ゲストを迎え、チェキとともに“ゆかりの街”を歩く連載シリーズ「チェキさんぽ」。第42弾は、5人組ガールズ・ユニオンFAKY(フェイキー)のメンバーであり、大人気の恋愛リアリティーショー番組『月とオオカミちゃんには騙されない(以下、オオカミちゃん)』への出演で注目度急上昇中のHinaさんが登場です。今回訪れたのは、「小江戸」の愛称で親しまれる人気観光名所の川越エリア。普段のクールなアーティストイメージからは少し意外な風情あふれる街並みを「“チェキ” instax mini 90 ネオクラシック(以下、mini90)」と一緒におさんぽしながら切り取ります
音楽や映画、フードなど、国内外のエンタメ情報を独自の目線で紹介するニュースメディア『Qetic』が新たな動画シリーズをローンチ、その名も『フッドめし』。
この番組では、毎回主役となるアーティストがホストに立ち、自身のソウルフードを紹介し、ゲストを迎える。リスペクトしあうアーティストとともに、ただただ食いあう! そんな「ちょっとしたチルな時間」をお届けする新たなグルメ番組シリーズだ。今夜ついにシーズン1の#01が公開!
SEX Yamaguchi氏より頂いた紹介文とともに、映像をお楽しみください!
そこにあったのは、まったく新しい形で鳴らされた“陶酔”の感覚だった。
11月22日にデビューアルバム『VANTABLACK』をリリースした3人組、THE ALEXX。公式音源を1曲も発表しないまま<FUJI ROCK FESTIVAL ’19>でデビューライブを敢行し、その後に出演を予定していた<朝霧JAM 2019>は台風で中止。この日、渋谷クラブクアトロで行われた<GAN-BAN NIGHT>への出演が2度目の、そしてデビュー後初のパフォーマンスだ。
開演時刻をすぎると、SEと共に杉浦英治(Syn)、筒井朋哉(Gt)、Tonton(Vo)の3人がステージに姿を表す。インストゥルメンタルナンバーの“Ring Of Saturn”からライブはスタート。筒井がバイオリンの弓でギターを弾いて残響音を響かせ、Tontonがクリスタルボウルを鳴らし、あたりは神秘的な倍音に包まれる。「地球上で最も黒い物質」の名前からとられたアルバムタイトルを彷彿とさせる、漆黒のサウンドスケープが表出する。
終盤は、杉浦と筒井のツインギターにTontonのテルミンが加わった“Sounds Of Radio Frequency”から、歪んだギターをかき鳴らすパンキッシュな“Tablaman”へ。オーディエンスにフィジカルな興奮をもたらすこのあたりの楽曲はステージパフォーマンスにおける大きな武器となるだろう。
2019.11.22(金)
¥2,300(+tax)
THE ALEXX
品番:REXY-6
Tracklist
1. Jeanie
2. Beatwave
3. SOUNDS OF RADIO FREQUENCY
4. VANTABLACK
5. Daisy
6. Ladybug is on there
7. Tablaman
8. Freak out of blue
9. The Scorpion Revives In This Way
10. ONADAY
11. Alan Smithee’s Monolog
12. Go to the bar
the McFaddin
関西を中心に活動中の5人組ロックバンド。
ヒップホップ、ニューウェイブ、エレクトロ等メンバーそれぞれのルーツとなるサウンドを詰め込んだ、1st Full Album「Rosy」を2019年7月に発売。ネットストアにおいて入荷後すぐにソールドアウトになるなど注目を集める。
同年9月に自身初の海外フェス公演を行い、全編現地にて撮影を行ったMV「N.E.O.N.」を公開した。
全編VJを導入しているロックバンドとして、多方面にて活動中。
現在では主催ナイトイベント「dip.」を京都METROにて定期開催しており、DJ、rapper、トラックユニットなど多彩なカルチャーをミックスしたパーティを行なっている。
LAUV(ラウヴ)の待望の1stアルバム『~how i’m feeling~』が完成した。2018年5月にプレイリスト『I met you when I was 18.』を公開し、その17曲とそれ以降にデジタルリリースされた3曲をCD化した日本独自企画盤が昨年4月に出てはいたが、ワールドワイドでのアルバムはこの『~how i’m feeling~』が初めてである。つまりこれが彼にとってのデビュー盤ということになるわけだ。
アレッシア・カーラ(Alessia Cara)からBTS(防弾少年団)まで6組のアーティストとのコラボレーション曲を含む全21曲は、ヒットポテンシャルの高いポップソングが多く並び、LAUVがソングライターとしてもシンガーとしても『I met you when I was 18.』から大きく進化していることがよくわかる。ただ、ひとつ気になることもある。ハッピーだったりロマンティックだったりのラブソングよりも、自身の心の痛みや孤独感を赤裸々に歌詞に綴った曲がやけに多いのだ。それはどうしてなのか。LAUVに話を聞いた。
Interview:LAUV
――遂に1stアルバムが完成しましたね。いまの気持ちは?
すごくいい気分だ。今回、僕は初めてアーティストとしての自分の全てを見せることができたと思う。
――アルバムには21曲(ボーナストラック含めて全22曲)が収録されています。全部で何曲くらい書いたんですか?
40曲くらいかな。いや、もっとあったかもしれない。だから選ぶのに苦労したよ。
――21曲というのはなかなかの多さですが、そのくらいたっぷり入れることに拘った。
いや、単純に好きな曲を全部入れただけだよ。はっきり言って、いまの時代、ルールはないと思うんだ。
――このアルバムのテーマについて話してください。
自分のなかのさまざまな部分を全て受け入れるということ。これは、ひとりの人間のなかに複数の人格が存在していることを描いた作品なんだ。それを表現するために6つのキャラクターを生み出した。紫は実在している僕、青は夢見がちで可哀想な僕、緑は間抜けな僕、黄色はポジティブな僕、オレンジはやんちゃな僕、赤は刺激的な僕。それらが合わさって僕という人間が形成されている。ひとりのなかにボーイバンドがあるような感じをイメージして作ったんだよ。
――“Sims”のオフィシャル・ショート・フィルムにも出てくるその6つのキャラクターは、どのように生まれたんですか?
一緒に仕事をしている仲間と「アルバムの曲はすごく多様で、色とりどりのサウンドがある」って話をしているなかでアイデアがでてきたんだ。アルバムは、「自分は誰なんだ」「ネット上では自分をどう表現すればいいんだ」というような実存的な危機意識から作っていった。そういうところもこの6つのキャラクターに反映させている。自分のなかにあるのはひとつじゃなくて、いろんな側面があるということをみんなにわかってもらいたかったんだ。
――アルバム・タイトルを『~how i’m feeling~』とつけたのも、そのことと関係ある?
まあそうだね。ある朝起きて、その日の感情だったり、その日はどんな自分でいるのかというのは、当然違うわけで。それを正直に歌いたかった。
――前回のインタビューで「新しい家に引っ越してスタジオも作ったから、そこで制作することが多くなった」と話していましたが、アルバムもそこで作ったんですか?
ほとんどの曲がそうだね。何曲かはほかの家で制作したけど、いわゆるレコーディングスタジオで録音した曲はない。レコーディングスタジオが好きじゃないんだ。
――歌詞を見てみると、ハッピーなラブソングやロマンティックな曲よりも、あなた自身の心の痛みだったり孤独だったりを赤裸々に表現しているものが多いようですが、この1~2年は辛い時間が多かったのでしょうか?
このアルバムの制作の大半は、2018年から2019年の初めにかけて起きたことを自分なりに消化することを意味するものだった。僕は多くの問題を抱えていて、寂しくて、孤独で、精神的に最悪の時期だったんだ。そこから抜け出したときは、以前よりもっと幸せを感じることができた。制作によって辛い日々を消化していったわけだね。
――辛い状態に陥った理由を話すことはできますか?
うん。話すのはかまわないよ。鬱病と強迫性障害だと診断されたんだ。具体的な理由はなく、ただどんどん不安になっていった。不安になる理由を自分で探して治そうとしてみたけど、無理だった。緊張と孤独からそうなってしまったようで、僕はもうひとと関わることができないし、生きていられないんじゃないかと思ったんだ。それがまさしく強迫性障害の特徴なんだけどね。どうしてもネガティブな思考にとりつかれてしまって、自分が誰かを傷つけてないか心配になってしまうんだ。みんなに嫌われているんじゃないか、僕は悪い人間なんじゃないかって考えてしまって、どん底状態だったね。
――その時期は音楽に向き合うのも辛かったのでは?
うん。2018年の大半はそうで、曲を作るのがきつかった。本当はその年にアルバムを作る予定だったんだけど、納得のいく曲が書けなかったんだ。セラピーや薬の治療を始めてから、ようやく曲が書けるようになったんだよ。
――そうだったんですね。それを乗り越えて曲を作り、特に手応えのあった曲や新しい扉を開けることができたと思えた曲は、どれですか?
“Drugs&The Internet”だね。初めて自分を追い込んで、これまでに作ってきた曲とは違うタイプの曲を作れたという実感があった。「クレイジーな曲ができた!」って思ったよ。現代を生きるひとはSNSのリアクションをどうしても気にしすぎてしまう。なんて言われるかを気にして、自分の行動を変えてしまったりとかしてね。僕にもそういうところがあって、さっき言ったようにみんなに嫌われているんじゃないかって考えにとりつかれたりもした。でもこの曲が書けたことで、これからは型に捉われずいろんな曲を作っていこうと思えたんだ。
――ほかに手応えのあった曲は?
“El Tejano”もこれまでと違ったムードの曲だから手応えがあったよ。“Who”は初めてベルティングボイスで歌った曲で、やってみて面白かった。“Modern Loneliness”も大事な曲で、僕が長い間感じていたことを歌っているし、きっと多くのひとが共感してくれると思う。“Billy”はけっこう奇抜な曲でね。どこからともなく生まれた曲って感じなんだ。まあ、どの曲も自分なりに冒険してできたものだよ。『I met you when I was 18.』を制作しているときは全てを同じ場所で書いている感覚があったけど、今作は冒険しながら書いた感じだ。
――アルバムにはゲストを迎えてのコラボレーションで作った曲が6曲入っています。その6組についてと、一緒にやってみての感想を聞かせてください。まずアン・マリー(Anne-Marie)から。
ひとりずつ話すの? OK。アン・マリーは僕の友人のなかで最も面白いひとりだよ。いい意味でぶっとんでいて、よく笑い、一緒にいると元気をくれる。一緒に仕事ができてよかったよ。“fuck,I’m lonely”は僕がオリジナルの曲を送って、彼女に自分のパートを録ってもらって、すごくスムーズに進んだんだ。
――続いてアレッシア・カーラ。
僕は彼女のファンで、前から歌声が大好きだった。ライブも観に行ったし、すごく尊敬していたんだ。それで曲を送ったら気に入ってくれたので、彼女なりにひねりを加えてもらうように頼んだ。互いのメンタルの話をしたりして、僕らはすぐに仲良しになれたんだ。“Canada”の2番の歌詞は彼女が書いてくれた。そして素晴らしいアレンジもしてくれた。声も最高だよね。
――L.A.を拠点に活動するシンセ・ポップ・バンドのLANYはどうでした?
LANYとコラボしてほしいというファンの声がツイッター上に多かったんだ。ポール(・クライン)とは去年から会うようになって、互いに惹かれるようになり、LANYのツアー中に“Mean it”のアイデアを送ったら気に入ってくれて、それで彼が彼のパートを歌ってボイスメールで送ってくれた。で、そのあと一緒にスタジオで完成させたんだ。いつか一緒にライブでこの曲を歌いたいね。
――BTSとはどういうきっかけで?
去年、彼らがロンドンでショーをしていたときに初めて会った。すごくいいひとたちで、会ってすぐに彼らの“Make it right”のリミックスに参加しないかと誘ってもらったんだ。彼らのアルバムのなかで一番好きな曲だったから「もちろん!」って答えてリミックスをした。そのあと僕が作っていた曲で“Who”という彼らにぴったりな曲があったから、初めのバージョンを送ったら、ぜひ一緒にやりたいと言ってくれた。とても自然な流れだったね。
――メキシコのソフィア・レイエスとはどうでした?
彼女とやるきっかけは面白いんだ。L.A.の家の近くに「El Tejano」というレストラン・バーがあって僕はこの曲を作ったんだけど、偶然彼女もそのお店が好きだったらしくて。曲を送ったら「私もEl Tejanoが大好きなの!」って(笑)。完璧だって思ったよ。そんなこと知らずに曲を書いたんだからね。そこはL.A.っぽくないバーで、引っ越してきた頃にいろんな経験をしたところなんだ。彼女とはMVも一緒に撮ったけど、すごく優しいひとだよ。
――イギリスのアン・マリー、カナダのアレッシア・カーラ、L.A.のLANY、韓国のBTS、メキシコ出身のソフィア・レイエス(Sofía Reyes)、それに前回のインタビューで話題に出たオーストラリア育ちのトロイ・シヴァン(Troye Sivan)と、出身や拠点を置く国がそれぞれ違うわけですが、意識的にいろんな国のアーティストを相手に選んでいるんですか?
いや、特に意識してそうしているわけじゃない。6組が異なる国の出身だって考えたことがなかったくらいで。本当に自然とそうなったんだ。でも自分と同じアメリカのひととばかりやるのはつまらないと思う。グローバル化って言葉は堅苦しくて好きじゃないけど、実際に音楽と文化がこんなにグローバル化している時代だし、いろんな国のひととコラボレーションするのを楽しみたいんだよね。
――ところで、いま世の中で起きていることで、あなたが特に関心のあることはなんですか?
人間同士の本当の繋がりについてのことかな。いまの時代って、みんなが孤独であることを共有している感じだよね。ソーシャルメディアは、気持ちを高めてはくれるけど、満たしてくれるわけではない。たくさんのひとと繋がっていても、人間同士の深い繋がりにはならないというか。関心があるのはそういうことだね。あと、メンタルヘルスの問題も。僕が「Blue Boy Foundation」という財団を立ちあげたのも、社会のメンタルヘルスの問題に取り組むためなんだ。
――最後の質問です。アルバムを作り上げたいま、5年後にはどんな活動をしていたいと思っていますか?
僕は5年後や10年後のことを考えない人間なんだ。そんなことを考えるのはつまらないと思う。とにかく好きなことをやり続けて、人間的に成長したいね。振り返ったときに、ああ、いろんな新しいことに挑戦できたなって実感できる生き方をしていたい。既にもう新しい曲を作り始めているんだけど、これからもっとたくさんの曲を発表したいし、「Blue Boy Foundation」の活動にも力を入れたい。ツアーで回る先々でもメンタルヘルスの問題に取り組んでいる団体のひとたちと会って、サポートできることがあればしていきたい。あとフリースタイル・ダンスをもっとうまくなりたいね。
Text by 内本順一
LAUV
LAUV(ラウヴ)。LAを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサー。Lauvの由来は、母親がラトビア系であり、彼が獅子座ということもあり、ラトビア語のライオン「Lauva」の最後のaを抜いてLauvと名付けた。本名:アリ・レフ(Ari Leff)。ラウヴの名前を知らしめるきっかけとなったのは、彼がNY大学在籍時に発売したシングル「The Other」。そしてその後発売されたシングル「I Like Me Better」は世界的大ヒットを記録した。またチャーリーXCXの「Boys」(ゴールド・ディスク獲得)など、アーティストへの楽曲提供も行っている。2017年秋にはエド・シーラン来日公演のオープニング・アクトの出演が予定されていたが、エド・シーランのケガにより来日公演が延期となり、ラウヴの来日は中止となった。同年、デビューEP『ラウヴEP:ジャパン・エディション』を10月25日に発売。2018年3月、初の単独来日公演を代官山UNITで2回実施。2019年1月、トロイ・シヴァンを迎えたシングル「i’m so tired…」を発売。同年4月、デビュー以来デジタルで発売してきた全20曲を収録した来日記念盤『I met you when I was 18.』を発売。同年年5月、ジャパン・ツアーを東名阪で開催。2020年3月6日、全世界待望のデビュー・アルバム『~ハウ・アイム・フィーリング~』を発売。
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RELEASE INFORMATION
〜ハウ・アイム・フィーリング〜 (〜how i'm feeling〜)
2020.03.06(金)
ラウヴ (Lauv)
LAUV/Traffic Inc.
TRCP-260
¥2,200(+tax)
ボーナス・トラック収録/解説:内本順一/歌詞対訳付
Tracklist
1. Drugs & The Internet
2. fuck, i'm lonely (with Anne-Marie)
3. Lonely Eyes
4. Sims
5. Believed
6. Billy
7. Feelings
8. Canada (feat. Alessia Cara)
9. For Now
10. Mean It (with LANY)
11. Tell My Mama
12. Sweatpants
13. Who (feat. BTS)
14. i'm so tired...(with Troye Sivan)
15. El Tejano(feat. Sofia Reyes)
16. Tattoos Together
17. Changes
18. Sad Forever
19. Invisible Things
20. Julia
21. Modern Loneliness *リード・トラック
22. i'm so tired... (Stripped Live in LA)*ボーナス・トラック
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柔らかく心地いいRyoの歌と、熱を内に秘めたしなやかなTossのラップ、等身大の感情が綴られた彼らの音楽は、優しくもあり情熱的だ。sankaraを結成してからすぐの頃はくすぶっていたという彼らだが、昨年には初のEP『BUD』をリリース。それからは精力的な動きでシーンでの存在感を強めていった。
たなかみさきやニシクボサユリとのコラボに始まり、10月からは3ヵ月連続で配信(“Walking the river”、“Train”、“Callin”)リリース。その間TOKYO HEALTH CLUB、SUSHIBOYS、SPiCYSOLを招いたツーマンツアーを行うなど、様々なフィールドで活躍する感度の高いクリエイター、アーティスト達と交わることで、彼らのクリエイティブの領域は大きく拡張された。そうした経験が反映された新作が、2枚目のEP『SOP UP』である。既存の3曲に新曲3曲を加えた6曲入りで、中でも“Elevator”という懐の深い1曲からは、これまでにはなかったスケールを感じるはずだ。
ジャケットはドローイングアーティスト、SUGIが手掛けるなど、益々カルチャーとコミットしながら成長していくふたりの現在に迫る。
sankara
ラッパーのTossとヴォーカルのRyoからなるグループ。 二人とも幼き日を海外で過ごし、本場のヒップホップやR&Bに触れて育つ。その豊かな音楽経験によって培われたセンスを活かした、アーバンでスムースなトラックと、英語と日本が溶け合うような歌詞やメロディー。まさに“sankara節”と言えるオリジナリティは、生活にそっと寄り添う優しい肌触りや、パーティを彩る華やかさ、今を前向きに強く生きられるアンセム性など、さまざまな魅力を持っている。新しい世代の感覚を以て、聴く者のシチュエーションとともに育つという、ポップソングの持つ普遍性を更新するパフォーマンスは必聴必見だ。
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EVENT INFORMATION
Advent Calendar
3月10日(火)
19:00-23:00
hotel koe tokyo
ENTRANCE FREE
LIVE
sankara
DJ
BAKU(KAIKOO)
DJ SHOTA
YACHA
Alexander Lee Chang
マキシマム・ザ・ハラミ
hotel koe tokyo
sankara「SOP UP」release party FUK
3月14日(土)
OPEN 19:30
福岡MERICAN BARBERSHOP FUK
前売券 ¥2,500(D別)/当日券 ¥3,000(D別)
出演
sankara
ケンチンミン
DJ KRO
DJ AKITO
RYOKO
週末CITY PLAY BOYZ
NOSK
Mr.coNYroo
DJ SHOTA
チケット
Sankara「SOP UP」release party
4月25日(土)
OPEN 17:00
WALL&WALL
前売券 ¥3,500(D別)/当日券 ¥4,000(D別)
チケットはこちら
俳優として活躍している新田真剣佑をボーカリストとしてフィーチャーした“クローサー (トーキョー・リミックス)”が、日本の洋楽チャートはもちろん総合チャートでも上位にランクインし、大きな話題を呼んでいる、ザ・チェインスモーカーズ(The Chainsmokers)。昨年の<SUMMER SONIC 2019>のヘッドライナー出演をはじめ、これまで何度も日本でのアクトをしていることから、存在を認知している人も多いはずだが、彼らは現在「最も稼ぐDJ」として名を馳せるほどの勢いがあるのだ。なぜ、今彼らは「世界の中心」として君臨できるのか?その魅力を5つのカテゴリーに分けて分析する!
ザ・チェインスモーカーズが、現代最強のパワーを持つようになった要因のひとつと言えるのが、彼らの「DJ」スタイルにあると思う。フェスでの出演映像をご覧いただけたらお分かりかと思うが、最新のエレクトロ・ミュージックをベースにしながらも、ロックやポップス、ヒップホップなど、枠にとらわれない幅白いサウンドをスピン。「そこにいる人誰もを楽しませ、熱狂させる音は何か」という空気を瞬時に嗅ぎつけ、自由自在に音楽を変化させていく。彼らの柔軟性と洞察力の高さが、クラブのフロアやフェスの会場で大きな熱狂を生み、「世界で最も稼ぐDJ」としての地位へと導いたのではないかと思う。最新アルバム『ワールド・ウォー・ジョイ』においても、例えばカイゴ (Kygo)とコラボした“ファミリー”では、ここ最近注目されているカントリー・ミュージック的な要素を取り入れ、“シー・ザ・ウェイ feat. サブリナ・クラウディオ”ではトラップ的なエッセンスを散りばめるなど、いかに聴き手を「ジョイ(喜ばせることが)できるのか?」にフォーカスした楽曲ばかりが目立つのだ。
The Chainsmokers - Ultra Miami 2019 (Official Video)The Chainsmokers with Kygo - Family (Official Video)
2.「汗」がほとばしるパフォーマンス!
ジャンルにとらわれない音楽性であると同時に、その表現スタイルも枠にとらわれない自由さを感じる彼らのサウンド。ライヴにおいても、ラップトップやターンテーブルとにらめっこしているだけではなく、ギターやドラムなどの「生楽器」を駆使したパフォーマンスを披露する場面も。しかも、轟く音はとてもエモーショナルで、思わず圧倒されてしまうほどだ。他のエレクトロニック系ミュージシャンやDJでも、それぞれの表現方法で楽しませてくれるので魅力的ではあるのだが、彼らのステージの場合は他とは異なる「汗」が伝わってくる。そのしぶきが音に還元されて、会場の隅々までをもダンスさせてしまう空間を作り上げているのではないだろうか。最新アルバムにおいても、ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー(5 Seconds of Summer)とタッグを組んで制作した“フー・ドゥー・ユー・ラヴ”は、スケール感がありながらも2組のバックグラウンドの異なるグループが、一心不乱に音をかき鳴らしている鼓動が伝わりエキサイトする。
Who Do You Love (with 5 Seconds of Summer) (Official Video)
3.「ドラマ性」のあるキャッチーなメロディ!
エモーショナルな部分を表現し、誰もを熱狂させることだけが、ザ・チェインスモーカーズの魅力ではない。一方で、メロディの美しさ、流麗さも人気のポイントでないかと思う。一度聴いたら思わず口ずさんてしまいたくなるキャッチーさがあり、しかもその展開がアメリカのポップスのような大胆な印象ではなく、日本の音楽に通じるよう繊細な「ドラマ」を感じさせるようなものなのだ。実際どういう思いでこういう旋律を選んでいるのかは不明であるが、メロディだけでも楽曲の持つストーリーや彼らの思いが伝わるようなものを提示したいという考えが伝わってくるのだ。最新作においては“プッシュ・マイ・ラック”で響かせるメランコリックな旋律は、せつない余韻を与える美しいものになっていると思う。
The Chainsmokers - Push My Luck (Official Video)
4.パズルの最後の「1ピース」のような歌詞
スマートフォンなどを通じて「自撮り」をする日常を追いながらも、それで満たされることのない孤独を描いた“#SELFIE”。離れ離れになってしまった恋人との距離に思いを馳せる“クローサー”など、彼らの描く歌詞は、時代の持つ空気感を的確にとらえながらも、どんなに時が経過しても人間が抱える喜びや不安などを赤裸々に表現したものが多い。しかも、それらの出来事を、一歩退いた冷静な視点で表現したものが多く、聴き手の感情によって、さまざまな風景や状況が導き出されるものばかりなのだ。またその言葉の数々は、「パズルの最後の1ピース」のように、心の隙間にちょうどよくハマるものが多い。最新作においても“テイクアウェイ with イレニアム feat. レノン・ステラ”は、本当は好きな人とともに生きていきたいけど躊躇する心境を描いているものの、その奥底には「一歩前進できない」もどかしさをありのまま表現している印象で、多くの人の心に届くような仕上がりになっていると思う。
The Chainsmokers, ILLENIUM - Takeaway (Official Video) ft. Lennon Stella
今という時代を的確にとらえながらも、それだけに流されない普遍性を兼ね備えている、ザ・チェインスモーカーズの音楽。最新アルバム『ワールド・ウォー・ジョイ』においても、その要素を見事に表現し、新たな「喜びに溢れる世界」へと導いてくれる。興奮と甘美が共存する他にはない時間を、じっくり堪能していただきたい。
Photo by Masanori Naruse
Text by Takahisa Matsunaga
RELEASE INFORMATION
World War Joy|ワールド・ウォー・ジョイ
【日本盤CD(全16曲/デジタル配信のみ全15曲)】
発売中
¥2,200(+tax)
新曲"クローサー(トーキョー・リミックス)"収録
日本オリジナル・ジャケット仕様
ボーナス・トラック6曲追加
【輸入盤/デジタル配信(全10曲)】
発売中
収録曲
01. The Reaper feat. Amy Shark|ザ・リーパー feat. エイミー・シャーク
02. Family with Kygo|ファミリー with カイゴ
03. See The Way feat. Sabrina Claudio|シー・ザ・ウェイ feat. サブリナ・クラウディオ
04. P.S. I Hope You’re Happy feat. blink-182|P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー feat. ブリンク・182
05. Push My Luck|プッシュ・マイ・ラック
06. Takeaway with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ with イレニアム feat. レノン・ステラ
07. Call You Mine feat. Bebe Rexha|コール・ユー・マイン feat. ビービー・レクサ
08. Do You Mean feat. Ty Dolla $ign & Bulow|ドゥー・ユー・ミーン feat. タイ・ダラー・サイン&ビューロウ
09. Kills You Slowly|キルズ・ユー・スローリー
10. Who Do You Love feat. 5 Seconds of Summer|フー・ドゥー・ユー・ラヴ feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー
[日本盤ボーナストラック]
11. Closer (Tokyo Remi) feat. Mackenyu Arata|クローサー (トーキョー・リミックス) feat. 新田真剣佑
12. Takeaway (Sondr Remix) with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ (サンダー・リミックス) with イレニアム feat. レノン・ステラ
13. Push My Luck (Twinsick Remix)|プッシュ・マイ・ラック (ツインシック・リミックス)
14. Call You Mine (Keanu Silva Remix)|コール・ユー・マイン (キアヌ・シルバ・リミックス)
15. Who Do You Love (R3HAB Remix)|フー・ドゥー・ユー・ラヴ (リハブ・リミックス) feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー
16. Family with Kygo (Lune Remix)|ファミリー with カイゴ (ルーン・リミックス) *日本盤CDのみ収録
『ワールド・ウォー・ジョイ』をiTunesでダウンロードザ・チェインスモーカーズ日本公式サイト新田真剣佑公式Instagram新田真剣佑公式Twitter
まず彼らをこの地位にまで押し上げた一番のきっかけとして今回の日本盤でのカヴァーも話題になっている“クローサー”を忘れてはいけない。2016年にリリースされたこの曲は彼ら史上初の全米シングル・チャート12週連続1位を記録し、billboardが発表した2010年代最も売れた楽曲のチャートでも第4位という驚くべき結果を残している。EDMのムーブメントはアメリカを中心にその名の通りエレクトリックなダンスミュージックとポップミュージックが結びつくことで生まれたカルチャーだが、それまではエレクトロ・ハウスやダブステップなど踊れることを目的とした激しめのビート・フォーマットを基本としていた楽曲は、“クローサー”の大ヒットでよりスロウに、チルに、レイドバックした雰囲気の楽曲を一気に増やした。別れたカップルの押さえきれない気持ちを男女両者の視点から、メンバーのアンドリュー・タガートと今やトップスターの地位を欲しいままにしているシンガーソングライターのホールジーによるデュエット形式で歌い上げたスタイルも当時としては珍しく、その世界観を見事に表現したリリックビデオの助力もあり、2010年代にEDMがいかに台頭したとはいえここまで長く熱狂的に愛される楽曲は他にはない。DJ発信のシンプルながらもエモーショナルに溢れたサウンドとメロディで描くラブ・ソングはとても革新的でダンスミュージックという垣根を超えて幅広い層からの支持を獲得し、「“クローサー”以降」と呼ばれるほどの衝撃をシーンに与え、後のEDMプロデューサー達のポップス化を加速させる現象を巻き起こしたほどである。
The Chainsmokers - Closer (Lyric) ft. Halsey
2.DJだから生み出せるシンプルで踊れるサウンドとエモーション
彼らの楽曲を聴いていて思うのは「シンプル」だと言うこと。それがエモーショナルでポップな楽曲であれ、ハードでダンサブルな楽曲であれ、音数は決して多くない。だがDJ出身の彼らだからこそ、その一音一音の音選びも秀逸で、シンプルであってもインパクトのある音色でしっかりとダンスフロアを意識し「踊れる」サウンドへと昇華している。またその音数の少なさが彼らの歌詞から生まれる世界観をよりエモーショナルに際立たせている。“クローサー”での男女それぞれの想いの描写が、ラストで一気に混じり合い大きなエネルギーになる瞬間。今作のハイライトの1曲でもある“コール・ユー・マイン”でビービー・レクサの歌う《Call You Mine?(あなたを私のものと呼んでいい?)》がより感情的に響くラストなど、シンプルだからこそよりドラマティックな情景描写を演出していると言える。
The Chainsmokers - Call You Mine (Official Video) ft. Bebe Rexha
3.進むべき道に迷いがなくなった最新作
“クローサー”のメガヒットの後に、コールドプレイ(Coldplay)との代表作“サムシング・ジャスト・ライク・ディス”を集大成とし自分達のサウンドスタイルを確立したとも言える2017年のアルバム第1作『メモリーズ...ドゥー・ノット・オープン』では、その大成功とは裏腹に彼らは世間から嫉妬も入り混じったバッシングを食らうことになった。続くアルバム第2作『シック・ボーイ...スペシャル・エディション』ではその批判と孤独をゆっくり時間をかけ自らのアイデンティティと向き合わせて、彼らにとってのルーツとなるロックを大きな要素として取り込んだ“シック・ボーイ”、“エヴリバディ・ヘイツ・ミー”で新たな章の始まりともとれるスタートを切っていたが、”サイド・エフェクツ”のようなポップな作品に加え、ナイトメアやアザールといった気鋭のベース・ミュージックのプロデューサーと共に作り上げたDJ的側面の強いフェスティバル・トラップも個々に収録するなど、そこには自分達の認識する立ち位置と向かいたいとする道との迷いや閉塞感がどこか感じられていたように思える。しかし今作では自らが確立してきたEDMとポップのバランスや共感を呼ぶ歌詞の世界観に立ち返り、エモーショナルさもロックもダンスも全ての要素を見事にミックスした仕上がりになっている。それはアンドリュー・タガートがマイクを握るべきところではしっかりと握り、そうでない所では参加アーティストに華を持たせるなどのメリハリが明確化されていることにも表れているのではないだろうか。
The Chainsmokers & Coldplay - Something Just Like This (Lyric)The Chainsmokers - Sick Boy (Official Music Video)The Chainsmokers - Everybody Hates Me (Official Music Video)
4.マジックを生み出すプロデューサーとしての采配
その迷いのなさを象徴する一例が今作からの第1弾シングルとなった“フー・ドゥー・ユー・ラヴ”。トラップビートにオーストラリアの人気ロック・バンドであるファイブ・セカンズ・オブ・サマー(5 Seconds of Summer以下、5SOS)が歌い上げるこの曲は、前作までなら もしかしたらアンドリューが歌い切っていたかもしれない。しかし5SOSが歌ってくれたことでよりパワフルに、フェスでの大合唱がイメージ出来る1曲に仕上がったと思える。ロックとのコラボレーションという意味では5SOSが新世代だとすると、先輩バンドであるブリンク182(blink-182)との共演は嬉しいサプライズだ。“クローサー”歌詞においてもその名が登場し、ザ・チェインスモーカーズにとっての憧れの存在との“P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー”は彼らがやりたかったロックとの融合の理想形の一つではないか。正直今作も前作を引き継いでロック色が強くなると思っていたのだが、そういった楽曲はこの2曲ぐらい。
Who Do You Love (with 5 Seconds of Summer) (Official Video)The Chainsmokers - P.S. I Hope You're Happy (Lyric Video) ft. blink-182
先にも紹介した“コール・ユー・マイン”ではお得意のシンプルでエモーショナルなトラックにビービー・レクサに女心を歌ってもらい、“テイクアウェイ”ではレノン・ステラとのデュエットに、フューチャーベース・シーンの人気プロデューサーであるイレニウムを招き、情景的で激しいシンセ・アレンジを加えることでより「エモい」サウンドに昇華。中でも最も印象的なのが北欧ノルウェーからトロピカル・ハウスを飛び越え世界的プロデューサーへと成長したカイゴ(Kygo)との“ファミリー”だろう。叙情的なメロディを得意とするカイゴと共に強い友情で繋がった「家族」をテーマにしたこの曲は、アヴィーチ(Avicii)、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、そして“クローサー”のリリックビデオも手掛けた親友の人気映像監督/ビデオグラファー、ローリー・クラマーが自動車事故に伴うメンタルクラッシュで深く落ち込んでいた時期を励ましていく中で、彼への想いをドキュメンタリー風に描いたミュージックビデオを制作し、楽曲の素晴らしさをさらに押し上げマスターピースとなった。こういった迷いを抜けた彼らのプロデューサー的采配が今作では多くのマジックを生み出している。
The Chainsmokers with Kygo - Family (Official Video)
【日本盤CD(全16曲/デジタル配信のみ全15曲)】
発売中
¥2,200(+tax)
新曲"クローサー(トーキョー・リミックス)"収録
日本オリジナル・ジャケット仕様
ボーナス・トラック6曲追加
【輸入盤/デジタル配信(全10曲)】
発売中
収録曲
01. The Reaper feat. Amy Shark|ザ・リーパー feat. エイミー・シャーク
02. Family with Kygo|ファミリー with カイゴ
03. See The Way feat. Sabrina Claudio|シー・ザ・ウェイ feat. サブリナ・クラウディオ
04. P.S. I Hope You’re Happy feat. blink-182|P.S.アイ・ホープ・ユアー・ハッピー feat. ブリンク・182
05. Push My Luck|プッシュ・マイ・ラック
06. Takeaway with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ with イレニアム feat. レノン・ステラ
07. Call You Mine feat. Bebe Rexha|コール・ユー・マイン feat. ビービー・レクサ
08. Do You Mean feat. Ty Dolla $ign & Bulow|ドゥー・ユー・ミーン feat. タイ・ダラー・サイン&ビューロウ
09. Kills You Slowly|キルズ・ユー・スローリー
10. Who Do You Love feat. 5 Seconds of Summer|フー・ドゥー・ユー・ラヴ feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー
[日本盤ボーナストラック]
11. Closer (Tokyo Remi) feat. Mackenyu Arata|クローサー (トーキョー・リミックス) feat. 新田真剣佑
12. Takeaway (Sondr Remix) with Illenium feat. Lennon Stella|テイクアウェイ (サンダー・リミックス) with イレニアム feat. レノン・ステラ
13. Push My Luck (Twinsick Remix)|プッシュ・マイ・ラック (ツインシック・リミックス)
14. Call You Mine (Keanu Silva Remix)|コール・ユー・マイン (キアヌ・シルバ・リミックス)
15. Who Do You Love (R3HAB Remix)|フー・ドゥー・ユー・ラヴ (リハブ・リミックス) feat. ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー
16. Family with Kygo (Lune Remix)|ファミリー with カイゴ (ルーン・リミックス) *日本盤CDのみ収録
『ワールド・ウォー・ジョイ』をiTunesでダウンロードザ・チェインスモーカーズ日本公式サイト新田真剣佑公式Instagram新田真剣佑公式Twitter
国籍、性別、年齢、宗教、肌の色、体型、それらは私たち人間を隔てるカテゴリーとなり、差別へと繋がってゆく。思想家トマス・モアが描いた“UTOPIA”は、そういった全ての垣根を取り払った人類における完璧な理想郷であり、現代社会における文化の最前線であるファッションにインスピレーンを与え、その思想と共に表現される。混沌とした今の世の中でファッションは一体どんな役割を果たし、何を伝えることが出来るのか?ベルリン発の新進気鋭ブランド“RICHERT BEIL”の最新コレクションと共に、自分たちの未来に向けたテーマとしてこの場に掲げたいと思う。
3月12日、しとしとと雨の降る寒い夜、一面暗闇に包まれた工場地帯StorkowerStraßeの一角でランウェイショーは行われた。ベルリン発のユニセックスブランド“RICHERT BEIL”による2020/2021AWコレクションの発表である。1月のベルリン・ファッション・ウィークや他の国際見本市とあえて時期も会場もずらしての発表となったが、皮肉にもショーが行われたこの日は、今もなお世界中を震撼させているコロナウイルスが猛威を奮い始めた直後だった。しかし、そういった困難な状況の中で、400人以上のゲストを前に臆することなく、完成度の高い素晴らしいコレクションを披露したことに拍手を送りたい。
今シーズンのテーマは「UTOPIA/ユートピア」。“RICHERT BEIL”にとっての“UTOPIA”とは一体何を意味するのだろうか?今回で3回目となるランウェイショーは、まず会場に“Cleanteam Berlin”というテキスタイルケアの工場を選んだ。かなりの広さを誇る工場内には、洗濯機やプレス機、染色機など、数え切れないほど沢山の業務用機械が並ぶ。そこに、ランウェイが作られ、ゲスト用のベンチが設置されるというユニークな演出である。
しかし、同会場を選んだのは単なるおもしろさからではない。同ブランドは、実際にここで再製造されたリサイクル生地や仕上げとなるプレス作業を行っており、リサイクルコットンで作られた限定のシャツや60年代のスウェーデン製ベッドシーツから再製造された生地でクラシックなシャツなどが誕生している。完成された美しい洋服に身を包んだモデルが歩くショーだけでなく、1着の洋服が出来上がるまでの工程の一部を披露することによって、ブランドと業者との信頼関係のもとにコレクションが成り立っていることを知って欲しいという意図がふくまれている。この日、会場内には白衣を着た工場スタッフの姿もあった。
プラスチックを一切使用していないデッドストック生地で作られたネオンカラーの大きなバッグとXXLサイズのショッパー、前シーズンのコレクションに引き続きヴィーガンレザーを使用するなど、リサイクル生地以外にもサステナビリティーを取り入れている。
また、個人的に気に入ったのは、カモフラージュシリーズである。いろんな国の実際の軍服からインスパイアされており、エレガントなロング丈のトレンチコート、スポーティなアウタージャケットなど、デザイン性も機能性も高いアイテムとなって多数登場した。そして、カモフラージュと最もマッチングされる色合いとして、目の覚めるビビッドなオレンジ、レッド、イエローのトップスやパンツ、バッグなどが登場した。
Photo by : Family ResortPhoto by : Family ResortPhoto by : Family ResortPhoto by : Family ResortPhoto by : Family ResortPhoto by : Family ResortPhoto by : Family ResortPhoto by : Family Resort
ショーの演出、デザイン以外においても非常に良いと思ったことがある。それは、写真を見てもらえれば分かるが、モデルが統一されていないという点である。インディペンデントで世界的なメゾンブランドがほとんど参加しないのがベルリンのファッションウィークの特徴であり、近年はアジア人モデルの起用も目立ってきている。そのため、最初は気づかなかったのだが、ルックを再度確認すると、白人の男女、黒人の男女、アジア人の男女、年配の白人女性、確かではないがジェンダーレスであろうモデルが登場し、それは同時に先に述べた「ユートピア」を表現していることとなる。
「私たちは将来において、アイデンティティの自由とセクシュアリティの寛容さを信じています。
人間の尊厳にはサイズ、性別、年齢、宗教、人種はないのです。」Photo by : Oliver Wolff
デザイナーのJale RichertとMichele Beilが前シーズンのコレクション発表時に語った言葉であり、今シーズンにもそのまま引き継がれた。2人のデザイナーの名前を組み合わせて誕生したブランド”RICHERT BEIL”は2014年に設立され、ベルリンのファッションシーンにおいて着実に成長&地位を築き始めている。
トレンドだから、そうしないといけない時代だから、そういった理由からのサステナビリティーの取り組みは長くは続かない。何より今は未知なる新型コロナウイルスの出現により、私たちの生活は脅かされていると同時に試されているとも感じている。人間はもっと真摯に地球への配慮を考え、行動に移し、また、地球だけでなく、あらゆる差別をなくし、私たち人類そのものを互いに守らなければならない時がやってきたのではないだろうか。
ーー東京とは人種も文化も異なるヘニングさんの故郷であるベルリンで、どのように音楽活動を行ってきましたか?
ベルリンは私にとって絶え間ない挑戦でした。壁が崩れる前から私はここに住んでいて、音楽は秘密の言葉、自由と幸福のコードのようなものでした。ドイツ統一後、多くの変化がありました。お金はより重要になり、人々は時間が減り、コンサートはショーになりました。人生はもっと開かれ、多くのミュージシャンやアーティストが海外からやって来ました。大きな希望と大きな変化の時でした。
ベルリンは手頃な価格で暮らすことができ、非常に実験的な場所でした。私はここでソロピアノを初めて演奏したり、シリアスな現代音楽やワールドミュージック、ジャズ、ソウルを書くなど、多くの新しいプロジェクトやスタイルを作りました。
ーー日本からもたくさんの才能あふれるアーティストがベルリンに移り住んでいます。ここ数年で街の変化を感じることはありますか。
海外から多くのアーティストがベルリンに来てくれたことに感謝しています。ここには日本人アーティストの友人がたくさんいて、デザイナーのミズシマ・ナツコやフォトグラファーのミズキ・キンなど、私の最新アルバム『Schlafen』のために協力してくれた人たちもいます。私が思うに最近のベルリンでの生活は、他のヨーロッパの首都と同じようになってきています。東ベルリンのダウンタウンの家賃は高くなり、アーティスト、クラブ、スタジオのための手頃な価格の場所はなくなりましたが、同時に雰囲気は非常に国際的になりました。ダイナミックな都市であり、その精神は常に変化していると感じますね。
Henning Schmiedt - Wie War
1965年生まれ、旧東ドイツ出身のピアニスト、作曲家、編曲家。早くからジャズ、クラシック、ワールドミュージックなどジャンルの壁を超えた活動を先駆的に展開。80年代中盤から90年代にかけて様々なジャズ・アンサンブルで活躍後、ギリシャにおける20世紀最大の作曲家と言われるミキス・テオドラキスから絶大な信頼を受け、長年にわたり音楽監督、編曲を務めている。これまでにドイツ・ジャズ賞、ドイツ・ジャズ批評家賞を受賞、名指揮者クルト・マズアーも一目置くという個性的なアレンジメントやピアノ・スタイルは、各方面から高い評価を受けている。昨年はフランス/ドイツ人のレバノン系シンガーMarie SéférianとのデュオNousを結成し、デビュー作「je suis」をリリースした他、シタール奏者Aki Uedaをフィーチャーしたシングル「Sitano」、ノルウェー/アイルランドの注目シンガーTara Nome Doyleとの「Stille Natt」などコラボレーションを活発化。11月には廃盤となっていたファーストアルバム「Klavierraum」の再発と、その続編となる「Klavierraum, später」を発表した。
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RELEASE INFORMATION
『Schlafen』
2020年2月19日
Henning Schmiedt
tracklist:
01 aria
02 es geht noch nicht los
03 wie war
04 der tag?
05 vergessen sie
06 die Gegenwart
07 tief ein-
08 und ausatmen
09 pssst!
0 sie werden müde
11 und … schlafen
12 aria da capo
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