の『SOP UP』ですが、おふたりにとってはどんな作品になりましたか。 Toss 僕的には、ちょっと前向き(笑)。前まではアンダーグラウンドでくすぶっている自分達の描写が多かったけど、去年いろんな経験をして、ちょっとずつ楽しくなってきたその気持ちがそのまま出ています。 Ryo 僕も一緒ですね。前回から引き続き反骨心は持っているんですけど、前に進みたいって思っている僕らの内面を曲に出しつつも、去年よりも優しくなれたのかなって思います。 ーーそれまでくすぶっていた理由と、去年一気に動き出せた理由はなんだと思いますか? Toss sankaraを組む以前からふたりで音楽はやっていたんですけど、sankaraを結成した時には、僕らは結構慎重になっていて。自分達がどういう音楽をやりたいのか見つめる時間を1年くらい作って、そこで見つけた音楽をどういうふうに世に出すかっていうことを同時進行で考えていました。 ーーそのくらい慎重に進めたかった? Toss もはや、ただいい曲を書けば世の中に広がるっていう発想はなくて、どうやったら広がっていくのかっていうことは凄く考えていました。今はカルチャーやアパレルと絡んでいくことで、自分達の音楽に相乗効果が生まれると思うんですけど、それは僕らが持っている手札ではできなかったことなんですよね。そこで今の事務所と出会ったのも運命的で、今はそういう部分で助けてくれる人がいるし、これをやったらカッコいいっすね!っていうことをシンプルに話し合えているので、ノーストレスで楽しくやれています。 ーー昨年には、たなかみさきさんや、ニシクボサユリさんとのコラボもありましたが、一緒に制作することで新しい発見や気づきはありましたか? Ryo 新しい層に届いたことですね。届けたくても届かせられなかったところに、踏み入れられたかなって思います。 Toss そういうカルチャーを好きな人が、僕らの音楽を聴いてどう思うんだろうっていうのが凄く楽しみだったし、だからこそ、たなかみさきさんとニシクボサユリさんが僕らの音楽をどう感じるかってことが超重要で。ふたりがちょっとでもフィールしてくれたら、お客さんにも広がっていくだろうなって思いました。僕自身ニシクボさんのTシャツはプライベートで愛用するくらい好きだし、いい関係になったなと思います。 ーー誰かと一緒にやる時は、作品はもちろん、まずは互いの人間性が大事だと。 Ryo まさに。僕らのこと好きですか? 僕はあなたのこと好きです、みたいな感じで(笑)。あとはカッコいいっすね、それ。って言えるかどうか。 Toss そう。カッコよければいい。 ーーTOKYO HEALTH CLUB、SUSHIBOYS、SPiCYSOLとのツーマンライブはどういう出会いになりましたか? Toss TOKYO HEALTH CLUBはニコアンドのフェスで一緒になった時、話した瞬間にバイブスが合って。SUSHIBOYSは、現場で初めましてだったんですけど、彼らや、彼らのお客さんが僕らを聴いてどう思うかが超大事で、SUSHIBOYSと僕らはライブが終わった後に仲良くなったイメージ。お互い最初は人見知り気味にニコニコしていたところから、ライブが終わった後にはおつかれ!ってなった。それは凄く自然なことで、よかったなと思います。 ーSankaraとの共通点、もしくは決定的に違うけどリスペクトできるところってなんだと思いますか? Toss MC聞いてると沸々と熱いものは感じるし、根底にヒップホップやブラックミュージックがあるところは共通していました。 Ryo 確かに、アウトプットは違うけど、お互い掘っていくと同じところにアンテナ張ってるところはあったよね。 Toss TOKYO HEALTH CLUBも一緒で、僕らとは一見違うようにも見られるんですけど、根底には通ずるものがあるなって思います。 ーーSPiCYSOLは? Toss 結構長いこと関係値があって、もう3年くらい一緒にやってきて仲もよかったので、必然の空気ができてたかな。仲良いからこそお互い殺し合うようなツーマンをする関係だし、馴れ合いにはなってない。SPiCYSOLとツーマンできてよかったです。
ーーつまりおふたりの中にビジョンはあったけど、手札がなかったという状態から、一気に外と繋がっていったのが昨年後半の動きだったと思います。実際今は世界のシーンを見ても、チームやコレクティブで動いていくアーティストが多い時代ですが、おふたりも繋がりを増やしていきたいという気持ちがあったんですか? Ryo ありましたね。 Toss まさにそうで、たとえば僕らはトラックを作れないので、プロデューサーや関わってくれた人はいわばそこの職人さん達なんです。で、僕らはラップと歌を職人として作って、それが合わさってできた作品をその道のプロに羽ばたかせてもらうイメージで。今回の『SOP UP』も「吸収」という意味なので、僕らはいろんな人のいいところをスポンジのように吸収して、作品としていいものを世の中に出す。それで自分達が満足できたらハッピーだなって思います。 Ryo 僕らが素直になったっていう感じかな? Toss うん。大人になった。 Ryo そうだね(笑)。カッコいいと思ったものに対して僕らは正直だし、自分達よりカッケぇって思った時は、素直に「あなたカッコいいです、助けてください」って言えるようになりました。 ーそのメンタリティは3ヵ月連続リリースの曲(“Walking the river”、“Train”、“Callin”)には反映されているんですか? Toss めちゃめちゃ反映されてますね。3曲ともバラバラな世界観だったし、僕はラップを書く時には、それぞれの楽曲の持つ世界観に乗っかりたい気持ちがありました。 Ryo 割と今までは僕らの内面や生活を知っている仲間にトラックを作ってもらっていたので、自分達の音源を聴いてもらって、そのイメージで曲を作ってもらうっていうことが初めてだったんです。 Toss 僕らも送られてくる曲を聴いて、「俺らってこんなイメージなんだ」って楽しんでたよね。
ーーどんなイメージを持たれていると思いました? Ryo 意外と明るいと思われているんだなって(笑)。 Toss あはは。 Ryo 割と陰なイメージを持たれていると思っていたんですけど、意外と僕らのハッピーな部分を感じ取ってくれていて。ちゃんと曲を聴いてくれているんだなって思いました。 ーーリリックからは、決意表明的なところもある印象でした。 Ryo 決意表明という意識はなかったんですけど、きっと今自分達がそういう状況にいるってことを心のどこかでわかっているから。勝手に言葉になって出てきているのかな。 Toss リリックには普段の僕らがそのまま出ているので、現在、自分が考えていることですね。やっぱりフィクションよりもノンフィクションで自分のことを書く。ただ、赤裸々に書くんだけど言葉は選んで、アートに昇華しようっていうのがsankaraのスタイルだと思います。 ーー『SOP UP』の中で、一番新しい自分達を出せたと思う曲はなんですか。 Toss 最後の“Elevator”は僕らにとっても新しい世界観になっています。たとえば自分が車の中でラジオを聴いてたら、洋楽だって思って聴いてたところにいきなり日本語が出てくる時のサプライズが僕は好きで。“Elevator”は英語でバーっとRyoのボーカルがきた後に日本語でラップが入っていくので、そういうサプライズになり得る曲だなって思います。 Ryo トラックのアプローチも今までにはない作り方をしていて、まず、僕らにはアッパーがなかったんです。まあ、これをアッパーと言ってもらえるかはちょっとわからないんですけど(笑)、英語もあそこまでフルでやることはなかったから、全部新しかったよね。アゲです。 Toss そこは推さなくていいから(笑)。
ーー(笑)。ちょっと余白やスケールの大きさを感を感じる曲だと思いました。 Toss 確かに。スケール感はダントツですね。今まではミニマルにライフスタイルに寄せて、部屋の中っていうイメージだったのが、やっとちょっと外に出た感じです。 ーーsankaraの新しい側面を出せた新作ができましたが、これからRyoさんはどういう歌を歌いたいと思っていますか? Ryo サビを歌う者としては割とジャンルは関係なくて、BLさんとか今でいうPUNPEEさんもそうですけど、僕はsankaraのフックになる立ち位置にいたいと思います。彼のリリックに熱がこもっていたら僕の歌はそれを冷まして浄化させる場所になりたいし、もちろん曲によってはそのままストレートに熱を追加していく役割にもなりたいし、sankaraのいいところになれればなと。 ーTossさんはどういうラップが好きですか? Toss チルな感じですね。EVISBEATSさんや田我流さんの世界観が大好きす。僕はあの辺がドンピシャなんです。自分がそうなれたらいいなっていうのは違うんですけど、そこにさらに新しい要素を持っていきたいっていうのは、しょっちゅう考えています。あと、僕はラップを広げたいっていう気持ちが凄く強くて。「ヒップホップ」って言ったら文化になるのでちょっと変わってくるんですけど、「ラップ」を広げるっていうのは僕は行けると思っています。 ーーというのは? Toss NHKでもっとラップがかかってもいいよねっていう感じですね。素晴らしい歌詞や世界観はいっぱいあるけど、やっぱり日本だと...…。 ーーラップっていうだけでマイノリティになり過ぎる? Toss そう。それを変えたい。僕はそこを凄く意識してリリックを書いています。で、そういうラップを広めたいっていうマインドをsankaraに落とし込みながら、ボーカルで中和してもらうことでいいものになるっていうのが、僕らのいいところだと思います。 ーー中和するっていうのは? Toss 僕は我が強いので、その我を抑えてくれる場所っていう感じですね。僕はそれって凄く大切な作業だと思っていて、個人的にはアルバムを通してそれを凄く学びました。 ーーある意味、「俺!」っていう作品にならないところがsankaraのいいところ? Ryo あはははは! Toss そうですね(笑)。俺俺しているのもカッコいいと思うんですけど、sankaraのいいところはそこじゃない。ちょっと抜きの美学というか、グループで学ぶのが素晴らしいことだと思っています。 ーー最後にこの作品を出して今年どういう風に過ごしていこうと思っているのかを聞かせてもらえますか。 Ryo 待ちに待ったワンマンができるので、とりあえずそこですかね。新しい自分らにならないといけないし、確実に楽しませるつもりでいくよね。 Toss もちろん。 Ryo sankaraだけでライブ会場を埋める景色を見たいですね。その後は引き続きいろんな人と絡みながらチームを大きくして、みんなで上がって行きましょうっていう感じですね。

Text by 黒田隆太朗

sankara ラッパーのTossとヴォーカルのRyoからなるグループ。 二人とも幼き日を海外で過ごし、本場のヒップホップやR&Bに触れて育つ。その豊かな音楽経験によって培われたセンスを活かした、アーバンでスムースなトラックと、英語と日本が溶け合うような歌詞やメロディー。まさに“sankara節”と言えるオリジナリティは、生活にそっと寄り添う優しい肌触りや、パーティを彩る華やかさ、今を前向きに強く生きられるアンセム性など、さまざまな魅力を持っている。新しい世代の感覚を以て、聴く者のシチュエーションとともに育つという、ポップソングの持つ普遍性を更新するパフォーマンスは必聴必見だ。 official site Twitter Instagram YouTube Apple Music Spotify

EVENT INFORMATION

Advent Calendar

sankara 3月10日(火) 19:00-23:00 hotel koe tokyo ENTRANCE FREE LIVE sankara DJ BAKU(KAIKOO) DJ SHOTA YACHA Alexander Lee Chang マキシマム・ザ・ハラミ hotel koe tokyo

sankara「SOP UP」release party FUK

3月14日(土) OPEN 19:30 福岡MERICAN BARBERSHOP FUK 前売券 ¥2,500(D別)/当日券 ¥3,000(D別) 出演 sankara ケンチンミン DJ KRO DJ AKITO RYOKO 週末CITY PLAY BOYZ NOSK Mr.coNYroo DJ SHOTA チケット

Sankara「SOP UP」release party

sankara 4月25日(土) OPEN 17:00 WALL&WALL 前売券 ¥3,500(D別)/当日券 ¥4,000(D別) チケットはこちら

RELEASE INFORMATION

SOP UP

sankara 2020.03.11(水) sankara RR-006 Rure Records ¥1,800(+tax) sankara HP sankara Twitter

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斉藤アリスと行くとらや 赤坂店、吉野ヒノキで魅せる伝統とモダニズム

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斉藤アリス
室町時代の後期、京都で創業された和菓子の老舗・とらや。そのフラッグショップともいえる赤坂店がリニューアルオープンしたのは、2018年10月のこと。 世界的にも有名な建築家・内藤 廣氏によって手掛けられた店内は、壁から天井に至るまで奈良県産の吉野ヒノキをふんだんに使用。細やかな木目と柔らかな色味がおりなす温かくも洗練された空間は、和菓子のもつ繊細な美しさがそのまま表されたかのような建築となっています。
斉藤アリス
吉野ヒノキの香りが漂う店内
斉藤アリス
2F・売場
斉藤アリス
斉藤アリス
3F・虎屋菓寮
見た目に美しく、触れて心地よく、そして香しい店内。 今回は、モデルでありカフェライターとしても活躍中の斉藤アリスさんに『とらや赤坂店』でのひとときを過ごしていただきました。 斉藤アリス

インタビュー:モデル・ライター 斉藤アリス

――こちらの赤坂店には今回初めて来店されたそうですが、とらやさんの和菓子を召し上がったことはありますか? はい。とらやさんと言えば羊羹が有名ですが、葛切りやあんみつもすごく美味しいですよね。身体中に染み渡るような濃厚な甘さが本当に美味しくて。それから、私の地元・愛知県西尾市はお茶の名産地なんですけど、お茶づくりが盛んな土地には和菓子屋さんが多かったり、小学校でも茶道の授業があったり、和菓子は小さい頃からよく食べていましたね。
斉藤アリス
あんみつ(黒蜜)
斉藤アリス --アリスさんにとって和菓子は馴染み深いものなんですね。では、今回は実際に赤坂店に来ていただきましたが、店内の雰囲気や内装など、どんな印象を持たれましたか? 陽の光がたくさん入る構造になっていたり、細い木を組むことで浮遊感のあるエアリーな空間になっていて、すごく気持ちがいいですね。それと、お店に入った瞬間にすごくいい香りがしました! 初めて来たのに居心地が良くて、木の奥深い香りがすごく落ち着きます。 以前、日本アロマ環境協会主催の「東京2020」をテーマにした香りを何百作品もの中から決めるというイベント(AEAJイメージフレグランスコンテスト)で審査員をさせていただいたことがあり、その作品の中にヒノキを使っているものがとても多かったんです。その時に、海外の方にとってもヒノキの香りはすごく日本を感じるものなんじゃないかなと思ったことがあって。日本の侘び寂びみたいなものを日本ならではの木の香りで感じてもらうのはとても素敵だなと思いました。とらやさんではこれだけたくさんの木を使っているので、わざわざ香りを焚かなくても本物のヒノキの香りが漂ってきますよね。 --都内でもここまでふんだんに木を使った建物は他に見られないのだとか。「簡素にして高雅」というコンセプトを基にデザインされたそうです。 斉藤アリス
斉藤アリス
伝統的な組子を新たにデザインした千本格子
斉藤アリス
売場から虎屋菓寮へ繋がる螺旋階段
斉藤アリス 斉藤アリス 続きはこちら

SHOP INFORMATION

とらや 赤坂店

住所|東京都港区赤坂4-9-22 電話|03-3408-4121 営業時間| 直営店 8:30〜19:00(平日) 9:30〜18:00(土日祝) 虎屋菓寮 11:00〜18:30(平日) ラストオーダー18時 11:00〜17:30(土日祝) ラストオーダー17時 ※ランチタイム 11:30〜14:30 詳細はこちら

取材・文:野中ミサキ(NaNo.works) 写真:佐藤大輔 ヘア・メイク:つばきち

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キエフのアンダーグラウンドカルチャーの精鋭チームがレーベルを始動。やっぱり東欧がおもしろい。

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“東がおもしろい”その直感から現地情報を追い求めて何年が経っただろうか?“東”というのはベルリンのことではない、ヨーロッパにおける東=東欧のことである。ユーロではない独自の通貨で物価が安く、西欧に染まらない独自の感性を持っている。その中でもウクライナのキエフにおけるアンダーグラウンドカルチャーの成長が著しいことはこれまでにも幾度となく伝えてきた。そしてまた、キエフからまたしても興味深い情報が入ってきた。 そんな今回は、現在勢いを増しているキエフの新興レーベル〈Eleatics Records〉、そして、キエフの魅力についてお届けする。
常に世界各地の、特にヨーロッパにおけるアンダーグラウンドシーンにアンテナを張り、情報収集をするのが日課であり、仕事でもある。しかし、東京に住んでいた頃の方が熱心に収集していた気がする。なぜなら、私の住むベルリンはありがたいことに放っておいても“外”の情報が入ってくる環境下にあるからだ。ここを活動拠点とするために世界各地から一流アーティストが多数移住し、クラブやイベントスペース、レコードショップが数え切れないほど存在し、インターナショナルな人種が集まっている。たとえそれが、人口の一部の人間に当てはまることであっても、カルチャーが面白くならないわけがない要素が詰まっているのだ。 そして、そうやって得た情報を元に、ヨーロッパ各地を取材や旅行で回っているうちに現地のローカルシーンを担う人たちと出会っていくのである。私が音楽の仕事に携わるようになってからおそらく15年以上は経っていると思うが、一時もやめたいと思ったことがないのはこういった素晴らしい出会いがあるからであり、日本にいた時は体感出来なかった各地のローカルカルチャーに直に触れることが出来るからである。 そんなエキサイティングな日々を送っていたある日、冒頭でも挙げた通り、ウクライナのキエフを拠点とするダンスミュージックレーベル〈Eleatics Records〉のスタッフからコンタクトがあった。同レーベルは、DJ Kon’として90年代から活動しているAleksei Kononovをオーナーに、A&RチームのMaksym Zaiets, Viacheslav SenとKirill Buryak、マスタリングエンジニアのArseniy Volosを中心としたチームで編成されており、彼らが10年間に渡り得た経験と知識を糧に2017年の1月に設立された。 スイス拠点のOnur Ozmanのリリースを皮切りに、D-Nox、Petar Dundovなど、世界的アーティストのリリースを精力的に行い、わずか3年でBeatportのmelodic house&technoジャンルで11位にランク入りした。そして、次にリリースを控えているのが、フレンチミニマルの奇才dOPによる初のEPというのだ。今まさに欲していた音であり、自分自身のダンスミュージク欲が再燃したのは言うまでもない。 Damien VandesandeとJonathan IllelによるフレンチデュオdOPは、ピアノやパーカッションといった生楽器を使ったオーガニックなサウンドにこだわりを持ち、グルーヴィーなジャズやトリッピーなファンクを取り入れた一筋縄ではいかないアヴァンギャルドなトラックに、Jonathanのアクの強いハスキーボイスが異彩を放つ唯一無二の存在である。彼らのライブパフォーマンスは常に型破りで煌びやか、時代を超越した強いメッセージ性を持ち、オーディエンスを虜にするカルト的人気を誇っている。
そんなdOPが〈Eleatics Records〉からリリースする記念すべき初EPのタイトルは『Carousel』。同曲は、エッジの効いたシンセに、パーカッション、そして、dOPサウンドに欠くことの出来ないJonathanによる妖艶なボーカルが際だつジャジーミニマルハウスに仕上がっている。また、ブルックリン拠点の人気デュオBedouinがリミックス参加しており、オリジナルのメロディーとボーカルをより強調させたエレガントでトリッピーなトラックに仕上げており、B面では、ベルリンとパリを拠点とするキャリアフィメールDJ、Jennifer Cardiniもリミックスを手掛けている。 『Carousel』は、まさに実力派アーティストによるそれぞれの持ち味とdOPとのハーモニーが絶妙に絡み合った名盤と言える。3月後半にヴァイナルが先行リリースされ、4月24日にはデジタルにて世界同時発売が予定されている。以下からプレオーダーや試聴が可能となっているので、是非ともチェックして欲しい。 プレオーダー 試聴 リリースする楽曲以外にも注目したいのが、アートワークである。レーベルのチームの1人としてロゴデザインからヴァイナルのアートワーク全てを担当しているのが、デザイナーのSergiy Romanyukである。白と黒のみで統一されたモノクロームの世界は、一環して宇宙をイメージさせ、その中に動物や人、自然などのモチーフが非常に細やかに繊細に描かれているサイケデリックとモダンが共鳴した異次元が素晴らしい。思わず、ギャラリーのように並べて鑑賞したくなる。 キエフは時に“ネクスト・ベルリン”と呼ばれることがあり、これには賛否両論の意見があるし、私自身も最初にそれを聞いた時は正直ピンとこなかった。しかし、キエフのトップクラブ「Closer」との親交は深く、オーナーでDJのTimur Bashaとベルリン拠点の日本人DJ Yone-koによるパーティー<Wordless>は両都市で頻繁に開催されており、ベルリン拠点のフィメールDJ、VeraとAlexandraが主宰するレーベル〈Melliflow〉と「Closer」主催によるパーティー<Melliflow&Closer Kiev>も不定期開催されている。 ベルリンは90年代からすでにアンダーグラウンドシーンが出来上がっており、そのシーンを担う人物はキャリアからして年齢層も高い傾向にあるが、キエフは20代30代が中心となって今のシーンを作り上げているフレッシュさがある。若い感性を取り入れたファッションやアートも一緒に成長させており、クラブやフェスにオシャレな客層が多いことも納得である。
「BRAVE! Factory」photo by : Hiroyuki Koshikawa
「BRAVE! Factory」photo by : Roman Ketkov
キエフに関して自分が執筆した記事を思い出しながら、そろそろこの地へ再度足を運ぶべきだと考えている。 “Closer” PRインタビュー キエフの街中にある壁画アート 「BRAVE! Factory」現地レポート

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最も稼ぐDJとしてThe Chainsmokersが世界の中心に君臨するワケ

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俳優として活躍している新田真剣佑をボーカリストとしてフィーチャーした“クローサー (トーキョー・リミックス)”が、日本の洋楽チャートはもちろん総合チャートでも上位にランクインし、大きな話題を呼んでいる、ザ・チェインスモーカーズ(The Chainsmokers)。昨年の<SUMMER SONIC 2019>のヘッドライナー出演をはじめ、これまで何度も日本でのアクトをしていることから、存在を認知している人も多いはずだが、彼らは現在「最も稼ぐDJ」として名を馳せるほどの勢いがあるのだ。なぜ、今彼らは「世界の中心」として君臨できるのか?その魅力を5つのカテゴリーに分けて分析する!

はじめに:ザ・チェインスモーカーズとは?

ドリュー・タガートとアレックス・ポール、そしてマット・マグワイアからなるプロジェクト。2012年にニューヨークで結成され、14年に発表した楽曲“#SELFIE”が、全米ダンス・チャートで1位を獲得したことで注目、その後16年に発表した“ローゼズfeat.ロゼズ”、“ドント・レット・ミー・ダウンfeat.デイヤ”が軒並み総合チャートのトップ10入り、さらに“クローサーfeat.ホールジー”では同年最長記録となる12週連続1位にランクイン。グラミーでも「最優秀ダンス・レコーディング賞」を獲得するなど、一躍音楽シーンの最前線に躍り出た。さらに、コールドプレイ(Coldplay)をフィーチャーした“サムシング・ジャスト・ライク・ディス”のヒットによって、さらなる人気を獲得。17年リリースのデビュー・アルバム『メモリーズ…ドゥー・ノット・オープン』は、全米チャートで初登場1位、日本を含む配信チャートでも首位を獲得するなど、ジャンルを超越し時代を代表するミュージシャンとしての地位を揺るぎないものに。19年には<SUMMER SONIC>にヘッドライナーとして登場、さらに経済誌フォーブスが発表する「世界で最も稼ぐDJランキング19」にて初の1位に。また全世界でのトータル楽曲再生数260億回を突破、今や最も世界を熱狂させることのできるパワーを持つ存在になっている。

1.時代の空気を瞬時に取り入れる、感度の高い音楽スタイル

ザ・チェインスモーカーズが、現代最強のパワーを持つようになった要因のひとつと言えるのが、彼らの「DJ」スタイルにあると思う。フェスでの出演映像をご覧いただけたらお分かりかと思うが、最新のエレクトロ・ミュージックをベースにしながらも、ロックやポップス、ヒップホップなど、枠にとらわれない幅白いサウンドをスピン。「そこにいる人誰もを楽しませ、熱狂させる音は何か」という空気を瞬時に嗅ぎつけ、自由自在に音楽を変化させていく。彼らの柔軟性と洞察力の高さが、クラブのフロアやフェスの会場で大きな熱狂を生み、「世界で最も稼ぐDJ」としての地位へと導いたのではないかと思う。最新アルバム『ワールド・ウォー・ジョイ』においても、例えばカイゴ (Kygo)とコラボした“ファミリー”では、ここ最近注目されているカントリー・ミュージック的な要素を取り入れ、“シー・ザ・ウェイ feat. サブリナ・クラウディオ”ではトラップ的なエッセンスを散りばめるなど、いかに聴き手を「ジョイ(喜ばせることが)できるのか?」にフォーカスした楽曲ばかりが目立つのだ。 The Chainsmokers - Ultra Miami 2019 (Official Video)
The Chainsmokers with Kygo - Family (Official Video)

2.「汗」がほとばしるパフォーマンス!

ジャンルにとらわれない音楽性であると同時に、その表現スタイルも枠にとらわれない自由さを感じる彼らのサウンド。ライヴにおいても、ラップトップやターンテーブルとにらめっこしているだけではなく、ギターやドラムなどの「生楽器」を駆使したパフォーマンスを披露する場面も。しかも、轟く音はとてもエモーショナルで、思わず圧倒されてしまうほどだ。他のエレクトロニック系ミュージシャンやDJでも、それぞれの表現方法で楽しませてくれるので魅力的ではあるのだが、彼らのステージの場合は他とは異なる「汗」が伝わってくる。そのしぶきが音に還元されて、会場の隅々までをもダンスさせてしまう空間を作り上げているのではないだろうか。最新アルバムにおいても、ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー(5 Seconds of Summer)とタッグを組んで制作した“フー・ドゥー・ユー・ラヴ”は、スケール感がありながらも2組のバックグラウンドの異なるグループが、一心不乱に音をかき鳴らしている鼓動が伝わりエキサイトする。 Who Do You Love (with 5 Seconds of Summer) (Official Video)

3.「ドラマ性」のあるキャッチーなメロディ!

エモーショナルな部分を表現し、誰もを熱狂させることだけが、ザ・チェインスモーカーズの魅力ではない。一方で、メロディの美しさ、流麗さも人気のポイントでないかと思う。一度聴いたら思わず口ずさんてしまいたくなるキャッチーさがあり、しかもその展開がアメリカのポップスのような大胆な印象ではなく、日本の音楽に通じるよう繊細な「ドラマ」を感じさせるようなものなのだ。実際どういう思いでこういう旋律を選んでいるのかは不明であるが、メロディだけでも楽曲の持つストーリーや彼らの思いが伝わるようなものを提示したいという考えが伝わってくるのだ。最新作においては“プッシュ・マイ・ラック”で響かせるメランコリックな旋律は、せつない余韻を与える美しいものになっていると思う。 The Chainsmokers - Push My Luck (Official Video)

4.パズルの最後の「1ピース」のような歌詞

スマートフォンなどを通じて「自撮り」をする日常を追いながらも、それで満たされることのない孤独を描いた“#SELFIE”。離れ離れになってしまった恋人との距離に思いを馳せる“クローサー”など、彼らの描く歌詞は、時代の持つ空気感を的確にとらえながらも、どんなに時が経過しても人間が抱える喜びや不安などを赤裸々に表現したものが多い。しかも、それらの出来事を、一歩退いた冷静な視点で表現したものが多く、聴き手の感情によって、さまざまな風景や状況が導き出されるものばかりなのだ。またその言葉の数々は、「パズルの最後の1ピース」のように、心の隙間にちょうどよくハマるものが多い。最新作においても“テイクアウェイ with イレニアム feat. レノン・ステラ”は、本当は好きな人とともに生きていきたいけど躊躇する心境を描いているものの、その奥底には「一歩前進できない」もどかしさをありのまま表現している印象で、多くの人の心に届くような仕上がりになっていると思う。 The Chainsmokers, ILLENIUM - Takeaway (Official Video) ft. Lennon Stella

5.多様なミュージシャンとコラボし、新たな魅力を構築

DJやエレクトロ系のミュージシャンが、ヴォーカリストを迎えて楽曲を制作するのは、今や当たり前の状況にある。ザ・チェインスモーカーズもホールジー、コールドプレイ、さらに最新作においてもファイヴ・セカンズ・オブ・サマーや“P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー”ではブリンク182(blink 182)をフィーチャーするなど、多彩なミュージシャンたちとセッションを重ねている。しかも、今まであまり耳にしたことがない人たちばかりだ。これは、彼らのソングライティング・センスの上手さと、またミュージシャンの新たな魅力を引き出す才能があるからこそなのではないか。実際、過去に披露してきた楽曲も、彼らとタッグを組んだからこそ見えた表情がたくさん詰まっている。もちろん新田真剣佑がヴォーカルで参加した“クローサー (トーキョー・リミックス)”も同様。洋楽の感覚を残しながらも、せつなさがにじむ新田の歌声や繊細なメロディ展開などによって「J-POP」らしい魅力もプラスさせ、新しい「ボーダーレス」な音楽として、多くの人に衝撃と認知を与えた結果、現在のヒットに結びついたのではないかと思う。
今という時代を的確にとらえながらも、それだけに流されない普遍性を兼ね備えている、ザ・チェインスモーカーズの音楽。最新アルバム『ワールド・ウォー・ジョイ』においても、その要素を見事に表現し、新たな「喜びに溢れる世界」へと導いてくれる。興奮と甘美が共存する他にはない時間を、じっくり堪能していただきたい。
Photo by Masanori Naruse

Text by Takahisa Matsunaga

RELEASE INFORMATION

World War Joy|ワールド・ウォー・ジョイ

新田真剣佑によるザ・チェインスモーカーズ"クローサー" 【日本盤CD(全16曲/デジタル配信のみ全15曲)】 発売中 ¥2,200(+tax) 新曲"クローサー(トーキョー・リミックス)"収録 日本オリジナル・ジャケット仕様 ボーナス・トラック6曲追加 【輸入盤/デジタル配信(全10曲)】 発売中 収録曲 01. The Reaper feat. Amy Shark|ザ・リーパー feat. エイミー・シャーク 02. Family with Kygo|ファミリー with カイゴ 03. See The Way feat. Sabrina Claudio|シー・ザ・ウェイ feat. サブリナ・クラウディオ 04. P.S. I Hope You’re Happy feat. blink-182|P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー feat. ブリンク・182 05. Push My Luck|プッシュ・マイ・ラック 06. Takeaway with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ with イレニアム feat. レノン・ステラ 07. Call You Mine feat. Bebe Rexha|コール・ユー・マイン feat. ビービー・レクサ 08. Do You Mean feat. Ty Dolla $ign & Bulow|ドゥー・ユー・ミーン feat. タイ・ダラー・サイン&ビューロウ 09. Kills You Slowly|キルズ・ユー・スローリー 10. Who Do You Love feat. 5 Seconds of Summer|フー・ドゥー・ユー・ラヴ feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー [日本盤ボーナストラック] 11. Closer (Tokyo Remi) feat. Mackenyu Arata|クローサー (トーキョー・リミックス) feat. 新田真剣佑 12. Takeaway (Sondr Remix) with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ (サンダー・リミックス) with イレニアム feat. レノン・ステラ 13. Push My Luck (Twinsick Remix)|プッシュ・マイ・ラック (ツインシック・リミックス) 14. Call You Mine (Keanu Silva Remix)|コール・ユー・マイン (キアヌ・シルバ・リミックス) 15. Who Do You Love (R3HAB Remix)|フー・ドゥー・ユー・ラヴ (リハブ・リミックス) feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー 16. Family with Kygo (Lune Remix)|ファミリー with カイゴ (ルーン・リミックス) *日本盤CDのみ収録 『ワールド・ウォー・ジョイ』をiTunesでダウンロード ザ・チェインスモーカーズ日本公式サイト 新田真剣佑公式Instagram 新田真剣佑公式Twitter

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珠 鈴 的 旅 vol.1|現地の人編

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一人旅は生まれて初めてで、日本から出るのは七年ぶり! 以前海外に行った時は小学生で、あの時の記憶はほとんど無いような気がする… 知らない土地に一人きりで居るってどんな気持ちなんだろう? その解放感を一度味わってみたいな。 そして、今までの自分を少しでも変えるきっかけが見つかったらいいな。 そんな考えでワクワクしながら一人旅を決意。

ここまで読んでくれた人には、凄く前向きな旅の始まりに見えるかな? でも、実際の私は… 「結局あまり誰とも話さずに帰ってくるんだろうなぁ。」 まあ最初だしそんなもんだろうって思っていたよ笑 実際に旅をした私は人と話さないまま帰ってきたの? その疑問への答えは、台湾に到着した瞬間に分かった。 ……。 「切符の買い方が全く分からない!!」 最初からこんなことある!? もちろん日本語は無いし、券売機のボタンを適当に押したら「error」の文字。 お札を入れたらすぐに機械から出てくるし。泣きそう。 あの時はパニックだったなぁ(笑) 勇気を出して誰かに聞くしか無いと思っていたら 一人の男性が私に声をかけてくれた。 彼は台湾の人だが、一生懸命日本語を喋ろうとしてくれる優しい人だった。 「行き先はどこ?」 「両替をしないと大きなお金は券売機では使えないよ!」 ひとつずつ説明しながら切符の買い方を丁寧に教えてくれた。 神かと思った。なんて優しい人なんだ。。 大袈裟かもしれないけど、この時の私は 日本で、知らない人にこんな優しさで接する人に出会ったことが無いと思った。 後から考えてみたら、切符の買い方レベルで困ることが無いから当たり前だ。 あの瞬間、何故か私は、台湾人全員が社交的で優しいのだと思った。焦っている時の思考は冷静になって思い出すとよく分からないことが多々ある。 これはあるあるじゃないですか(笑)? しかし冷静になっても、日本人は優しいのにシャイで、遠慮してしまう。知らない人に自分から声をかけるイメージがあまり無い。多くの日本人がそうとは限らないかもしれないけれど。 それに対して、旅が終わって帰国した今でも、台湾の人はシャイな人は少ないイメージ。 こんなに近い場所にある日本と台湾なのに、人の雰囲気は全然違うんだな。

私には足りない事があの人にはあって羨ましい。これは人間が当たり前に思うこと。 生まれ持った能力や環境は人それぞれ違うのが普通だし、 一生自分と一緒に生きていく、 この世の中の誰よりも、自分が一番自分と一緒にいる。 そんな自分の生まれ持った物に飽きてきて、他のものが欲しくなるのは当然だけど、それはないものねだりだと思う。 今まではそういう考えをしてきた。 でも、台湾の人に会った時は そんな考えは取っ払ってこの人柄を真似したい!と思った。 なれるかなれないかではない。 純粋に「良いな!」と思える魅力を感じた。 これはどう考えても私の今回の旅での一番の収穫。 正直、旅で最初から戸惑うとは思わなかった私は想像以上に焦ってしまった。 電車くらいすぐに乗れると思っていたのに。 でも、現地の人に助けてもらった。 この出来事のおかげで、これからの旅で何かあってもどうにかなりそうだなと、安心した。 実際に、行く先々で日本語を沢山使って話そうとしてくれるたくさんの現地の人の優しさに触れることが出来た。 ここに居る事が楽しくて仕方ない。 私はまた必ず、この土地に行く。

珠 鈴

2017年4月から東京にて音楽活動をスタート。 都会的でスモーキーなテクノに珠 鈴のメロディアスで透明感たっぷりのボーカルが特徴的。 サウンドはCity Your CityのTeppei Kitanoが担当している。 2019年5月29日には初のEPとなる『光の中を泳ぐ』をリリース。 等身大の10代が抱える悩みや世の中の疑問など、リアルに書いたリリックが同世代にじわじわと広がりつつある。

公式ホームページTwitterInstagramYouTube

EVENT INFORMATION

珠 鈴 珠 鈴 的 旅 2020.03.24(火) OPEN/START 17:00 恵比寿Batica DOOR ¥2,000 +1drink 学生 ¥1,000 +1drink *学生証必要 ACT:珠 鈴 GUEST:City Your City チケット予約

RELEASE INFORMATION

珠 鈴

デジタルシングル『透明』

iTunes/Apple music Spotify LINE MUSIC レコチョク

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OUTDRY EXTREME & Amy|都会のアウトドアライフ

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名前:Amy 職業:モデル 年齢:27歳

とても軽い着心地でした。裾や袖が絞れるので、自分好みの形にできるのも魅力と感じました。 レインウェアっぽくないデザインなので、普段使いしやすいと思います。 梅雨の時期に日常で着用したり、アウトドアへ行く時に着たいです。 ー Amy

詳細はこちら

OUTDRY™ EXTREME REIGN JACKET

撥水性が続き、生地濡れを防ぐ、フェスにも最適なレインジャケット ¥24,200(tax incl.)

詳細はこちら

Amy

モデル。ファッション・ビューティーなど様々な媒体、広告などへ出演。

Instagram

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日本のトップ・キュレーター/DJ、TJOがThe Chainsmokersの最新アルバム『ワールド・ウォー・ジョイ』をプレイヤー目線で徹底検証

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俳優の新田真剣佑を迎えカヴァーされた名曲“クローサー (トーキョー・リミックス)”がここ日本で異例の大ヒットを飛ばしている中リリースされた、ザ・チェインスモーカーズ(The Chainsmokers)の3作目となる最新アルバムの日本盤『ワールド・ウォー・ジョイ』。この作品で新たなフェーズに突入し、トップに君臨してもなお今世紀最強のダンス・ポップ・ユニットとして進化し続け、なぜ世界から支持されつづけるのか。そんな彼らと楽曲の魅力を、東京を中心とした日本各地のクラブ・レジデントパーティーから世界中の多様な大型フェス、さらに2018年のザ・チェインスモーカーズの来日公演ではオープニング・アクトも務めたラジオ・パーソナリティーとしてダンスミュージック専門のインターネット・ラジオ「block.fm」などのメディアでも活躍する日本のトップ・キュレーター/DJのTJOがプレイヤー目線で5つのポイントに分けて紹介していく。 The Chainsmokers feat.新田真剣佑 「Closer (Tokyo Remix)」 (Short Video)

1.時代を変えた名曲“クローサー(Closer)”が与えた影響

まず彼らをこの地位にまで押し上げた一番のきっかけとして今回の日本盤でのカヴァーも話題になっている“クローサー”を忘れてはいけない。2016年にリリースされたこの曲は彼ら史上初の全米シングル・チャート12週連続1位を記録し、billboardが発表した2010年代最も売れた楽曲のチャートでも第4位という驚くべき結果を残している。EDMのムーブメントはアメリカを中心にその名の通りエレクトリックなダンスミュージックとポップミュージックが結びつくことで生まれたカルチャーだが、それまではエレクトロ・ハウスやダブステップなど踊れることを目的とした激しめのビート・フォーマットを基本としていた楽曲は、“クローサー”の大ヒットでよりスロウに、チルに、レイドバックした雰囲気の楽曲を一気に増やした。別れたカップルの押さえきれない気持ちを男女両者の視点から、メンバーのアンドリュー・タガートと今やトップスターの地位を欲しいままにしているシンガーソングライターのホールジーによるデュエット形式で歌い上げたスタイルも当時としては珍しく、その世界観を見事に表現したリリックビデオの助力もあり、2010年代にEDMがいかに台頭したとはいえここまで長く熱狂的に愛される楽曲は他にはない。DJ発信のシンプルながらもエモーショナルに溢れたサウンドとメロディで描くラブ・ソングはとても革新的でダンスミュージックという垣根を超えて幅広い層からの支持を獲得し、「“クローサー”以降」と呼ばれるほどの衝撃をシーンに与え、後のEDMプロデューサー達のポップス化を加速させる現象を巻き起こしたほどである。 The Chainsmokers - Closer (Lyric) ft. Halsey

2.DJだから生み出せるシンプルで踊れるサウンドとエモーション

彼らの楽曲を聴いていて思うのは「シンプル」だと言うこと。それがエモーショナルでポップな楽曲であれ、ハードでダンサブルな楽曲であれ、音数は決して多くない。だがDJ出身の彼らだからこそ、その一音一音の音選びも秀逸で、シンプルであってもインパクトのある音色でしっかりとダンスフロアを意識し「踊れる」サウンドへと昇華している。またその音数の少なさが彼らの歌詞から生まれる世界観をよりエモーショナルに際立たせている。“クローサー”での男女それぞれの想いの描写が、ラストで一気に混じり合い大きなエネルギーになる瞬間。今作のハイライトの1曲でもある“コール・ユー・マイン”でビービー・レクサの歌う《Call You Mine?(あなたを私のものと呼んでいい?)》がより感情的に響くラストなど、シンプルだからこそよりドラマティックな情景描写を演出していると言える。 The Chainsmokers - Call You Mine (Official Video) ft. Bebe Rexha

3.進むべき道に迷いがなくなった最新作

“クローサー”のメガヒットの後に、コールドプレイ(Coldplay)との代表作“サムシング・ジャスト・ライク・ディス”を集大成とし自分達のサウンドスタイルを確立したとも言える2017年のアルバム第1作『メモリーズ...ドゥー・ノット・オープン』では、その大成功とは裏腹に彼らは世間から嫉妬も入り混じったバッシングを食らうことになった。続くアルバム第2作『シック・ボーイ...スペシャル・エディション』ではその批判と孤独をゆっくり時間をかけ自らのアイデンティティと向き合わせて、彼らにとってのルーツとなるロックを大きな要素として取り込んだ“シック・ボーイ”、“エヴリバディ・ヘイツ・ミー”で新たな章の始まりともとれるスタートを切っていたが、”サイド・エフェクツ”のようなポップな作品に加え、ナイトメアやアザールといった気鋭のベース・ミュージックのプロデューサーと共に作り上げたDJ的側面の強いフェスティバル・トラップも個々に収録するなど、そこには自分達の認識する立ち位置と向かいたいとする道との迷いや閉塞感がどこか感じられていたように思える。しかし今作では自らが確立してきたEDMとポップのバランスや共感を呼ぶ歌詞の世界観に立ち返り、エモーショナルさもロックもダンスも全ての要素を見事にミックスした仕上がりになっている。それはアンドリュー・タガートがマイクを握るべきところではしっかりと握り、そうでない所では参加アーティストに華を持たせるなどのメリハリが明確化されていることにも表れているのではないだろうか。 The Chainsmokers & Coldplay - Something Just Like This (Lyric)
The Chainsmokers - Sick Boy (Official Music Video)
The Chainsmokers - Everybody Hates Me (Official Music Video)

4.マジックを生み出すプロデューサーとしての采配

その迷いのなさを象徴する一例が今作からの第1弾シングルとなった“フー・ドゥー・ユー・ラヴ”。トラップビートにオーストラリアの人気ロック・バンドであるファイブ・セカンズ・オブ・サマー(5 Seconds of Summer以下、5SOS)が歌い上げるこの曲は、前作までなら もしかしたらアンドリューが歌い切っていたかもしれない。しかし5SOSが歌ってくれたことでよりパワフルに、フェスでの大合唱がイメージ出来る1曲に仕上がったと思える。ロックとのコラボレーションという意味では5SOSが新世代だとすると、先輩バンドであるブリンク182(blink-182)との共演は嬉しいサプライズだ。“クローサー”歌詞においてもその名が登場し、ザ・チェインスモーカーズにとっての憧れの存在との“P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー”は彼らがやりたかったロックとの融合の理想形の一つではないか。正直今作も前作を引き継いでロック色が強くなると思っていたのだが、そういった楽曲はこの2曲ぐらい。 Who Do You Love (with 5 Seconds of Summer) (Official Video)
The Chainsmokers - P.S. I Hope You're Happy (Lyric Video) ft. blink-182
先にも紹介した“コール・ユー・マイン”ではお得意のシンプルでエモーショナルなトラックにビービー・レクサに女心を歌ってもらい、“テイクアウェイ”ではレノン・ステラとのデュエットに、フューチャーベース・シーンの人気プロデューサーであるイレニウムを招き、情景的で激しいシンセ・アレンジを加えることでより「エモい」サウンドに昇華。中でも最も印象的なのが北欧ノルウェーからトロピカル・ハウスを飛び越え世界的プロデューサーへと成長したカイゴ(Kygo)との“ファミリー”だろう。叙情的なメロディを得意とするカイゴと共に強い友情で繋がった「家族」をテーマにしたこの曲は、アヴィーチ(Avicii)、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、そして“クローサー”のリリックビデオも手掛けた親友の人気映像監督/ビデオグラファー、ローリー・クラマーが自動車事故に伴うメンタルクラッシュで深く落ち込んでいた時期を励ましていく中で、彼への想いをドキュメンタリー風に描いたミュージックビデオを制作し、楽曲の素晴らしさをさらに押し上げマスターピースとなった。こういった迷いを抜けた彼らのプロデューサー的采配が今作では多くのマジックを生み出している。 The Chainsmokers with Kygo - Family (Official Video)

5.体感すべき迫力のライブ

そして彼らの醍醐味はやはりライブ・パフォーマンスだ。既存のDJスタイルから、オーストラリア出身の若手ドラマーでEDMのドラムカバーで世界中から注目を集めたマット・マクガイアをサポート・メンバーに迎え、DJ+ライブの融合を初めて体感したのが僕がオープニング・アクトを努めた2018年6月の単独公演。激しいEDMのセットの合間にアンドリュー・タガートがマイクを握り、相方アレックス・ポールがキーボードを演奏、ドラムをはじめとした生演奏がEDMと混じり合う舞台は、ステージの後ろに配置されたLEDスクリーンに映し出されるVJの刺激的な演出も相まって、スリリングで新しい彼らのスタイルを見せつけるのに充分なものであった。しかし2019年の<SUMMER SONIC 2019>の東京公演はそれ以上。巨大な屋外スタジアムのステージでのヘッドライナーを飾った彼ら。全編に渡ってバンド演奏を下地にし、EDMパートとの区別がつかない完全シームレスな流れで会場を熱狂の渦に巻き込んでいた。EDMフェスティバルの鉄板である大合唱も定番ロック、大ヒットの現行ヒップホップから惜しげもなく引用し、ハード・トラップに今や正式メンバーとして加入したマットの生ドラムが絡み合う臨場感はカオスそのもの。その時々で音を止め彼らの名曲を落とし込んだ時の会場全体のシンガロングに鳥肌が止まらなかった。EDMフェスの音楽的バラエティの豊かさとライブ演奏のフィジカルなエネルギーが見事にまで昇華されたその年のベスト・アクト決定の一幕だった。
©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.
2017年の『パリ(Paris)』を元にした映画の制作をする噂もあるようで、プロデューサーとしても迷いを抜け出し、エモーショナルさもダイナミズムも含めて自らの鳴らすべき音を手に入れたザ・チェインスモーカーズ。彼らの新しい幕開けを飾るこのアルバムをぜひその耳で体感してもらいたい。そして再びこれら楽曲を我々の目の前でパフォーマンスしてくれるのが今から楽しみだ。
Photo by Masanori Naruse

Text by TJO (SUGARBITZ)

RELEASE INFORMATION

World War Joy|ワールド・ウォー・ジョイ

新田真剣佑によるザ・チェインスモーカーズ"クローサー" 【日本盤CD(全16曲/デジタル配信のみ全15曲)】 発売中 ¥2,200(+tax) 新曲"クローサー(トーキョー・リミックス)"収録 日本オリジナル・ジャケット仕様 ボーナス・トラック6曲追加 【輸入盤/デジタル配信(全10曲)】 発売中 収録曲 01. The Reaper feat. Amy Shark|ザ・リーパー feat. エイミー・シャーク 02. Family with Kygo|ファミリー with カイゴ 03. See The Way feat. Sabrina Claudio|シー・ザ・ウェイ feat. サブリナ・クラウディオ 04. P.S. I Hope You’re Happy feat. blink-182|P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー feat. ブリンク・182 05. Push My Luck|プッシュ・マイ・ラック 06. Takeaway with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ with イレニアム feat. レノン・ステラ 07. Call You Mine feat. Bebe Rexha|コール・ユー・マイン feat. ビービー・レクサ 08. Do You Mean feat. Ty Dolla $ign & Bulow|ドゥー・ユー・ミーン feat. タイ・ダラー・サイン&ビューロウ 09. Kills You Slowly|キルズ・ユー・スローリー 10. Who Do You Love feat. 5 Seconds of Summer|フー・ドゥー・ユー・ラヴ feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー [日本盤ボーナストラック] 11. Closer (Tokyo Remi) feat. Mackenyu Arata|クローサー (トーキョー・リミックス) feat. 新田真剣佑 12. Takeaway (Sondr Remix) with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ (サンダー・リミックス) with イレニアム feat. レノン・ステラ 13. Push My Luck (Twinsick Remix)|プッシュ・マイ・ラック (ツインシック・リミックス) 14. Call You Mine (Keanu Silva Remix)|コール・ユー・マイン (キアヌ・シルバ・リミックス) 15. Who Do You Love (R3HAB Remix)|フー・ドゥー・ユー・ラヴ (リハブ・リミックス) feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー 16. Family with Kygo (Lune Remix)|ファミリー with カイゴ (ルーン・リミックス) *日本盤CDのみ収録 『ワールド・ウォー・ジョイ』をiTunesでダウンロード ザ・チェインスモーカーズ日本公式サイト 新田真剣佑公式Instagram 新田真剣佑公式Twitter

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珠 鈴 的 旅 vol.2|日本と台湾の違い編

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台湾の夜の街には人が溢れかえっていて 「毎日がお祭り」の様。 この時に受けた衝撃は、私が地元福岡から初めて東京に行った時と同じような感覚。 初めての渋谷の感想は、 「今日はお祭りなのかな?」だった。 その時の気持ちが一瞬にして蘇った。 でも今回は、あの時と少し違うところがあった。 初めて渋谷を見た時はまだ昼だったけれど、お祭りのような台湾の景色に衝撃を受けたのは夜。 この光景がもし昼だったら、渋谷みたいだなぁ。と思うだけで、あまり衝撃を受けなかったんじゃないかな。

そもそも、日本では「夜市」という文化が浸透していない。 屋台がずらーーっと一直線に並んでいて、 常に混み合っている。 「台湾の人はこんなところに毎日行くことが出来るのか!羨ましい!毎日行く! でも、毎日お祭りだと慣れてきてあまり行かなくなるのかな?」 なんてことを、夜市を歩きながら一人で考えてた(笑)。 日本には無い文化だからこそ、心をくすぐられるものがあるのだと思った。

日本には無い文化は夜だけでは無い。 昼に歩く台湾には、是非とも日本にも取り入れて欲しい文化があった。 それは、ゴミ箱が沢山置いてあることだ。 渋谷でタピオカを飲んだら、捨てる場所に困る。持ち歩くのも凄く面倒だし。 ゴミ箱どこ!?って思ったことある人も多いんじゃないかな。 私は、台湾のタピオカが有名だと聞いていたから、若者が集まる西門でタピオカを飲んだ。 少し歩けばゴミ箱がある。飲み終わった後のゴミは、すぐに捨てることが出来る。 なんて便利なんだ。。。。 街並みは渋谷や原宿に似ていて、若者が多い。 ただ、ゴミ箱があるだけで凄く快適に街を歩けるし、ポイ捨ても無いから街がとても綺麗だった。 私は渋谷特有の匂いが苦手な時期があったので、是非とも日本にゴミ箱を増やして欲しい。そんなことを思った。 台湾を旅してみて、現地の新しいものに触れる衝撃や、ワクワクを沢山味わえた。 一方で、日本の文化や自分が住んでいる環境をより深く考えることも出来た。 「物事をインプットし、活用することが大事だ。」 そのような話を最近の世の中ではよく耳にするが、その意味が私の中でちゃんと理解出来た気がする。 自分が知らないことや気付かない側面がありすぎることを実感した。 もっと色々な世界を見て、知って、 誰でもない、私にしかなれない私になっていきたい。

珠 鈴

2017年4月から東京にて音楽活動をスタート。 都会的でスモーキーなテクノに珠 鈴のメロディアスで透明感たっぷりのボーカルが特徴的。 サウンドはCity Your CityのTeppei Kitanoが担当している。 2019年5月29日には初のEPとなる『光の中を泳ぐ』をリリース。 等身大の10代が抱える悩みや世の中の疑問など、リアルに書いたリリックが同世代にじわじわと広がりつつある。

公式ホームページTwitterInstagramYouTube

EVENT INFORMATION

珠 鈴 <珠 鈴 的 旅> 2020.03.24(火) OPEN 17:00 恵比寿Batich DOOR ¥2,000 +1drink 学生 ¥1,000 +1drink *学生証必要 ACT:珠 鈴 GUEST:City Your City <珠 鈴 写真展-虫が光に集まる理由-> 17:00-19:00 ENTRANCE FREE TIME TABLE: 写真展 17:00-19:00 LIVE 19:00-21:00 19:00〜 City Your City 19:45〜 珠 鈴 *19:00まで写真展のみの方は入場料無料で観覧できます。 *19:00以降は珠 鈴 的 旅のENTRANCEが必要になります。 *ライブに関しては、コロナウィルスの影響で急遽中止または延期になる可能性がございます。あらかじめご了承ください チケット予約

RELEASE INFORMATION

珠 鈴

デジタルシングル『透明』

iTunes/Apple music Spotify LINE MUSIC レコチョク

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フッドめし – HoodFood #05 DoubleDouble × 原島“ど真ん中”宙芳

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フッドめし
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし - HoodFood』。 今夜はシーズン1の#05が公開!

Comment from SEX Yamaguchi

GAPPERWatterが招く本日のゲストは“景気の良いDJ”でお馴染み、原島“ど真ん中”宙芳。冒頭から画面内の板橋占有率が異様に高い。これは期待大だ! 東京タワーの真下に位置するブリュワリー「KAMIKATZ TAPROOM」のキッチンにはOYGが立つ。なるほど、ここはOYGのテリトリーである。 手際よく調理していくOYGを気にしつつ、料理を待つ3人の話題は“ひらやまちゃん”という謎の人物。いったい誰なんだ......。 ビールのアテに「鶏皮の素揚げ」が振る舞われ、メインはチキンのオーブン焼きがオンザセットされた「OYGのダーティーライス」。 板橋区民じゃなくてもよだれダラダラものの美味そうなビジュアルである。もう一度言う、美味そうだ!

Text by SEX Yamaguchi TwitterInstagram

フッドめし フッドめし フッドめし フッドめし

フッドめし - HoodFood #05 DoubleDouble × 原島“ど真ん中”宙芳

フッドめし - HoodFood #04 Kojoe × DoubleDouble

Qetic YouTube

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DoubleDouble

フッドめし PSGの巨人GAPPER、“DOGEAR RECORDS"からもリリースしている、Keentokersの謎の奇才MC、OYG。 produceでWatterが加わってDoubleDouble。 GAPPER TwitterGAPPER Instagram Watter TwitterWatter Instagram

原島“ど真ん中”宙芳

フッドめし> 昭和、東京生まれ、B-BOY お茶目で陰湿、ノリ重視。名実兼ね備えたロクデナシ。 マスターの優しさに惚れ、むさし乃に足繁く通う。 原島“ど真ん中”宙芳 Twitter原島“ど真ん中”宙芳 Instagram

SHOP INFORMATION

RISE & WIN Brewing Co. KAMIKATZ TAPROOM

平日12:00~15:00(L.O. 14:30) 18:00~23:00(L.O. FOOD 22:00 / DRINK 22:30)/定休日 日曜日 東京都港区東麻布1丁目4-2 THE WORKERS & CO 1F 03-6441-3800 詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Qetic presents フッドめし - HoodFood LAUNCH PARTY

2020.3.13(金)@SHIBUYA WWW OPEN/START 18:00 ADV ¥2,000 / DOOR ¥2,500(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング) ※共にドリンク代別 ※2月25日(火)より発売予定 LINE UP:To be announced ※この公演は中止となりました。

次回のゲストは4年ぶり4枚目のアルバム『4』を4月に発売するTOKYO HEALTH CLUBだ! お楽しみに!

フッドめし #01#02#03#04

フッドめし

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ベルリン発ブランド“RICHERT BEIL”がショーで見せた真のユートピアとは?

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国籍、性別、年齢、宗教、肌の色、体型、それらは私たち人間を隔てるカテゴリーとなり、差別へと繋がってゆく。思想家トマス・モアが描いた“UTOPIA”は、そういった全ての垣根を取り払った人類における完璧な理想郷であり、現代社会における文化の最前線であるファッションにインスピレーンを与え、その思想と共に表現される。混沌とした今の世の中でファッションは一体どんな役割を果たし、何を伝えることが出来るのか?ベルリン発の新進気鋭ブランド“RICHERT BEIL”の最新コレクションと共に、自分たちの未来に向けたテーマとしてこの場に掲げたいと思う。 3月12日、しとしとと雨の降る寒い夜、一面暗闇に包まれた工場地帯StorkowerStraßeの一角でランウェイショーは行われた。ベルリン発のユニセックスブランド“RICHERT BEIL”による2020/2021AWコレクションの発表である。1月のベルリン・ファッション・ウィークや他の国際見本市とあえて時期も会場もずらしての発表となったが、皮肉にもショーが行われたこの日は、今もなお世界中を震撼させているコロナウイルスが猛威を奮い始めた直後だった。しかし、そういった困難な状況の中で、400人以上のゲストを前に臆することなく、完成度の高い素晴らしいコレクションを披露したことに拍手を送りたい。 今シーズンのテーマは「UTOPIA/ユートピア」。“RICHERT BEIL”にとっての“UTOPIA”とは一体何を意味するのだろうか?今回で3回目となるランウェイショーは、まず会場に“Cleanteam Berlin”というテキスタイルケアの工場を選んだ。かなりの広さを誇る工場内には、洗濯機やプレス機、染色機など、数え切れないほど沢山の業務用機械が並ぶ。そこに、ランウェイが作られ、ゲスト用のベンチが設置されるというユニークな演出である。 しかし、同会場を選んだのは単なるおもしろさからではない。同ブランドは、実際にここで再製造されたリサイクル生地や仕上げとなるプレス作業を行っており、リサイクルコットンで作られた限定のシャツや60年代のスウェーデン製ベッドシーツから再製造された生地でクラシックなシャツなどが誕生している。完成された美しい洋服に身を包んだモデルが歩くショーだけでなく、1着の洋服が出来上がるまでの工程の一部を披露することによって、ブランドと業者との信頼関係のもとにコレクションが成り立っていることを知って欲しいという意図がふくまれている。この日、会場内には白衣を着た工場スタッフの姿もあった。 プラスチックを一切使用していないデッドストック生地で作られたネオンカラーの大きなバッグとXXLサイズのショッパー、前シーズンのコレクションに引き続きヴィーガンレザーを使用するなど、リサイクル生地以外にもサステナビリティーを取り入れている。 また、個人的に気に入ったのは、カモフラージュシリーズである。いろんな国の実際の軍服からインスパイアされており、エレガントなロング丈のトレンチコート、スポーティなアウタージャケットなど、デザイン性も機能性も高いアイテムとなって多数登場した。そして、カモフラージュと最もマッチングされる色合いとして、目の覚めるビビッドなオレンジ、レッド、イエローのトップスやパンツ、バッグなどが登場した。
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
Photo by : Family Resort
ショーの演出、デザイン以外においても非常に良いと思ったことがある。それは、写真を見てもらえれば分かるが、モデルが統一されていないという点である。インディペンデントで世界的なメゾンブランドがほとんど参加しないのがベルリンのファッションウィークの特徴であり、近年はアジア人モデルの起用も目立ってきている。そのため、最初は気づかなかったのだが、ルックを再度確認すると、白人の男女、黒人の男女、アジア人の男女、年配の白人女性、確かではないがジェンダーレスであろうモデルが登場し、それは同時に先に述べた「ユートピア」を表現していることとなる。
「私たちは将来において、アイデンティティの自由とセクシュアリティの寛容さを信じています。 人間の尊厳にはサイズ、性別、年齢、宗教、人種はないのです。」
Photo by : Oliver Wolff
デザイナーのJale RichertとMichele Beilが前シーズンのコレクション発表時に語った言葉であり、今シーズンにもそのまま引き継がれた。2人のデザイナーの名前を組み合わせて誕生したブランド”RICHERT BEIL”は2014年に設立され、ベルリンのファッションシーンにおいて着実に成長&地位を築き始めている。 トレンドだから、そうしないといけない時代だから、そういった理由からのサステナビリティーの取り組みは長くは続かない。何より今は未知なる新型コロナウイルスの出現により、私たちの生活は脅かされていると同時に試されているとも感じている。人間はもっと真摯に地球への配慮を考え、行動に移し、また、地球だけでなく、あらゆる差別をなくし、私たち人類そのものを互いに守らなければならない時がやってきたのではないだろうか。

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静謐な美しさを湛えた音楽が人々を魅了するベルリンのピアニスト、Henning Schmiedt緊急インタビュー

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旧東ドイツ出身のピアニスト、Henning Schmiedt(ヘニング・シュミート)。ジャンルレスでありながら音楽性の高いリリースに海外メディアでも定評のある、日本のインディペンデント・レーベル〈FLAU〉の代表的アーティストでもある彼が、今年2月、通算7枚目のソロアルバム『Schlafen』をリリース。本国以上に熱いファンの多いであろう日本へ3月から全国16都市を回る5度目のジャパンツアーを予定していたが、コロナウイルスの影響を考慮し、来日を止む無く中止した。 そこで急遽、彼にメールインタビューを要請し、ニューアルバムのことや現在の心境、今後のプロジェクトについて語ってもらった。Henning Schmiedtのマジカルなピアノの生演奏を心待ちにしていた人や、まだ彼の魔法にかかったことがない人たちと、底抜けに温かな音楽や彼のチャーミングな空気感を少しでも共有できたらうれしい。至福の時間へと誘うMVと共に、どうぞお楽しみください。

ゴルトベルク変奏曲を自分の変奏曲へ

ーー昨年2019年はMarie SéférianとのプロジェクトNous名義でのデビューアルバムやAki Ueda,Tara Nome Doyleとのシングル、また名作『Klavierraum』の続編『Klavierraum, später』とバラエティに富んだリリースが続きましたね。そして今年(まだ2月!)、ニューアルバム『Schlafen』をリリースされ、近年益々意欲的に制作活動に取り組まれていると感じられますが、そのモチベーションはどこから湧いてくるのでしょう? はい、とても忙しい1年でしたが、プロダクションはそれぞれ全く異なる期間に遡り、時には何年も前に遡るものもあります。実際のところ、私はこの数年間ずっと作曲とレコーディングに没頭していました。創造的であることは、自分とつながる方法です。自分の心と共鳴することが、ハーモニーであり、至福なことなのです。アルバムや別のプロジェクトのアイデアを書くこともありますが、そういったすべての時間が、私にはただただ楽しくて仕方ありません。すべてのアイデアやスケッチがアルバムになるわけではなく、音楽の価値を見つけ出すために試行錯誤することもあります。ですから私の最近のリリースは、録音と制作の歴史の点でも非常に新しくもあり、同時にかなり古くもあるといえます。 NOUS (Marie Séférian and Henning Schmiedt) - O Heya
ーー様々なプロジェクトがそのように同時進行していた中で、『Schlafen』はどのような経緯で制作に至ったのですか? 12年前、ドイツのディレクターのGert Hofから、バッハのゴルトベルク変奏曲の録音を依頼されました。彼は、ハンブルクの港で開催される船の命名式で、光に焦点を当てた大規模なマルチメディア・パフォーマンスのイベントにその音楽を使おうと考えていたのです。 Gert Hofは数年前に亡くなってしまいましたが、当時巨大なライトショーのディレクターとして有名で、テクノやクラシックなど、さまざまな種類の音楽をこのイベントに使用していました。彼はゴルトベルクのテーマが好きで、この変奏曲を強力な電子音への静かなカウンターポイントとして使いたい、と考えていたようです。 ーーオリジナルのゴルトベルク変奏曲と比べ、『Schlafen』ではどういった点で新しい解釈の部分を表現していますか? すでにとても素晴らしい古典的な録音物がたくさんあるので、純粋に古典的なものとは異なる、新しいアプローチをしたいと考えました。この作品には真偽は不明ですが、バッハがピアニストのゴルトベルクが演奏した、高貴な男の眠れぬ夜のために作品を作曲したというエピソードがあることを知りました。そこで、私はこのトピックに焦点を当て、自分の変奏曲を録音することにしたのです。 録音は非常に古いBlüthnerのグランドピアノで行い、サウンドも気に入っていたのですが、後で原盤権について問題が出てきてしまった。そこで、この作品をもう一度録音することにしました。録音の面でもアプローチを区別したかったので、マイクスタンドを使用せずにピアノの中にマイクを置いて演奏しました。庭や公園が周囲の風景に溶け込んでいるのと同じように、ピアノの音を周囲の音に溶け込ませることを考えたのです。時には窓を空けたまま録音したので、室外の音、街灯の騒音や周囲の音も少し入っています。 今回の録音では、いつも使っているスタインウェイのコンサート用グランドピアノではなく、非常にソフトなサウンドを備えたシンプルなアップライトのベヒシュタインを選びました。ピアノは数年間使用されておらず、チューニングは432 Hzぐらいで非常に低かったです。低いチューニングはそれほどアグレッシブにならず、ととても柔らかくて温かな音を作れるので、それが功を奏しました。 Henning Schmiedt - Und Ausatmen (OFFICIAL VIDEO)

ヘニングさんも不眠症に悩んでいる?

ーーヒプノシス・セッションの流れを形成している、というこれらの曲名には、アルバムを通して聞くことで、リスナーにどのようにリラックスしてほしいという想いが込められていますか。 催眠のセッションのタイトルは実際のところ、私の個人的な経験から来ているのです。催眠は非常に心を落ち着かせ、リラックスできる経験になります。しかし、リスナーを操作したくはありません。私は自分の経験について伝えるだけです。音楽には共鳴があり、聴く人が望むならリラックスできる場合もあるかもしれません。 ーーヘニングさんも、不眠症に悩むことはありますか?もしくは、ご家族やご友人にそのような悩みを抱えている方は? 私もまた、さまざまな時期に不眠症を患っていました。多くの人が時々それを経験していると思います。目が冴えて眠りを探しているのは辛いかもしれませんが、時にはただふわふわとした感覚で晴れやかな夜もあります。Tara Nome DoyleとのシングルStille Nattで描いたものも、ほぼ同じテーマですね。 Tara Nome Doyle / Henning Schmiedt - Stille Natt
ーーバッハが伯爵のためにゴルトベルク変奏曲を書いたように、ヘニングさんも誰かのために、曲を書くことが多いでしょうか?(Klavierraumは妊娠中の奥様のために制作されたものでしたね)ご自身の音楽家としての探求心から、実験的な取り組みも多々されているかと思いますが、今回のアルバムについてはいかがでしょう。 (このアルバムに関しては)まったく異なりますね。Tara Nome Doyleの美しい声のための『Stille Natt』のように、たまに他のアーティストに捧げる曲を書くこともあります。 私の音楽からインスピレーションを得て、靴を作ってくれた素晴らしい靴職人・アーティストの三澤則行氏、またとても素敵な日本人カップルの結婚式のための『Hochzeitslied』など、私の人生の親愛なる人々のために曲を作ることもあります。しかし『Schlafen』のテーマは完全に睡眠に関する瞑想であり、自分自身との対話でした。 Project with Henning Schmiedt in Berlin (Full Ver.)
ーー日頃から創作活動に取り組まれ、たくさんの曲を録音されていますが、『Schlafen』を除けば、コンセプトは後にくることが多いのでしょうか? はい、その通りですね。普段は録音した音楽を聴いて、いくつかの曲をプレイリストに接続します。曲にはその時点でまだ名前はありませんが、聴いている間にそれらを接続する特定のクオリティを見つけるんです。私が扱っているトピック、例えば『Spazieren』の適度なバランスの取れた動きであったり、『Walzer」の軽さと憂鬱のようなイメージでしょうか。 Henning Schmiedt - Im Baumesdunkel
ーーコンセプトに従って曲を選んでいますか?だとしたら、どのようにそのコンセプトを見つけるのでしょう? 曲がコンセプトを選ぶと思います。作曲したり演奏したりするときは、潜在的な意識と結びついているので、完全にコントロールされたプロセスではありません。実際に歌のメッセージとトピックが何であるかを、後から掴んでいますね。

日本は音楽の故郷であり、いつも戻ってきたい場所

ーージャパンツアーのキャンセルは、事情が事情ながら誠に残念でした。すでに何度も来日されていますが、日本はヘニングさんにとってどのような場所なのでしょう。 日本は私にとって、とても大切な場所です。私はいつも戻ってきたい友達や場所がたくさんあります。誠実な友情とホスピタリティ、芸術とスタイルに対する感覚があり、この美しくユニークな国に来るたびに感動します。そしてここに、私の音楽の故郷である首謀者で友人のausが運営するレーベルの〈FLAU〉もあります! そのため、ツアーを延期するかどうかは非常に難しい判断でしたが、これらのコンサートに参加することは観客や友人たちにとってどれほど困難であり、危険でさえある可能性に気が付いたので、正しい決断であったと感じています。 ーーこれまでの来日公演で特に思い出に残っている場所や公演のエピソードがあったら教えてください。 これは難しい質問ですね。これまで私が日本で演奏した会場はすべて厳選されていて、主催者とプロモーターは私の音楽と個人的なつながりがあるからです。何人かは友人になるほど、強い絆で結ばれました。私はすべての会場で温かく迎えられ、来場者の和やかな雰囲気と愛のある視線にいつでも気持ちよく演奏することができました。 ーー来日公演を行うはずだった約一ヶ月間がすっぽりと空いてしまいましたが、何をして過ごされる予定ですか? ベルリンで学生たちに音楽を教えているので、3月もそうしますね。あとは家族とバルト海で少し休暇を取ります。 Henning Schmiedt - Nach Hause

ベルリンで大きく開かれた人生と音楽の道

ーー東京とは人種も文化も異なるヘニングさんの故郷であるベルリンで、どのように音楽活動を行ってきましたか? ベルリンは私にとって絶え間ない挑戦でした。壁が崩れる前から私はここに住んでいて、音楽は秘密の言葉、自由と幸福のコードのようなものでした。ドイツ統一後、多くの変化がありました。お金はより重要になり、人々は時間が減り、コンサートはショーになりました。人生はもっと開かれ、多くのミュージシャンやアーティストが海外からやって来ました。大きな希望と大きな変化の時でした。 ベルリンは手頃な価格で暮らすことができ、非常に実験的な場所でした。私はここでソロピアノを初めて演奏したり、シリアスな現代音楽やワールドミュージック、ジャズ、ソウルを書くなど、多くの新しいプロジェクトやスタイルを作りました。 ーー日本からもたくさんの才能あふれるアーティストがベルリンに移り住んでいます。ここ数年で街の変化を感じることはありますか。 海外から多くのアーティストがベルリンに来てくれたことに感謝しています。ここには日本人アーティストの友人がたくさんいて、デザイナーのミズシマ・ナツコやフォトグラファーのミズキ・キンなど、私の最新アルバム『Schlafen』のために協力してくれた人たちもいます。私が思うに最近のベルリンでの生活は、他のヨーロッパの首都と同じようになってきています。東ベルリンのダウンタウンの家賃は高くなり、アーティスト、クラブ、スタジオのための手頃な価格の場所はなくなりましたが、同時に雰囲気は非常に国際的になりました。ダイナミックな都市であり、その精神は常に変化していると感じますね。 Henning Schmiedt - Wie War

散歩と瞑想、チーズにワイン。楽しみは尽きない

ーー音楽に限らず、今ヘニングさんが興味を持っていることは? 気候変動への反対、社会的およびジェンダーの正義のための新たなムーブメントがあり、これらの変化への動きは素晴らしいと感じています。私は常に音楽とアートの本質的なクオリティに興味があり、人生はまだ加速中です。ですから音楽を通して空間を開き、時間を遅くする魔法を、またSpazieren=散歩と瞑想、良いグリュイエールチーズとグラスワインを楽しんでいますね。 ーー現在、進行中のプロジェクトはありますか?もし、また新たなリリース情報があれば教えてください。 現在、映画監督の大澤未来氏と菅野賢治教授と一緒に映画「マリルカプロジェクト」の音楽に取り組んでいます。これは、第二次世界大戦中にドイツと東ヨーロッパから日本と中国を経由してオーストラリアにいたユダヤ人の脱出についてであり、この期間の最後の生存者を扱う非常に挑戦的で有意義なプロジェクトです。 そして、『Schlafen』や近年のアートワークを製作してくれているデザイナーの三宅瑠人さんのデザインで、新しいピアノの楽譜を発表する予定です。 ーーヘニングさんの新しい作品に出会えるのを楽しみにしています!最後に、日本のファンに一言お願いします。 stay strong and healthy! 日本に来るための新しい計画が立てられるように-ガンバリマス!

Text&Edit by 朝倉奈緒 Photo by flau

Henning Schmiedt

1965年生まれ、旧東ドイツ出身のピアニスト、作曲家、編曲家。早くからジャズ、クラシック、ワールドミュージックなどジャンルの壁を超えた活動を先駆的に展開。80年代中盤から90年代にかけて様々なジャズ・アンサンブルで活躍後、ギリシャにおける20世紀最大の作曲家と言われるミキス・テオドラキスから絶大な信頼を受け、長年にわたり音楽監督、編曲を務めている。これまでにドイツ・ジャズ賞、ドイツ・ジャズ批評家賞を受賞、名指揮者クルト・マズアーも一目置くという個性的なアレンジメントやピアノ・スタイルは、各方面から高い評価を受けている。昨年はフランス/ドイツ人のレバノン系シンガーMarie SéférianとのデュオNousを結成し、デビュー作「je suis」をリリースした他、シタール奏者Aki Uedaをフィーチャーしたシングル「Sitano」、ノルウェー/アイルランドの注目シンガーTara Nome Doyleとの「Stille Natt」などコラボレーションを活発化。11月には廃盤となっていたファーストアルバム「Klavierraum」の再発と、その続編となる「Klavierraum, später」を発表した。 詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

『Schlafen』

2020年2月19日 Henning Schmiedt tracklist: 01 aria 02 es geht noch nicht los 03 wie war 04 der tag? 05 vergessen sie 06 die Gegenwart 07 tief ein- 08 und ausatmen 09 pssst! 0 sie werden müde 11 und … schlafen 12 aria da capo 詳細はこちら

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