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downy・青木ロビン×LITE・井澤惇 対談|インディペンデントな活動における音楽との関わり方

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FRIENDSHIP.03

昨年5月に〈HIPLAND MUSIC〉がスタートしたデジタルディストリビューションサービス「FRIENDSHIP.」。 ストリーミングが主流になり、音源を独自で配信するインディペンデントなアーティストが増える一方、膨大な音源の中で楽曲をフックアップされることは難しい状況でもある。数あるデジタルディストリビューションサービスの中で「FRIENDSHIP.」が画期的である点は特定のレーベルや事務所に所属することなく、プロモーションやサポート、ディストリビューションを統合した機能を持つサービスであることだ。 Qeticと「FRIENDSHIP.」が企画する連載の第3回となる今回は「FRIENDSHIP.」のキュレーターとして参加するdownyの青木ロビンとLITEの井澤 惇の対談を実施。3年半ぶりとなる新作をリリースするdownyと、その革新的な音楽性をリスペクトしてきたというLITE。downyの新作・第七作品集『無題』へのアプローチについて訊くと同時に、若手のフックアップや、早い段階から海外でのライブを行なってきた経緯など、インディペンデントな活動を行う今のアーティストにとっても参照点の多い対話を展開してもらった。

FRIENDSHIP.03

Interview: 青木 ロビン(downy)×井澤 惇(LITE)

━━downyは3年半ぶりとなるアルバム・リリースですが、この間にギタリストの青木裕さんが亡くなるという局面があり、そしてギタリストは新たに入れない決断をされたわけですが、アルバムのビジョンはいつ頃立ち上がったんですか? 青木ロビン(以下、ロビン) (青木)裕さんの病気が発覚して、余命1年って言われて。本人は「絶対治すから気にしないでいいよ」とずっと言っていたんですが、じゃあ僕らに何ができるかなというところで、実は3月19日のーー亡くなった日、ワンマンの日にほんとはライブ動画を撮ろうと。(※亡くなった当日、downyのワンマンライブが開催された)何が起こるかほんとに分かんないから、生きてる歴史を撮って残さないと思っていたんです。そこで絶対、新曲をやりましょうと。その時に完成していたのが“砂上、燃ユ。残像”で、今回シングルでリリースした曲なんです。なので、裕さんはギターまで録り終えていました。 他の曲もモチーフはある程度、漠然とはあって、こういうアルバムにしようって構想はありました。1年以内にほんとは出さなきゃって思っていたんです。けど、そこで急にああいうことになっちゃったので、僕らはまず立ち直るというか、進むためのきっかけをどこかで作る必要がありました。それがSUNNOVAくん(の加入)だったりもするんですけど、そんな流れで今作を作りあげていきました。

FRIENDSHIP.03

━━井澤さんは新作をどう聴きましたか? 井澤 惇(以下、井澤) 今日はdownyの新作を褒めまくる気できたんですが(笑)。まず去年の1月に僕らの15周年のイベントにdownyに出てもらったんです(他にtoe、SOIL & “PIMP”SESSIONS)。downyは裕さんが亡くなられてから活動をしていなかったのを知っていて僕らも出演の打診をしたんですけど、動いてくれたんです。それにSUNNOVAさんも加入して、新しいdownyとして前進しているのを僕ら自身もサポートしたかったんです。 ロビン あの日新曲やったんだよね? そこに向けて何曲か新曲やろうって。 井澤 始めようとしてくれるタイミングでしたよね。それを僕らなりにですけど、サポートしたいなっていうのもあって。でも、downyのライブをその場で見た時に自分たちが知ってるdownyではなかったんですね。前に進んでいくのが見えました。僕はずっとdownyの背中を見てたんですけど、まだ背中だったことが嬉しくて。その後にFRIENDSHIP.に参加して、またdownyと関わることになったんですけど、絶対的安心感のある方が来たというのはいまだに変わらないですね。だから最初にこの新作が出ることを知って、聴いてないのに絶対いいって知ってるんですよ、僕の中では。その上で「絶対いい」っていう印象をどう覆すか? ていうのが楽しみで、その作品の中に入っていくというか。僕の中で今回の作品でびっくりしたのは音の環境というか、なんかすごくめちゃめちゃ高音質に作り上げたっていうよりは……。 ロビン そう。全然全然。 井澤 まとまり方が不思議だなと思ったんです。まとわりつくようなギターがあったりするじゃないですか。音って右と左の2ミックスで別れるじゃないですか? でも右とか左とかじゃ考えつかない、立体的な3Dの丸みたいな感じに俺は聴こえて、「これどうやって作るんだろう?」と思って研究しています(笑)。リズム隊の感覚も雰囲気が変わりましたね。 ロビン うん。今回はサウンドデザインも込みで、レコーディングからそうなんだけど、秋山くん(Dr.)も結構、アイデア出してくれて。みんなの感覚が近いところでやっとレコーディングできたかなって感じだったかな。ただ新しいことをやればいいわけじゃないし、古くていいものもちゃんと取り入れたいなとは思ってました。やっぱり打ち込みじゃないので。生の人間がやる面白さもちゃんと出せたらいいなとか、なまりを残したいとか、そこは音の隙間で結構できたなと思ってます。 ━━「どこで何が鳴ってるんだろう?」という不思議さは確かにあります。 井澤 でも裕さんのギターって「裕さんだ」ってわかるんです。裕さんのギターが使われてるっていうのを事前に知らない上で聴いて、「これ裕さんいるじゃん」って思ったんです。その後にロビンさんのツイートを見て、「あ、やっぱりな」と思って。 ロビン “砂上、燃ユ。残像”がそうですね。

第七作品集『無題』 - downy

━━ピアノが特徴的な“pianoid”はリズムもシンプルなようで複雑で。 ロビン めっちゃ面白くないですか? この曲、頭から四つ打ちなんだけど、四つ打ちに聴こえさせない。で、一回、キックが抜けて戻ると四つ打ちに聴こえるという。 井澤 リズムの中でのユーモアですね。 ロビン そうなの。それを言わなきゃ伝わらなさそうだったから言っとこうかなと思って(笑)。 井澤 言っていきましょう(笑)。BPM141の16分音符の裏をBPM188でとらえると8分3連の三音目に置き換えることができる、ということをベースマガジンで言ったら、「全くわかりません」って言われて(笑)。

FRIENDSHIP.03

━━今ここで具体例を聴かないとわかりません(笑)。 井澤 LITEのリズムに関しては最近は武田(信幸/Gt.)と僕と半々で作るようにしています。いつも帰り道は車で武田と一緒なんですよ。その時に最近はdownyを聴くようにしようかなと思ってます。「これどうしてんのかな?」って研究をするために(笑)。 ━━メンバー同士で聴くとどこで反応するのか分かりますね。 井澤 そう。武田は僕と違うところに反応するのが逆に面白いと思います。でも、好きな音楽が一緒だからっていうのもあるんですけど、downyの音楽自身が、どこに引っかかるかわからない部分が散りばめられてるじゃないですか? それが僕の中で引っかかってるところと違うところで引っかかる人もたくさんいるというのが、うちのバンドメンバーだけでもバラバラなんで、それって面白いよなと思ってます。 ━━シングル曲(“砂上、燃ユ。残像“)の先行配信はdownyとしては初めての試みですが、その意図は? ロビン 先に1回出さないと進まないっていうのもあるんですけど、僕らあんまり出し方っていうのを考えたことがなくて。配信の面ではFRIENDSHIP.さんが色々アイデアをくれて、“砂上、燃ユ。残像“から1回出してしまおう、と。命日までには、という目標を設定していたのもありますが、本人がギターを弾いている曲を早く聴いてもらいたいという気持ちもありました。 ━━ファンからはどういう反応が多いですか? ロビン どうなんでしょう? あまり調べないので全然わからないんですけど、シンプルにミュージシャンの方からメールとかで、「ネクストステージに行った感じがする」って言ってもらえました。音の面も楽曲の面もそれを狙ってるというか、そうでありたいなと。オリジナルなバンドでいたいし、downyは絶対に誰かっぽくないって言われたくないっていうのを突き詰めてやってるつもりなので、それのまた次のステージに行けたかなって感じはしました。

FRIENDSHIP.03

━━実際バンドが動くタイミングで同時に新曲が聴けるのは嬉しいことだと思います。 ロビン そうですね。その方が早い時代なので、それは無視しても仕方ないというか。多分、どこもそうなんですけど、CD売れないと困るんですけど(苦笑)、やっぱり聴いてもらわないとどうにもならないっていうのはありますよね。早く聴く方法がストリーミングであるなら僕らはそこに否定はなくて、むしろ使っていけばいい。いっぱい聴いてもらえるのが一番いいんじゃないかなって、結構シンプルな感じですね。 井澤 実際、僕はロビンさんがTwitterで「シングルをリリースします」って発信してて、すぐに検索してApple Musicで聴いたんですね。それって今っぽくもあるし、直接的かなと思っています。何月何日発売って打ち出して、雑誌とかに何万円もだして広告打って、取材してもらって、それでいよいよ発売って3ヶ月間プロモーションしまくった上で、発売しました、みんなCD屋にゴー!ってよりは直接的だなと思うんです。お客さんと一番近い存在ですぐ聴けるっていうのは自分たちにとっても利益になります。 ━━LITEはどの段階からストリーミングの試みを始めたんでしたっけ。 井澤 日本でCD売れないってみんなが騒いでいた時にはやってましたね。Spotifyは海外のレーベルがもう先に出しちゃったので。海外ではApple Musicが出る前、Spotifyしかなかったぐらいにはもうリリースしてました。 ━━それは海外にツアーに行くことが増えたからですか? 井澤 むしろ海外にライブしに行くようになった方が先ですね。iPhone3Gの前から僕らは海外ツアー行ってるので。

FRIENDSHIP.03

━━それはストリーミングも必然ですね。ちなみに今、お2人のリスニング環境はどんな感じですか? ロビン 僕は制作用のスピーカーでも聴きますし、自宅のアナログ用のスピーカー、それとノイズキャンセラーのイヤホンですね。それと車のスピーカーですかね。リファレンスというか、それで聴き慣れるようにしています。 井澤 車のスピーカーはローがすごい出ますよね。走りながらだと、ローが消えるからちょうどいいんですよ(笑)。 ━━スマートフォンでも聴いていますか? ロビン 使いますよ。車はBluetoothです。 ━━井澤さんは? 井澤 俺、イヤホンマニアっていうか、音マニアなんで、家にラージモニタースピーカー、そのラージスピーカー用のヘッドホンを買いました。結構、仕事でコマーシャルな曲を作っていて、マスタリングまで自分でやらなければいけない場面が結構多いんです。ラージスピーカーのような鳴りができるようなヘッドホンを使っています。あと、モニター系がイヤホン含めて4つぐらいあって、リスニングイヤホンが……。(指で数える) ロビン やりすぎじゃん(笑)。 ━━サブスクが普及したことで完パケのミックスで意識するようになったことはありますか? ロビン マスタリングの仕方は目標が変わってくるので違ってきます。全体にいいようにというか。三好(敏彦)さんがマスタリングしてくれたんですけど、リスニング環境の違いで15パターンぐらい送ってくるんですよ。 井澤 すげえ(笑)。 ロビン 「日曜日の夜」とか「月曜日の朝」とか、どんなに同じことやってもマスタリングの音が変わっちゃうんだって。日曜日って家に人が多くて電気使うから電圧ないとか、パターンをいっぱい持ってきて、メンバーでどんどん絞ってって、「月曜日の朝が一番いいな」とか。 井澤 だからか! ロビン で、「月曜日の朝」はiPhoneで聴くとちょっとキックが消えてるんだよね、とか。そういう比較をして絞り込んでいって。毎回、「鼻毛1本」っていう説明を三好さんがするんだけど、「ほんと鼻毛1本の差ですけど、これもあります」って送ってくれる(笑)。

FRIENDSHIP.03

━━ところでお二人が「FRIENDSHIP.」のキュレーターを引き受けたのはどんな理由から? ロビン 声をかけてもらったのと、僕は単純に<AFTER HOURS>に出したい若手のバンドがいて、ライブに呼べるようになったという環境もあったので、シンプルに好きな子たちの音楽をもっと聴いてもらいたいなと思ったんです。それに関われる話としていいなと思ったからですね。僕はわりととんがり担当で(笑)。とんがった人をいつも紹介してはスタッフが交渉してくれている感じです。 そういうふうにいい音楽をちゃんと広める場所があるなら、そこにたどり着いた方がいいんじゃないか? って子たちをサポートできたらいいなという感覚でした。それにこういう人たちが選んでいるんだったらーーもちろん落とされた人はどこからどう言っても落とされた、になるけど、ちゃんと聴いてるっていうのはわかってるので、安心して送ってくれていいよって感じはします。 ━━井澤さんはいかがですか? 井澤 僕も同じく誘われたからですね。もともと僕は、自分で海外のレーベルをやってたんです。海外ツアーで仲間になったバンドたちをフックアップして、日本だと知られてないバンドなんですけど、そのバンドを日本に連れて来たいっていうのがあって。そのためにレーベルを作ってCDを売って、渡航費として返すっていう。本当にライブの時に売るための物販を作るCDレコードレーベルみたいな、小さなことをやってたんです。それは自分の収入には全くならないけど、でもLITEのためにはなるじゃないですか。LITEが友達の海外のバンドとツアーを廻る名目にもなるのでずっとやってたんですけど。

FRIENDSHIP.03

ロビン えらいなぁ。 井澤 ということは、それと同じことをFRIENDSHIP.でやれるじゃないですか?(笑) で、僕がやってきたやり方は地道で古いし、CDは売れない。でも、配信だったらもっと早いしっていう意味ではさっきも言ったんですけど、お客さんとの距離がすごく近くなるんですよ。どういうことかというと、海外のアーティストを連れてくる時のプロモーションがライブだけだとどうしても弱いので、もうLITEっていうメディア媒体しか使えないじゃないですか。 その、外国人と一緒にツアー廻ります、けどその外国人、知られていませんみたいな。そうなるとLITEのお客さんしか来ない。だったら配信でプロモーションを兼ねたFRIENDSHIP.があるから、そっちでやってみない? っていう提案ができるんです。 ロビン あとね、定期的にプレイリストを作らせてくれるんです。今まで俺が作って公開したところで、と思ってたんです。

FRIENDSHIP. PLAYLIST Curated by Robin Aoki

━━ロビンさんのプレイリストは未知のアーティストが多くて興味深いです。 ロビン いいでしょ? それに気付けたのが良かった。で、プレイリストをあげたらそのアーティストからメールが来て、「ありがとう」「海外来る時、声かけて」とか。自分が発信することで人との距離がまた急に変わりました。 井澤 つながるんですよね。 ロビン あと、僕が好きな音楽を誰かが聴いてくれて気になってくれて知ってくれたら知ってくれたらいいなって思います。そんな試みに参加させてもらえたのはすごくありがたいですね。 ━━井澤さんの選曲はまだLITEを想像しやすいというか。 井澤 ははは。自分の周りに近い人、好きな人の楽曲を選曲しているので。アメリカツアーを一緒に回ったElephant GymやCHONを入れたり。一緒にツアーを回るようなバンドが自分の同世代かちょっと後輩になってきたんですけど、同じように世界で動いてるバンドだから、俺の中では一緒くたに聴いてもらうファンがいてもおかしくないと思ってて。 というのも、海外は当たり前のように一緒に聴いてるんですけど、日本ってちょっと世代が違うみたいな扱いになるというか。それって、toeとdownyを聴いているお客さんと俺らは世代が違うって扱いに日本はなりやすいというか、そこは一緒くたにならないんですよ。 なんで全部一緒に聴かないんだろう? と俺も思ったりしてて。そこを一緒に聴く人たちを作れるように、みたいな願いはちょっとあったりとかします。

FRIENDSHIP. PLAYLIST Curated by Jun Izawa

━━以前、タイラダイスケさんとThe fin.のYutoさんの対談の時、FRIENDSHIP.がハブになって新しいコラボやイベントがあっても面白いという話をしていらしたんですけど、お2人はやりたいことはありますか? ロビン DTM講座ができたらいいなと思いました。選考をしている時に、曲が良くても音が悪い子がいたからもったいないなと思ったんです。録音をこうするだけで良くなるよって講習会とかしてあげたら喜びそうだなと思う。その場で僕と井澤くんが例として曲を作っちゃうとかもいいんじゃない? 井澤 いいですね。全然やりますよ!

FRIENDSHIP.03

Text by 石角 友香 Photo by Kohichi Ogasahara

FRIENDSHIP. archive

Vol.1 タイラダイスケ(FREE THROW)× Yuto Uchino(The fin.)対談 「FRIENDSHIP.」が目指す新しいアーティストサポートの形とは?

Vol.2 橋本薫×奥冨直人対談|カルチャーとの結びつきから広がる新たな音楽の届け方

FRIENDSHIP.対談

FRIENDSHIP.とはカルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽をデジタル配信する新しいサービス。 世界中から新しい才能を集め、それを世界に届けることが私達のできることです。 リスナーは自分の知らない音楽、心をうたれるアーティストに出会うことができ、アーティストは感度の高いリスナーにいち早く自分の音楽を届けることができます。

詳細はこちら

FRIENDSHIP.03

downy

2000年4月結成。メンバーに映像担当が在籍する、特異な形態をとる5人編成のロック・バンド。音楽と 映像をセッションにより同期、融合させたライブスタイルの先駆け的存在とされ、独創的、革新的な音 響空間を創り上げ、視聴覚に訴えかけるライブを演出。 2004年に活動休止し、2013年に再始動。 2018年にギタリストの青木裕が逝去。2020年SUNNOVA(Samlper/Synth)の正式メンバーの加入を発表。

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FRIENDSHIP.03

LITE

2003年結成、4人組インストロックバンド。今までに5枚のフルアルバムをリリース。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、アメリカのインディレーベル”Topshelf Records”と契約し、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどでもツアーを成功させるなど国内外で注目を集めている。 国内の大型音楽フェス”FUJI ROCK FESTIVAL”や”SUMMER SONIC”をはじめ、海外音楽フェスのSXSWへの出演や、UKのArcTanGent Festival、スペインのAM Fest、メキシコのForever Alone Festではヘッドライナーでの出演を果たすなど、近年盛り上がりを見せているインストロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつとなっている。2019年6月5日には6thアルバム「Multiple」をリリースする。

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FRIENDSHIP.03

第七作品集『無題』

downy 2020.03.18(水) RHEN-0001 ¥2,800 (税抜価格)+税 1.コントラポスト 2.視界不良 3.36.2° 4.good news 5.角砂糖 6.ゼラニウム 7.砂上、燃ユ。残像 8.pianoid 9.鮮やぐ視点 10.adaptation 11.stand alone 特設ページはこちら

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FAKYのちょっと聞いて vo.1|不登校生が影響を受けたHIP-HOP by Lil’ Fang

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私は兄の影響で中学生の時から Japanese HIP HOPを聞くようになりました。 沢山の曲を聴くきましたがその中でも THA BLUE HARB「未来は俺らの手の中」はすごく思い入れがあります。 未来は俺らの手の中 / THA BLUE HARB
この曲を聴き始めてすぐ後の中学1年生の秋、 私は学校に行けなくなりました。 始まりは些細なことだったけど、 ある日突然、学校に行くとクラスの何人かが挨拶を返してくれなくなりました。 気のせいだと自分に言い聞かせて毎日を過ごしていたら、 確実な悪意を感じる出来事が日常茶飯事になって 眠れなくなって、食べられなくなって、人と目を合わせる事も怖くなって、だけど誰にも相談できなくて 最後には、家から出られなくなりました。 沢山の時間を1人で過ごす中で この曲は心の支えでした。 《終わらないものはないが 変わらないものは果たしてあるのか? ゆっくりとすこしづつ失いながら それぞれの安らぎと生きてる》 歌詞に助けられた初めての経験でした。 中学生の私は、生きていく勇気をもらいました。 それから沢山の人の力を借りて だんだんと普段の生活に戻ろうとする中で やっぱりどこか同級生たちや両親に 劣等感や申し訳無さが付き纏うようになりました。 そんな中でまた、この曲も私を支えてくれました
《雨にも負けず、さがし続ける、今のオレなりの解釈の結論を信じうぬぼれず》
冒頭のこの歌詞は ただ自分を信じて突き進むだけではなく 自分なりの解を自問自答しながら確実に進んでいけばいいんだと、 私に思わせてくれました。 今でも当時の暗い記憶を思い出して 自分を見失いそうになる時がありますが 奮い立たせてくれた音楽が そのとき助けてくれた人達の気持ちが 私の戦う原動力になっています そのおかげで今、 私はFAKYのLil'Fangとして ステージに立ち発言する、発信することが出来ています。 未だ”自分なりの解をみつける自問自答”の道中だけど かつての私がそうであったように、 いつか誰かの記憶に残り、 誰かの支えになれるような音楽を残せる存在になりたいです。 何かに負けそうなみなさん。 今まさに誰かの悪意に押し潰されそうなみなさん。 大丈夫。あなた1人じゃありません。

text by Lil’ Fang

PROFILE

Lil’ Fang

ブリーチされたショートカットにヒネリの効いたファッションを好む Lil’ Fang、最大の武器は圧倒的な歌唱力。 アニメ「ガンダムビルドファイターズ」OP 主題歌「wimp ft.Lil’ Fang (from FAKY)」にてコラボレーションした BACK-ON メンバーからも高い 評価を受けている。FAKY 加入以前渋谷のクラブを中心に洋楽のカバー曲 を披露し話題となっていた彼女は、HIPHOP とアニメから洋邦のロックまでと驚くほど広い守備範囲を誇る。「Lil’ Fang(=小さい牙)」とは、彼女 が歌の師匠からもらった名前。その名の如く、彼女の歌声は心に突き刺さ るような切れ味と、温かな包容力で聴く人々を FAKY WORLD へと惹き込む。現在 Akina と共に MC を務めるHIP HOP専門インターネットラジオ番組「WREP 6」でもユーモア溢れるトークでセンスを光らせる。 Lil’ Fang Instagram

FAKY

“次世代ガールズ・ユニオンFAKY” フェイクなフリしてとことんリアルに。 ルーツもスタイルも異なる最強の5人が集結(=ユニオン)。 2016年に発売した『CANDY』はiTunes総合トップアルバムにおいて、アリアナ・グランデ、レディオヘッドに次ぐ3位を獲得。 2017年に発表した『Surrender』は「Spotify」Viral Top 50チャートにて日米Top 10入りを果たした。 2019年7月には、ガールズパワーをテーマにしたダンスシングル3部作のリリースを発表。YouTubeのミュージックビデオが、3作合計で500万回再生を突破した。 2020年2月には、AbemaTV「月とオオカミちゃんには騙されない」に出演中のHinaの心情を歌にした「half-moon」をリリース。 ブラジル公演やカナダ公演で大成功を収めるなど、世界のトップクリエイターを迎えたクリエイティブの高さと彼女達のパフォーマンス力に各国から注目が集まっている。 FAKYオフィシャルサイト

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Degital Single『 half-moon 』

Hinaがコンセプトメイク、Lil’ Fangが作詞をした FAKYの新たな挑戦を感じるバラッド。 2020年2月26日リリース 詳細はこちら

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FAKY ONEMAN LIVE “NEW AGE”

2020.5.31(日) OPEN 17:00 / START 18:00 東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE会 チケット購入ははこちら

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FAKYのちょっと聞いて vo.2|Perspective of Dance by Akina

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ダンスで表現をすることは沖縄に住んでいた7歳の時から。アメリカのカリフォルニアに移住してからもずっと続けていました。現地ではバレエ・JAZZ・コンテンポラリーも習い、そこで様々なジャンルを自分なりに捉えて表現する楽しさに目覚めました。日本とアメリカの違いで言うと、性格的に日本人はシャイでアメリカはオープン。でもダンスの世界では情熱と表現の仕方に壁はないと言い切れます。そこが私のダンスに魅了されるポイントです。よく人から聞かれる私のダンスファッションスタイルについては経緯があって。幼少の頃アメリカでコンテストに出場するようになって、自分のハーフの顔で他のアメリカ人の顔立ちに負けないよう日常的に研究し自分なりのヘアメイクファッションを習得しました。なのでアメリカの要素を取り入れた、というよりもダンス人生の中で培ってきた上での今の私のファッション・メイクスタイルがあるのかなと感じています。 現地ではレッスンでもメイクを完璧にしていることが普通で、ノーメイクでレッスンを受けるとやる気ないなと思われてしまいます笑 。なので日本に来てダンスレッスンでノーメイクの人が多くてびっくりしました!私はヘアメイクが完成していないと自分の姿を鏡で見たときに世界に入り込めない、テンションが上がらないんです。さらにはLAだとダンスの世界で有名になりたい人はメイクとヘアレッスンに通わないといけません。そのぐらいメイクやヘアスタイルも重要視されているのが日本との違いかも。 アメリカはHIPHOPだとワイドパンツやダボっとしたファッションがメジャーです。動きやすいのでエネルギッシュでパワー感出せるかなと思います。あとはヴィンテージスタイルも人気。メイクはマストで赤リップがトレンド。そういう私個人、踊りやすいのはHIP-HOPですが、一番気持ちいいと感じて好きなのは、実はコンテンポラリーダンスだったりします。こういうことも私の今のスタイルには影響もしていると思います。私がリスペクトしているコレオグラファーはたくさんいますが、その中でもFAKYの「GIRLS GOTTA LIVE」振付のGalen Hooksは本当に素敵!ずっと前から大好きで、憧れの存在だったからやってもらった時は嬉しかったな。 ちなみに、彼女もコンテンポラリーベースでHIPHOPをMIXしていて、彼女が創る振付は、一見難しそうに見えないのですが、止まるところをしっかり止めるなどポイントがあり、映像で見ると本当にキレイで尚且つ、ダンスにパワーがあってすごくかっこいいんです。

Bishop Briggs - River - Choreography by Galen Hooks - Filmed by @TimMilgram

Billie Eilish - "i love you" | Galen Hooks Choreography

憧れのGalen Hooksが振付したFAKY / GIRLS GOTTA LIVE

【MV】FAKY / GIRLS GOTTA LIVE

最近はSean Lewという10代の若いダンサーが気になっています。5歳の頃から様々なダンスコンテストで優勝もしていて今世界的にも大注目されています。まるで流れるお水のように踊っていて、どんなジャンルでも彼にしか出来ない表現がかっこいい。昔アメリカでWORK SHOPに参加した時に実際に生でSean Lewのdanceを間近で見て、凄く衝撃を受けたのを覚えています。同年代なのであれから今でもずっと彼からインスパイアされています。

Sean Lew | Front Row | World of Dance 2017 | #WODLA17

最近面白いなと思っているのが“Woah!”という手振りの動き。アメリカのHIP HOPラッパーが創った手振りで、ダンサーではなくラッパーが遊びの延長戦で発案したダンスが世界中で流行っていること自体も凄いと思っています。

KRYPTO9095 FT. D3MSTREET WOAH (OFFICIAL SONG TO WOAH DANCE)

私自身も過去に自分の曲で振付を創りましたが一から一人で振付を考えるのはとても大変。だけど楽しい時間でした。他、ラジオWREP 6でダンスカバーをしていたりもちろんグループでもずっとダンスのことを考えています。 私にとってダンスは歌で表現することと近いものであると思ってます。 歌ってその歌詞の言葉だけでは伝えられない感情や気持ちまで表現出来ますよね。 ダンスも一緒で自分が感じたその事を体で表現出来るので、私の人生には欠かせません。 70歳になってもずっと踊り続けたいです。

text by Akina

FAKYのちょっと聞いて vo.1|Lil’ Fang‎

PROFILE

Akina

チャーミングな笑顔とセクシーさ。どちらの顔もみせるAkina は、アメリカと日本のハーフ。幼少期を沖縄で過ごし、再びアメリカへ渡り、各地を転々として育ちながらFAKY に加入するため、カルフォルニアから東京にやってきた。バレエ、コンテンポラリー、ヒップホップ等幅広いジャンルを操るメンバー1のパフォーマー。 音楽はオルタナティブR&B からエレクトロのアーティストまで幅広く愛聴しており、自身で作曲も手掛けるなどクリエイティブ力は抜群。現在Lilʼ Fang と共にMC を務めるラジオ番組「WREP 6」ではカヴァーダンスを披露し、「世界一フォロワーの多いダンサー」として有名なMatt Steffanina などからも評価され話題となっている。 Akina Instagram

FAKY

“次世代ガールズ・ユニオンFAKY” フェイクなフリしてとことんリアルに。 ルーツもスタイルも異なる最強の5人が集結(=ユニオン)。 2016年に発売した『CANDY』はiTunes総合トップアルバムにおいて、アリアナ・グランデ、レディオヘッドに次ぐ3位を獲得。 2017年に発表した『Surrender』は「Spotify」Viral Top 50チャートにて日米Top 10入りを果たした。 2019年7月には、ガールズパワーをテーマにしたダンスシングル3部作のリリースを発表。YouTubeのミュージックビデオが、3作合計で500万回再生を突破した。 2020年2月には、AbemaTV「月とオオカミちゃんには騙されない」に出演中のHinaの心情を歌にした「half-moon」をリリース。 ブラジル公演やカナダ公演で大成功を収めるなど、世界のトップクリエイターを迎えたクリエイティブの高さと彼女達のパフォーマンス力に各国から注目が集まっている。 FAKYオフィシャルサイト

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Degital Single『 half-moon 』

Hinaがコンセプトメイク、Lil’ Fangが作詞をした FAKYの新たな挑戦を感じるバラッド。 2020年2月26日リリース 詳細はこちら

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FAKYのちょっと聞いて vo.3|FASHIONと私。 by Mikako

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幼稚園の頃からお気に入りの服を毎日着ていたり、 小学生になると、学校に着て行く服は毎日寝る前に決めてから寝たり、 妹と一緒のコーディネートを髪型やアクセサリーに到るまでおそろいにするなど、小さな頃からお洒落をしたり、ウィンドウショッピングしたり、服が大好きでした。 昔からたくさんの服と育ってきたのでクローゼットの中は入りきらないくらいの服でいっぱい……幸せで溢れていました。 ある日、クローゼットの中を整理整頓しよう。という時に、 私は“服を捨てる”というチョイスをしてしまいました。 着なくなった服を袋に詰めて、たくさんの袋の中で息苦しそうにしている様子をふと見た時“自分は何をやっているのだろう…この服達ももっとまだまだ出番はあるはず” と思い一瞬で袋から全部出してクローゼットに戻しました。 そんな出来事があってから、服にまつわる思い出も含め、もっともっと一着一着を大切にしていきたいと思うようになりました。 着続けるための試行錯誤の末にどんなアイテムでも着方を変えれば“違う見せ方ができる”と気づいたのがキッカケになり、今、私のコーディネート基本軸にしている“同じコーディネートは一切しない。” というメソッドが生まれました。 “同じコーディネートは一切しない” をするようになって、アイテムひとつひとつの毎回見え方が毎回違うことが楽しくなり、同時に服も何回も違う役割での出番があって、そうしているとそのアイテム自体が喜んでくれてる様な気もして、気づいたら毎日コーディネートを考えることに夢中になっていました。 “あの日”どんなコーディネートを組んでいたか"という記録にもなるので、私はほぼ毎日服を撮ってInstagramに投稿しています。 誰かに見てもらおう、というよりは、私のInstagramは私のもうひとつのクローゼットだと思っているので、見にきた誰かがお洒落を楽しんでくれてたら嬉しいな。と思っています。 こんな感じで小さい頃から自分のすぐ隣にあった「ファッション」はこれからも私にとってきっと大切なもので在り続けると思います。将来、アパレルブランドも立ち上げたいです。 そこで小さい頃から一緒にファッションを楽しんできた実の妹と一緒に仕事をするのが密かな夢でもあります。 ファッションに正解、不正解はないと思います。 自分が着たい服を自由に着て、一着一着をしっかり愛してあげて、これからもファッションを楽しんでいきたいです。

text by Mikako

FAKYのちょっと聞いて vo.1|Lil’ Fang‎ FAKYのちょっと聞いて vo.2|Perspective of Dance by Akina

PROFILE

Mikako

黒髪ボブへアと美肌、 ショートパンツに映える美脚が Mikako のトレードマーク。 華奢なスタイルとクールなまなざしが際立つ彼女は異質な存在感を放っている。 ファッションコーディネートを得意とし、 メンバーのスタイリングをコーディネートすることも。 メンバー 1のおしゃれ番長として、自身のインスタグラムには“毎日のコーデ” をあげている。 そのファッションセンスが評価され、「Drop Tokyo」や「FASHIONSNAP.COM」等に掲載される。 また「NILON JAPAN」等のメディアにも出演し、モデルとしても活躍中。 一度決めたことは、最後までやり遂げる芯の強さを持っており、メンバーの中ではリーダー的役割を果たしている。 Mikako Instagram

FAKY

“次世代ガールズ・ユニオンFAKY” フェイクなフリしてとことんリアルに。 ルーツもスタイルも異なる最強の5人が集結(=ユニオン)。 2016年に発売した『CANDY』はiTunes総合トップアルバムにおいて、アリアナ・グランデ、レディオヘッドに次ぐ3位を獲得。 2017年に発表した『Surrender』は「Spotify」Viral Top 50チャートにて日米Top 10入りを果たした。 2019年7月には、ガールズパワーをテーマにしたダンスシングル3部作のリリースを発表。YouTubeのミュージックビデオが、3作合計で500万回再生を突破した。 2020年2月には、AbemaTV「月とオオカミちゃんには騙されない」に出演中のHinaの心情を歌にした「half-moon」をリリース。 ブラジル公演やカナダ公演で大成功を収めるなど、世界のトップクリエイターを迎えたクリエイティブの高さと彼女達のパフォーマンス力に各国から注目が集まっている。 FAKYオフィシャルサイト

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Degital Single『 half-moon 』

Hinaがコンセプトメイク、Lil’ Fangが作詞をした FAKYの新たな挑戦を感じるバラッド。 2020年2月26日リリース 詳細はこちら

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2020.5.31(日) OPEN 17:00 / START 18:00 東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE会 ※オフィシャル/SNSをチェック! 詳細はこちら

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はなむけしゃしん – HINAKO「sakura」

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はなむけしゃしん

Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第2弾は、早稲田大学に通うHINAKOのはなむけしゃしんです。

HINAKO「sakura」

卒業した学校名:早稲田大学 卒業にあたり伝えたいメッセージ:学生からの卒業。これは22年間大きな愛情で育ててくれた両親の卒業でもあります。 ここまで大きく育ててくれてほんとうにありがとう。 18年前、幼稚園の入園式で写真を撮った目黒川でまた3人で写真を撮れて本当に嬉しかった。 また来年も一緒に桜を見ようね。 未来の世界へ:これからは、一人の大人として、両親と社会に恩返しができるよう頑張っていきます。 自分の本当にやりたいことは何か、自分にできることは何か、学生時代に抱いた感情を忘れずに生きていきたいです。

はなむけしゃしん
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INFORMATION

はなむけしゃしん

中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter 中山桜Instagram

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はなむけしゃしん –菜瑠「卒業」

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はなむけしゃしん

Qeticと写真家・中山桜さんの共同企画「はなむけしゃしん」がスタート。 「はなむけしゃしん」は、本企画の発起人であり、写真家として活躍する中山桜さんが、卒業式に出席できなかった学生のみなさんの卒業写真を撮影し、Qetic上で“卒業アルバム“として連載する企画です。 第3弾は、青山学院大学に通う菜瑠のはなむけしゃしんです。

菜瑠「卒業」

卒業した学校名:青山学院大学 卒業にあたり伝えたいメッセージ:青山学院!素晴らしい日々をどうもありがとう! 未来の世界へ:未来の自分へ! 毎日が楽しければ、それでオーケー! 自分で自分を1番幸せにできますように!

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はなむけしゃしん

中山桜/Sakura Nakayama

1994年 沖縄県久米島町出身 アーティスト写真やライブ撮影など、主に人物を撮影。 また、個人制作も行い展示積極に開催する。 ・2017年2月:合同展示「kobaka」展 ・2018年8月:二人展示「1/47~沖縄編~」 ・2018年10月:個展「世田谷展@ラーメンBASANOVA」 ・2019年1月:イラストコラボ展「死にたいけど超生きたい」 ・2019年10月:個展「あがき展」。 クラウドファウンディングを達成し原宿の2DKマンションにて開催 中山桜Twitter 中山桜Instagram

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”音楽はずっと自分の味方なんだ”|美声のSSW・Mark Diamondが語る、新曲”Rita”への思い

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昨年5月に〈HIPLAND MUSIC〉がスタートしたデジタルディストリビューションサービス「FRIENDSHIP.」。 ストリーミングが主流になり、音源を独自で配信するインディペンデントなアーティストが増える一方、膨大な音源の中で楽曲をフックアップされることは難しい状況でもある。数あるデジタルディストリビューションサービスの中で「FRIENDSHIP.」が画期的である点は特定のレーベルや事務所に所属することなく、プロモーションやサポート、ディストリビューションを統合した機能を持つサービスであることだ。 Qeticと「FRIENDSHIP.」が企画する連載の第4回となる今回、アメリカで活動するSSW マーク・ダイヤモンド(Mark Diamond)にメールインタビューを行った。 FRIENDSHIP.では日本のアーティストのみではなく、海外のアーティストのリリースも積極的にサポートしている。今回、マーク・ダイヤモンドのデジタルディストリビューション(日本エリア限定)をFRIENDSHIP.が担当。リリースされる作品”Rita”について、彼自身の思い、そして彼が最近聞いているという楽曲のプレイリストを作成してもらった。

Mark Diamond - Rita (alive in nature)

INTERVIEW:Mark Diamond

━━日本のリスナーに自己紹介をお願いします。 ━━Please introduce yourself to the Japanese listeners. アメリカ・シアトル出身のシンガーソングライター、マーク・ダイヤモンドだよ。 今はリリース予定の2ndアルバムの制作を一生懸命している。そのニューアルバムから先日”Rita”という先行シングルがリリースされたんだ。 My name is Mark Diamond. I am a singer-songwriter from Seattle, WA. I’ve been hard at work releasing music in support of my upcoming second album. The first song was just released, called "Rita". 僕の作曲はとてもパーソナルなものをモチーフにしていて、"Rita"は色々なことがあったこの2年間についての曲になったんだ。プライベートな生活や音楽活動など、つまり僕の人生に基づいたストーリーになっているよ。僕の曲を聴いて、「私と同じ気持ちを感じている人がいるよね」と思って、安らぎを得ることになる人がいれば嬉しいな。 My writing is always very personal and these new releases are songs about what I’ve been going through the last couple of years. These stories are about my life, both personal and professional. I hope that people can find peace in these songs, knowing that there is someone else out there who feels the way they do. ━━今作“Rita”についてのエピソードを教えてください。 ━━Could you tell us some episode/story about the making of the song “Rita” ? “Rita”はすぐに完成したんだ。 My song “Rita” was written quickly. ちょうどその頃、地元のシアトルから、いま住んでいるロサンゼルスに戻ったところで、少し落ち込んでいてツラい時期だったんだ。僕はコミュニケーションを取るのがあまり得意じゃないから、心がバラバラになってしまう気がするくらいに自分の中に気持ちが溜まってくることがあるんだ。けど、音楽のおかげで心はバラバラにはならない。自分の気持ちを伝えるように、ずっと味方として音楽があることで安心をしているよ。 I had just gotten to LA after spending time up in Seattle. I had a bit of a heavy heart and felt a lot of regret. I don’t always communicate the best and unfortunately that means it builds up in me until I feel like I’m going to break. However, I’m lucky that I have music to stop me from breaking. It’s comforting knowing I’ll always have music to express myself. ━━“Rita”さんはお祖母さんのお名前という事ですが、“Rita”さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。 ━━As Rita is the name of your grandmother, could you tell us some key episode or story about her, if there is any ? “Rita”は祖母についての話なんだ。彼女の人生は前途多難だったけど、それでも笑って、楽しくしていたよ。ギャンブルやマルガリータというカクテルを飲むことが大好きだったんだ。 “Rita” is a story about my grandmother. She lived a very challenging life and was able to still find laughter through it all. 僕にとって、この歌について話すことはまだツラくて、おそらくこれからもツラいと思う。 けど、みんなには彼女のストーリーを聞かせたいんだ。希望や苦労や愛のある話だよ。 She loved gambling and she loved drinking Margaritas. This song is sometimes difficult for me to talk about and I think it’ll always be that way. I want her story to be heard by everyone. A story of hope, hardship and love.

Mark Diamond - Rita

━━マーク・ダイヤモンドさんのフェイバリットアーティストを教えてください。 ━━Could you share your favorite artists ? 僕が最近よく聞いてるアーティストと曲をプレイリストにしたよ。 This playlist is what I’ve been listening to lately.

Curated by Mark Diamond Spotify

Apple Music

Mark Diamond アメリカ、シアトル出身のアーティスト。 幼少の頃、父親と”シボレーマリブ1969”に乗り、トム・ペティ、フーティー&ブロウフィッシュ、ビートルズ、アールイーエム、ロビー・ウィリアムズなどを聴きながら育った。現在はロサンゼルスを拠点にニューアルバムのリリースツアーを計画している。

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FRIENDSHIP. archive

FRIENDSHIP.対談企画 Vol.1 タイラダイスケ(FREE THROW)× Yuto Uchino(The fin.)対談 「FRIENDSHIP.」が目指す新しいアーティストサポートの形とは?

Vol.2 橋本薫×奥冨直人対談|カルチャーとの結びつきから広がる新たな音楽の届け方

Vol.3 downy・青木ロビン×LITE・井澤惇 対談|インディペンデントな活動における音楽との関わり方

FRIENDSHIP.プレイリスト企画 橋本薫×奥冨直人|ファッションを感じるアーティスト

FRIENDSHIP.対談

FRIENDSHIP.とはカルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽をデジタル配信する新しいサービス。 世界中から新しい才能を集め、それを世界に届けることが私達のできることです。 リスナーは自分の知らない音楽、心をうたれるアーティストに出会うことができ、アーティストは感度の高いリスナーにいち早く自分の音楽を届けることができます。

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RELEASE INFORMATION

Rita

Mark Diamond 2020.03.17(火)

この曲は僕自身を受け入れられるようになった曲です。 曲作りはシンプルで、たいていかなりエモーショナルです。今年初のシングルが "Rita" ということで緊張してます。なぜなら、この曲は僕にとってとてもパーソナルな曲です。 Ritaは僕のお祖母さんの名前で、彼女とお父さんへ作った曲です。音楽じゃないと気持ちをうまく伝えられないので、お父さんに色々伝えるためこの曲を作りました。人生は辛いもので、僕がその話をするのがあまり得意ではありません。 この2年間は色々な意味でとてもクレイジーな旅でした。僕が曲をたくさん作れない理由は生きるために時間が必要だからです。ですが、僕の音楽で人々に感動してもらえたというのがとてもラッキーだと思いますので、これからもできるだけ多くの人々に感動してもらうように一所懸命頑張るつもりです。ラブリーなRitaの話を気に入ってくれると嬉しいです。

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期待の美モデル・甲斐まりかが選ぶ至極の音楽プレイリスト!FKJ、Tom Mischなど収録で、音楽好きも注目の内容に

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Audio Technica
今回Always Listeningでは、モデル、女優、コラムの執筆とマルチな才能を発揮する甲斐まりかさんによる「日常に寄りそう心地よい音楽」をテーマにしたプレイリストをお届けします! 幼少期から大学を卒業するまでにマレーシア、タイ、ドイツ、イギリスと複数の国で生活をしてきた甲斐さん。それぞれの国で触れた言語や文化の違い、目で見たこと、耳で聴いた音、そのすべてが彼女のアイデンティティに深く刻み込まれています。 そんな甲斐さんと選曲した曲との接点や、甲斐さんにとっての音楽についてインタビュー。海外生活の長い、マルチリンガルな甲斐さんならではのエピソードをお話しいただきました。 Audio Technica

注目のモデル・甲斐まりかによる至極のプレイリスト

バリエーション豊かなプレイリスト、選曲の理由は? 普段から旅することが大好きなんです。でも旅先の環境で馴染むまでに気持ちが落ち着かないときがあって、そんな時に聴きたいプレイリストとしてセレクトしてみました。 自分のベースのテンションを大事にしていて、高揚しすぎず、クールすぎず、日常のテンションで過ごせるものというか。選曲したアーティストでいうとTom MischとかHONNE、FKJは常にスタメンですね。 Audio Technica 新しい音楽との出会い、どんな時が多いですか? ライブをキッカケに聴いて、そのアーティストを知って好きになることは多いです。イギリスって、夏になると色んなフェスが開催されているので、そこでも出会いがありましたね。中学〜高校時代はドイツに住んでいたので、テクノやハウスが身近にありました。きっとドイツに住んでいなかったら、ハウスやテクノのような音楽は聴いていなかったかもって思います。 あとは音楽好きの友達が多いので「最近これ聴いてるんだけど、知ってる?」って感じでよく情報交換もしてます。今回のプレイリストに入れたTame Impalaは、3人の友達と車で小旅行に行った時に知って、そこからずっと聴いています。友達とは好きなものが似ているのですが、どこかちょっと違うんですよね。聴いている音楽ってその人が育った背景が影響しているように感じて、面白いなって思います。 Audio Technica 続きはこちら

Photo by Nozomu Toyoshima interview&text by 野中ミサキ(NaNo.works) Styling by 小泉茜 Hair&Make-up by 手塚裕美 撮影協力:epulor

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クールビューティーな人気モデル横田ひかるが選ぶ音楽プレイリスト!iriやBillie Eilishなど同世代の女性アーティストに注目

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横田ひかる
今回Always Listeningでは、モデル、女優として活動し、ファッション感度の高い若者から支持を受ける横田ひかるさんによるプレイリストをお届けします!

クールビューティーなモデル横田ひかるのプレイリストには、同世代女性アーティストの楽曲も

10代からモデルとしての仕事を初めた横田さん。もともと”自己表現”が得意な方ではなかったという彼女は、モデルの仕事や演技への挑戦を経て、自己表現の楽しさを知っていきます。日常に寄り添う大好きな音楽と、記憶に残るライブでの感動はいつも自身を高めてくれるそうです。 横田ひかる 横田さんのプレイリスト、選曲の理由は? 過去にライブを観たアーティストを中心にお気に入りの曲をセレクトしています。特にメロディやテンポが印象的な曲が多いです。女性アーティストは低めの声が好みで、男性だと逆に高めの歌声が好き。 音楽は家でも外でも本当に毎日ずーっと聴いています。なので、イヤホンを忘れて出かけた日はソワソワしちゃいます。普段から音楽好きの仲間と情報交換しあったり、ライブやフェスにもよく一緒に行ったりしてます。今回のプレイリストはライブの余韻に浸れるような、リピートして聴きたくなる曲を選んでます。 横田ひかる プレイリストの中で注目している曲は? 全部大好きなのでオススメしたいのですが、今回、自分と同世代系のアーティストを多くセレクトしてます。 iriの低音ボイスとリズム感がすごく好きで。選んだ曲”フェイバリット女子”は特に歌詞も良くて、共感する女の子が多いんじゃないかなと思います。 基本、気になる曲はジャンルを問わずリピートして聴くタイプなんですが、今回のプレイリストでは、メロウ&レイジーな落ち着いた曲調のものをセレクトしています。SIRUP、Billie Eilishで選んだ曲の雰囲気はめちゃくちゃ好みです! あと私自身、カラオケによく行くので、自分が歌いやすい曲っていうのも選んでいるポイントです。このプレイリストの中なら、私はKing Gnuやクリープハイプをよく歌うんですが、ぜひチェックしてみてください。 横田ひかる 横田ひかる 続きはこちら

Photo by Nozomu Toyoshima interview&text by 野中ミサキ(NaNo.works) Styling by Minoru Sugahara Hair&Make-up by Kahori Hara 衣装協力:AOI WANAKA、unique 撮影協力:the GARDEN

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Interview:多国籍国家で、異国文化を自由に選ぶ|マレーシアのトップ・インディーズアーティストThe Venopian Solitude

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The Venopian Solitude
日本で生まれた私たちの多くが、日本語で教育を受け、日本のドラマや映画に触れながら育ちます。それでは、子供のころから異文化に触れ、複数の言語で教育を受ける環境の国では、どのような音楽が生まれるのでしょうか? 今回話を聞いたのは、アジア随一の多民族国家マレーシアのインディーズバンド:The Venopian Solitudeのボーカリスト、Takahara Suiko(タカハラ・スイコ)さん。 The Venopian Solitudeは、民族音楽、ジャズ、ヒップホップ、多種多様なパーカッションを取り込み、一風変わった音楽性のバンドです。 KFC Original Series: Raya Selamba
その自由さと楽曲の完成度が評価され、マレーシア国内では、ケンタッキー・フライドチキンのコマーシャルならびにNetflixのプロジェクトに参加。 2019年には、日本からゆずやSuchmosらが招かれた台湾最大の音楽の式典、Golden Melody Awards 金曲奨のショーケースライブにマレーシア代表として出演するなど、海外での活動も目立ちます。 その背景を掘り下げたところ、自国の文化に加え、海外文化の影響を貪欲に受け取り、進化してきた過程について、明るく丁寧に語ってくれたので紹介します。

(聞き手=中村めぐみ @Tapitea_rec)

Profile:Takahara Suiko(タカハラ・スイコ)

The Venopian Solitude
Photo credit : Farhan Syaza
1990年12月5日生まれ、スランゴール州シャー・アラム市出身。華僑の祖母を持つ中華系クオーター。The Venopian Solitudeの作詞作曲、ボーカル担当。 高校卒業後、日本(香川県)の高等専門学校へ留学。そのための準備として、マレーシアの準備学校(Prep School)へ通っていた際、勉強によるストレスを発散するために一人で音楽創作を開始。マレーシアへ帰国後、仲間たちとともに本格的にThe Venopian Solitudeの活動をはじめる。 現在、専業ミュージシャンとして生計を立てている。 The Venopian Solitude Official websiteTwitter

多民族国家、マレーシアで受け取る異文化

━━今日は流暢な日本語と英語でインタビューに応えてくれていますが、日本語はどこで学んだのでしょうか? 香川県にある高等専門学校へ留学するために、マレーシアの準備学校で日本語を学びました。 ━━日本の高専へ、しかも地方の学校へ留学する方はなかなか珍しいような…。 マレーシアでは17歳の頃に試験があって、成績が良い人は大学へ、成績がよろしくない人は高専に行くのですが、私は後者だったのです(笑)そして、都会ではなく、地方の学校を選んだのは、マレーシア人のコミュニティに甘えないようにするためです。高専では電子工学を学んだあと、2013年に帰国しました。
(スイコさんのTwitterより。日本語で流暢なラップを披露している)
━━日本に興味を持ったきっかけは?子供の頃に触れたカルチャーはどのようなものでしたか? 日本に興味を持ったのは『ドラえもん』がマレー語の吹き替えで放送されていたのを見たのがきっかけです。マレーシアでもドラえもんは人気番組で、『ドラえもんのテーマ』はみんなが歌えるくらい浸透しているんですよ。 それ以外で言うと、国教であるイスラム教の宗教音楽、ナシードをよく聞いていました。とはいえ宗教一辺倒、というわけではありません。マレーシアでは海外のテレビ番組が放送されていて、それらを家族と一緒に楽しむのが日常で、香港や韓国のドラマインドの映画アメリカのテレビ小説など異国の文化をたくさん受容できる環境だったのですよ。 自国の文化にも、多くの異文化にも囲まれるなか、私の一番のお気に入りは日本の音楽で、スキマスイッチと、NARUTOのエンディングテーマで知ったASIAN KUNG-FU GENERATIONの"ハルカカナタ"が好きでした。 ━━ありがとうございます。マレーシアでは、マレー語に加え英語、北京語なども話されていますが、スイコさんの育ったご家庭では、いつもどの言語で会話をしていますか? 私の家族は、英語とマレー語をミックスして話します。たとえば、「今日はショッピングモールでご飯を食べたい気分だな~」と思ったときは、「I think I wanna makan lunch kat mall kot.」(=I think I wanna eat lunch at the shopping mall maybe.)と言います。 ━━不思議な感じ。 マレーシアでは幼稚園の頃から、一部英語で教育を受けますので、これが日常です。小学校に上がると、国語と社会はマレー語で、数学と理科は、英語で授業を受けますよ。
The Venopian Solitude
House of Vans, KLPAC Sentul, Malaysiaでの一枚 Photo credit:Firdaus Zulkilfly
━━ありがとうございます。留学する直前にリリースした2009年のファーストアルバム「I Stayed Up All Night Doing This」では、フォーク・ソングが多めですが、当時よく聞いていた音楽は? Kimya Dawson、Laura Marling、Kimbra、Kawehi、Kendrick Lamar、Tune-Yards…など欧米のフォーク系シンガーソングライターが中心です。準備学校の友達からおすすめを教えて貰ったり、YoutubeやLast FMで良いな、と思うものを聴いたりしていました。 創作をはじめたきっかけは、準備学校の宿題に取り組むストレスが限界に達し、これを発散するためでした。ファーストアルバム「I Stayed Up All Night Doing This」を創ったときは、一般的な曲の長さに縛られたくないな、という思いがあり、1曲が短いものが多いですね。 ━━日本から帰国後、音楽性がかなり変化していますが、この理由は? レーベルの仲間たちとバンドを結成し、メンバーチェンジを繰り替えすなかで、異なる背景を持ったメンバーたちが自由にアイディアを出し合って曲を製作するスタイルが確立しました。
The Venopian Solitude
Photo credit : THEROCKSHOW
━━現メンバーのバックグラウンドについて教えてもらえますか? ヒップホップとジャズの背景を持つプロデューサー、シークエンス担当のKEMAT、 セッショニストとして経験が豊富で、台湾の張韶涵とも交流があるRUVI、 オーケストラのメンバーとしても活動していたキーボードのADAM、 クラリネットを学んだあと、パーカッショニストに転向したSHAFIQ、 マレーシアン・ポップスとロックが得意な、ギターのIZHAR、 アメリカの名門、バークリー音楽大学を卒業したギターのIRENA、 有名な劇場やメインストリーム、インディーズのバンドの音響技師として活動している、音楽監督と音楽技師のBIJAN。 そして高度教育を受けたテック担当のAPIP、マルチメディアを学んだビデオグラファーのHANが関わって、一人で音楽を創っていたときよりもずっと表現の幅が広がりました━━ 一人ひとりが国際性が豊かで、個性的なバックグラウンドを持っているんですね。曲をまとめるのが大変そうですが、創作のプロセスについて教えてもらえますか? 私たちのリハーサルは、ストイックに練習する時間よりも、試行錯誤を繰り返す「遊び」の時間がとても長いです。私が曲、詞と大まかな構成をメンバーに渡した後、メンバーたちから「これをやってみよう」「こうしたら面白いんじゃないかな?」という提案があり、それらを実際にスタジオでどんどん試していきます。 そんな試行錯誤を繰り返して、一番「良い!しっくりくる!」と思ったものを採用していく。だから、ロックも、ヒップホップも、バラードも、電子音楽も1曲でまとめられるのですよ。 ━━スイコさん自身が、自分のアイディアに、メンバーのアイディアが加わってブラッシュアップすることを楽しんでいるのですね。そんなアイディアの源泉はなんですか? 私にとって音楽を作るのは、寝なければいけない、ご飯を食べなければいけない、というもので、しないと頭がめちゃくちゃになってしまう。そんな存在です。 今、創作について私が決めているたった1つのルールは、「ラブソングは書かない」ことです。恋愛以外の日常生活で起きたこと…たとえばインターネットの記事を読んで怒りを感じたとしたら、その感情を自分を通して表現できます。 表現力を高めていくためには、新しい音楽を聴いて、自分自身をアップデートすることが重要で、そのために言葉の分からない海外の音楽をよく聞いています。最近のお気に入りのアルバムは、Luedji Luna『Um corpo no Mundo』などのブラジル音楽です。

台湾の音楽の式典で

The Venopian Solitude
2019年、Golden Melody Awardsにて Photo credit:THEROCKSHOW
━━マレーシア国外でも活躍するThe Venopian Solitudeですが、2019年に台湾最大の音楽の式典、Golden Melody Awards 金曲奨に招待された時のことを教えて頂けますか。 Golden Melody Awardsへの出演は、クアラルンプールの独立系レーベル兼コンサート・プロモーターであるSoundscape Recordsの創立者、Mak Wai Hoo(マック・ワイ・フー)さんの手引きにより実現しました。 Soundscape Recordsは、マレーシアと海外の音楽シーンの交流を促進する役割を担っています。彼らが運営するCITY ROARS FESTIVALは、Golden Melody Awardsパートナーシップを締結していて、2020年1月の開催時には、台湾や日本、シンガポールのアーティストが出演しました。 ━━なるほど、海外とマレーシアの交流を作る大きな流れがあるんですね。そのなかで実現したショーケースライブへの出演ですが、当日を振り返っていかがですか? いつも私たちは、地元の200人キャパくらいのライブハウスで演奏していますが、今回、台湾で出演したのは、それよりも大きい会場でかなり緊張していました。
The Venopian Solitude
本番前、緊張の一枚 Photo credit: THEROCKSHOW
私たちはマレー語で歌いますので、台湾のお客さんたちは歌詞が分からないだろうな、って。でも実際に演奏してお客さんの反応を見ると、歌詞も音楽の一部として楽しんでくれているのがわかりました。そしてマレーシアで私たちのお客さんは若い方が多いのですが、台湾では、おじいさん、おばあさんくらいの年代の方が、最前列で私たちの演奏を見に来てくれていたのもかなり意外で、なるほど、場所が変わるとこんなにも反応が変わるんだなぁ、と。
The Venopian Solitude
Photo credit: THEROCKSHOW
━━Golden Melody Awardsで台湾のアーティストで、気になった方はいますか? 原住民シンガーの桑梅絹 Vusanaです!歌と民族のSpilitを持つ歌の力に感激しましたし、民族音楽の演奏を大きな会場でも演奏できることに感激でした。 マレーシアでは民族音楽の歌手をイベントで見られる機会はそれほど多くありません。台湾政府は、地産の文化を大舞台にサポートする姿勢があるのだな、と思いました。 桑梅絹 - 《渲染》- 渲染
━━ありがとうございます。日本からはゆず、Suchmosが出演したことで話題になっていたんですけれども、マレーシアから見た金曲賞のお話が新鮮でした。

マレーシアのトップ・インディーズアーティストとして

━━The Venopian Solitudeはライブに加え、Netflixのプロジェクトにも参加していますが、どのようなお仕事なのですか? 今回私たちが参加した「sicreview」は、Netflix Malaysiaで配信している番組と、4組のアーティストがコラボレートするプロジェクトです。それぞれのアーティストに担当番組が割り振られて、その番組のレビューを音楽で表現します。 その音楽に対してNetflixのビデオプロダクトチームがシナリオを書いて、1本のミュージック・ビデオを作るという内容です。The Venopian Solitudeは2つの番組を担当して、私は殺人鬼として出演したり、お化けとして出演したりしています(笑) ━━なるほど、マレーシアでもNetflixが流行っているんですね。 はい、Netflix、アジア版のNetflixのような立ち位置であるiflix、韓国の番組を多く配信するviuが人気です。
The Venopian Solitude
Photo credit: THEROCKSHOW
━━なるほど、ご活躍の幅を広げているThe Venopian Solitudeですが、普段応援してくれるファンの存在があってこそだと思います。The Venopian Solitudeがマレーシアのリスナーに応援されている理由を、スイコさんご自身はどのように分析していますか? 多様なバックグラウンドを持ったメンバーたちによる音楽性に加え、幾通りにも解釈できる歌詞が私たちの魅力かな?と思います。たとえば、2014年のアルバム『Hikayat Perawan Majnun』収録の"Tenangkan Bontot Anda"で言うと、タイトルを日本語に訳すると「あなたのおしりを落ち着けて下さい」なのですが…。 ━━え、どういう意味? 元々は、「宿題をやりたくなくて憂鬱な日があったとしても、この気持ちはいつか、消えてしまうから落ち着きましょう」という意味を込めて作った曲で、実際に歌詞の本文では、おしりの話題は特に出てこないんです(笑)一風変わっているんですけれども、この曲はライブの定番曲なんですよ! ━━すごくユニーク! ちなみに、10年後にこうなっていたい目標はありますか? 10年後、私は40歳ですが、メインストリームの方はそのまま変わらないんじゃないかな。インディーズシーンはマレーシアから出て活動する方が多いので、私たちもそういう方向にも行けたらと思います。場所にこだわりはないけれど、北米、USAが気になっています。日本でそういう活動をしてるアーティストがいたら、ぜひ話を聞きたいです! ━━はい、日本から海外に出て活動しているバンドの方はいますよ。後ほどいくつか資料を送ります…今日はありがとうございました!

The Venopian Solitude Information

The Venopian Solitude
Photo credit:Firdaus Zulkilfly
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今だからできる!暮らしを整える「おこもり美容法」3選

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夜遅いごはんでも
酵素本来の力を活かした製法と技術から生まれた新谷酵素『夜遅いごはんでも』。独自技術で誕生した“活きている酵素”の働きで、食事を通してキレイを届けることを実現しました。ここではその酵素の働きにフォーカス。身体の内側からキレイになれる、インナービューティケアに役立つ情報をご紹介していきます。
「マスクがない!花粉症の人はたいへんだ!」という前回の記事を書いたときは、まだ今よりのんびりした空気がありました。残念ながら事態は一層の厳しさを増すばかり。 新型コロナウイルスの感染者数は世界全体で140万人、死者は8万人を超えるという未曾有の事態。そのため、今月7日にはとうとう日本でも7都道府県に緊急事態宣言が発令されました。それに伴い、より厳格な外出自粛が求められるようになり、多くの学校は休校延長に、多くの人が可能な限り在宅勤務となっています。(2020年4月8日現在)。

「家から出るな」と言われたら

夜遅いごはんでも 普段なら、春の陽気に誘われて桜を見たり、ピクニックしたり。皆で集まってワイワイと楽しいときを過ごしている季節だからこそ外出自粛が一層辛い…。けれどこの未曾有のパンデミックに私たちができることは、できるだけ家に篭って感染を広めないこと。そうやってこの状況を乗り越えるしかありません。 そんな状況下でできること。 家から出ずに、家の中でできること。 それが「おこもり美容」です! SNS上では、Instagramの「おうち時間(Stayhome)」スタンプビデオ会議アプリ「zoom」の活用など、事態に向け様々な動きが見られています。「おこもり美容」もその一つ。外出自粛、自宅勤務で家から出られない今のピンチを、普段できないようなファスティングなどじっくり自分を磨く”ボディメンテナンス”の絶好のチャンスに変えられたら素晴らしいと思いませんか。

暮らしを整える「おこもり美容法」3選

夜遅いごはんでも 「おこもり美容法」の続きはこちら

text by 松本 愛 illustration by 横山 さと 出典:新谷弘実(2009)免疫力を高める生き方

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Analogue Foundation がNubya Garcia、Magda等へインタビューした動画シリーズを公式YouTubeチャンネルで公開!

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Analog Foundation
“アナログ”がもたらす価値や魅力にフォーカスしたプロジェクト『Analogue Foundation』についてをお届け。オフィシャルサイトに公開されているインタビューシリーズ「Analogue Is…」には、Mad ProfessorKhruangbinDonna Leakeをはじめ、最前線で活躍し続ける気鋭のアーティストが登場し、それぞれが思う「アナログとは」について語っている。

Analogue Foundationとは?

記憶に残る体験創出とアナログサウンドの探求を目的に始まった、オーディオテクニカ(以下、AT)発のグローバル・プロジェクト。アナログという共通の価値観で繋がったファウンダーには、D’AngeloやErykah Baduのエンジニア/プロデューサーとして有名なRussell Elevadoと、Patti SmithやJean-Luc Godardとのコラボレーション作品で知られるサウンドアートユニットSoundwalk Collectiveが名を連ねている。 これまでに、FabricのミュージックディレクターCraig Richards主催の<Houghton Festival>への参加や、ハイファイサウンドシステムを取り入れたロンドンでのポップアップイベント<Giant Steps>の開催、南米のアマゾンとコンクリートジャングルNYの9ブロックを音で繋げるプロジェクト<Jungle-ized>への参加、また若手アーティストへの音楽制作ワークショップ等、世界中様々な場所でアートと音楽の分野を中心に活動している。

クラフトマンシップから生まれたサウンドショーケース「Listening Station」

ここからはAnalogue FoundationとGlobe-Trotterのコラボレーション「Listening Station」について紹介していきたい。 ATは長年、音と愚直に向き合いものづくりを続けてきた。「Listening Station」は、ATの職人が生みだしたオーディオコンポーネントを極上のトラベルケースにおさめた唯一無二のオーディオ・プロダクトだ。トラベルケースを手掛けたのは、創業120年を超える英国の老舗トラベルケースブランドGlobe-Trotter。ひとつひとつ丁寧な製法で、ハンドメイドのトラベルケースをつくっている。伝統と革新、2つのクラフトマンシップが表現する“アナログの美しさ”を感じながら特別な視聴体験ができるようになっている。 Analog Foundation Analog Foundation Analog Foundation Analog Foundation 続きはこちら

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Interview:逆境のライブハウスがあえて取り組む「ワクワクする音楽体験の創造」とは|青山月見ル君想フ店長 タカハシコーキ

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moonromantic
さまざまな課題が降りかかるエンターテイメント業界。 4月25日にYouTubeにて配信された対面型ラジオ『やまだひさしのタク(宅)アンリミテッド』では、人気DJ:やまだひさし氏の進行のもと、TERU(GLAY)、SOIL&"PIMP"SESSIONS社長、origami PRODUCTIONS対馬芳昭CEOら15名以上が集結し、各自の置かれている状況や課題について話し合った。 同放送へライブハウス代表として出演したのは、青山月見ル君想フ(以下、「月見ル」)の店長、タカハシコーキ氏。 コロナショック以降、多くのアーティストがライブハウスが無料配信を行うなか、「月見ル」では、有料ライブ配信に挑戦している。 今回は、有料配信に踏み切った背景と、厳しい状況のなか、ライブハウスが届けられる価値について聞いた。

(聞き手=中村めぐみ @Tapitea_rec)

Profile:タカハシコーキ(青山月見ル君想フ店長)

moonromantic
Photo by Shiho Aketagawa
1982年3月29日生まれ、神奈川県横須賀市出身。慶應義塾大学卒業。2009年月見ル君想フ入社。2014年より店長に就任、ブッキングマネージャーも兼任。 月見ル君想フでは、「パラシュートセッション」や「すべての音楽人の為の英会話教室」など、オリジナリティ溢れる企画を打ち出してきた。 MoonRomantic ChannelTwitter

どんなときも前向きに、クリエイティブに物事を解決する

━━コロナショック以降、どのような思いでここまで来ましたか。 いずれ、お客さんを入れてのライブ、イベントができなくなるであろうことは、早い段階で予想はついていました。 というのも、月見ルは社長の寺尾(Twitter:@budhan)ならびに、中国人スタッフ、台湾人スタッフが日々積極的に中華圏と意見交換を行っており、日本よりも感染拡大の早かった中国では、ライブハウスや音楽フェスティバルを運営する際、オンラインライブに切り替えた例がある、との情報も入ってきていたからです。
寺尾ブッダさんのTweet
━━もともと中華圏からの情報を受取りやすい環境なのですね。 2月以降、悩ましい状況がつづくなか、開催に踏み切った、「BIG ROMANTIC JAZZ FESTIVAL 2020」(2月22日開催)では、危機意識の高いスタッフや、中国、台湾の対応を参考に、お客様、出演者、関係者、合計約1,000人ならびに全ての会場に対して、全員の検温、マスク着用と消毒の義務、さらに問診ブースを設置するなど、当時できることはすべて行いました。 BIG ROMANTIC JAZZ FESTIVALで心残りだったのは、防疫上の観点から中国の『Power Milk』の来日をキャンセルしたことです。リアルタイムのライブ配信も検討したものの、準備期間や技術的な課題により諦め、予め収録しておいたライブ動画を上映しました。この時から、ライブ配信で音楽の価値を届けることを意識するようになりました。 ━━現在、無料配信が主流のなか、独自のプラットフォーム「MoonRomantic Channel」にて有料ライブ配信をはじめた背景は? コロナショックを受けて、無料配信が増えていく様子を見ていて、「アーティストにも、ライブハウスにも収入のない状況が続いて、音楽業界に未来はあるのだろうか?配信でも、お客さんに価値を感じてもらえるライブを制作するべきでは?」と感じました。 投げ銭の仕組みがあるYouTubeのスーパーチャットの利用も検討したものの、利用条件のひとつである「チャンネル登録者数1,000人、合計視聴時間4,000時間のハードル」の壁をスピード感を持って超えるのは、僕らの活動規模では厳しいと判断し、有料チケットによる配信をはじめました。 ━━コロナショック以降、有料配信をはじめる以前も、月見ルさんではオリジナルグッズを展開し、価値の創造に取り組んでおられる印象です。 月見ルの核心には、「どんなときも前向きに、クリエイティブに物事を解決しよう」という哲学があります。ですので、厳しいなかではありますが、救済感があるものではなく、「かっこいいもの、誰かが幸せになれるようなものを創りたい」と考えています。 ━━グッズなど手に取りやすいものと比べて、コンテンツ配信は、無料で見られるものをつい選びがちです。付加価値を生むためにどのような工夫をしていますか。 配信をはじめた当初は、「いつものライブを普通に配信すれば良いのでは」と考えていました。しかしそれでは、動画サイトにて無料で見られるライブ映像との差別化がむずかしく、お客様にとって月見ルの配信を選んで頂く理由がなくなってしまいます。 ですので、現在月見ルでは、いつものライブに加え、月見ルの配信だからこそ見せられるもの=普段のライブでは見られないものを見て頂くことにこだわっています。
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4月25日実施の児玉奈央さんの配信ライブ。 序盤では、部屋の中から配信しているようにも見えていたが
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背景のスクリーンを外すと、「月見ル」のシンボルである満月が現れた
そして「普段のライブでは見られないもの」を追求していくと、もともと僕自身が大事にしている活動コンセプトの「ワクワクする音楽体験」につながっていることがわかりました。 これまで、このコンセプトの下開催したのは、80回以上続けている月見ルの名物企画「パラシュートセッション※」や、いたるところでコラボレーションが起こっていたBIG ROMANTIC JAZZ FESTIVALです。
※パラシュートセッションとは、2組のバンドが対面するようにセッティングして1曲ずつ交互に演奏をして、セットリストを決めずに進んでいく、スリル満点の2マンライブ。お客さんは、普段の楽曲を聞きつつ、普段とは違う環境で予想のつかない展開を楽しんで頂けます。
つまりこれまで大事にしてきた「どんなときも前向きにクリエイトする」という哲学「ワクワクする音楽体験」にヒントがあり、オンライン配信でも基本的にやっていくことは変わらないなと思っているのが現状です。 ━━これまで開催した有料配信について、リスナーさんの反応はいかがでしたか? 地方ツアーが中止になってしまったバンドに対して、地方へ行く代わりに無観客ライブの配信をしたところ、「やってくれてよかった!」という反応をもらいました。 ━━配信ライブの価値を上げるために、現在も試行錯誤中とのこと。取り組んでいることはありますか。 遠隔セッションができれば、海外アーティストとの共演も実現できます。技術的な問題は解決済なので、企画でテストしていく段階です。また、演出についても、PVを作っていくような意識で、いろいろ試して行こうと思っています。 ━━攻めの施策だけではなく、安全対策についてもお聞きできましたらと。「東京都感染拡大防止協力金」の要件として、無観客配信を行う場合も三密の状態を作らないことが挙げられていますね。 現状はできるだけ少人数編成のアーティストに出演していただき、スタッフも最小限としてもらえるようお願いしています。もちろん会場側も最小限のスタッフで運営しています。 ━━ありがとうございます。付加価値を生むことと、安全に配信を行うことを両立しているのですね。

さまざまなものがオンラインに移行する時代、プラットフォーマーが果たす役割

━━エンターテイメント業界は逆境に立たされるなかで、協力して課題を乗り越える動きが広まっています。ライブハウスのミッションについてどう考えていますか。 今は自分たちのシステムを構築して、安定した配信をおこなうことで精一杯ですが、次の段階として、MoonRomantic Channelをプラットフォームとして提供することを検討しています。月見ルの企画以外のイベントも配信できる体制を整えることで、音楽業界全体に貢献できるからです。 お客様に価値を感じていただける番組を配信して、アーティスト、ライブハウス、コンサートに関わる人たちが食べていくための流れのひとつとして機能したいですね。 さらに月見ルの強みである、海外とのブリッジ事業を掛け合わせることで、これまで海外向けに発信できなかった方たちを応援する力にもなっていけましたらと。 ━━今後、ライブシーン全体としてどのような流れになっていくでしょうか。 エンターテイメント業界を取り巻く状況は厳しいのですが、この抑圧された状況のなか、現状とうまく付き合う試みや反発を形にしていくことで、実を結ぶことや、生まれていくものがあると思います。 ━━全国でライブハウスを運営する方たちや、音楽業界の方たちへ伝えたいことはありますか。 今は耐え忍んで、1つでも多くのハコが生き残れるように工夫する時期だと思います。通常の営業ができるようになるまでには、半年以上かかるでしょうし、あるいは、通常の営業はもうできないかもしれない。 僕らは、「耐えてきたけれど、もうダメだ」って思うのではなくて、ライブハウスも進化していくことで乗り越えたいです。月見ルでは進化するためのトライアルを進めているところですので、助け合っていけたらと思います。 ━━有料配信に興味を持ったお客様へメッセージをお願い致します。 これまでライブハウスに来て頂いていたお客様に、同じ環境で音楽を届けられるのはかなり先になってしまうのが、仕方ないこととはいえもどかしいです。 その代わり、オンライン配信企画では、なるべくライブ感を失わず、ワクワクする音楽体験を届ける試みをしています。もし好きなアーティストのライブ配信がありましたら、ぜひチケットを買って、視聴してみて下さい。 そして、これまでライブハウスに足を運んだことがない方や、ご家庭の事情などでライブハウスから足が遠のいてしまった方にも、オンライン配信をきっかけにライブハウスを知ったり、またライブハウスに足を運んでもらうきっかけになれたら良いですね。 何より、月見ルの有料ライブ配信は、ワクワク楽しみながら見て頂くために制作しています。お客様の声を聞いて進化していきたいです。

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クリス-ウェブ佳子がPINK SWEAT$、Joe Abio等「官能的」な音楽をセレクトしたプレイリストを公開!

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今回AlwaysListeningでは、モデル、コラムニスト、ラジオパーソナリティと幅広く活躍を続けるクリス-ウェブ佳子さんに、プレイリストを作っていただきました。音楽通の佳子さんらしいクールなセレクトに注目!また、NYで見て聴いて感じた音楽体験のエピソード、ご自身と音楽との結びつきや佳子さんのライフスタイルに欠かせないモノ・コトについてもたっぷりと語っていただきました。

クリス-ウェブ佳子が選ぶ官能的なプレイリストにHONNE、PINK SWEAT$など収録!

プレイリストのコンセプトや選曲の理由は? 15曲すべて男性アーティストの曲で組んでみました。全体的に、ひとりで聴くことをイメージして、心が休まる曲をセレクトしています。このプレイリストのコンセプトは「官能的」です。 「Music is the only sensual pleasure without vice – 音楽は背徳を伴わない唯一の官能的喜びである」 これは18世紀のイギリスで“文壇の大御所”と称されたSamuel Johnsonの格言です。踊りたくなる音楽、歌いたくなる音楽、そこにいる誰もが心を通わせる音楽、場の雰囲気を創る音楽等、みんなで聴く音楽への接し方は千差万別ですよね。ただし、今回はひとりで音楽を聴く、その醍醐味を十二分に体感してもらえるような、感性や感覚に響くメロディーやファルセット、身体に刻まれるようなシンコペーション等を得意とするアーティストの「官能的」な曲をリストアップしました。 イヤホンやヘッドホンを用いて音楽を聴くことで、時も場所も問わず誰もがひとりになれます。音楽に守られる、もしくは音楽にとらわれることで現実逃避できる。そんなことをイメージして選曲したプレイリストになります。 Audio Technica Audio Technica 特に想い入れのある曲は? Joe Abioの“Baby”!彼はまだ数曲しか発表してないアーティストで、Spotifyで偶然見つけました。私、ひとつのアーティストにハマると年間を通して何度も聴くんですが、自分のSpotify上の鑑賞時間を確認すると、過去3年連続でHONNEというアーティストが1位だったのが、今はJoe Abioがそれを超える勢い。それくらい好きなんです(笑)。 Audio Technica Audio Technica Audio Technica 続きはこちら

Photo by Nozomu Toyoshima interview&text by 野中ミサキ(NaNo.works) Styling by 朝倉豊 Hair&Make-up by 福川雅顕 撮影協力:CONNEL COFFEE

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雑誌JELLY、TGCで活躍するモデル玖瑠実があいみょん、スダンナユズユリーら女性アーティストを中心にセレクトしたプレイリストを公開!

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今回AlwaysListeningでは、モデルとして活動する玖瑠実さんにプレイリストを作っていただきました。また、彼女が過去にも訪れたことのある代官山のbonjour recordsにて、気になるアイテムをチェック。セルフコーデで来てくれた玖瑠実さんから、今回のファッションのポイントやプレイリスト等についてお聞きしました。彼女の等身大の魅力が感じられるエピソード満載です。

若い世代にも人気の玖瑠実が選ぶ世代感溢れるプレイリスト!

プレイリスト、選曲の理由は? 気分が落ちている時に元気をもらえる曲や、楽しい時にさらに気持ちをあげてくれるような曲を選びました。私はいつも家でお掃除する時、リフレッシュするような気持ちで曲をかけたり、ランニングする時にもずっと聴いています。あ! お風呂に入っている時でも聴いています! Audio Technica 特に思い出深い曲はある? 仕事でフルマラソンを走ることがあったんです。そのトレーニングの時に音楽にはすごく助けられました。E-girlsの“Run with You”はまさに走っている自分の気持ちを高めるのに最高な1曲。フルマラソンは本当に自分にとって大きな挑戦でもあったので、思い出深い1曲です。他にもサンボマスターの“できっこないを やらなくちゃ”は思い入れがありますね。モデルとして仕事を始めてから、思うように結果が出ない時期があって……モデルの仕事を諦めようと考えた時がありました。オーディションや、様々なチャンスの中で選ばれるのはひとつの席の世界。私自身もまだまだ若かったし、不安でいっぱいの時にマネージャーさんに教えてもらった曲で。オーディションを受ける時にもすごく励まされた1曲なんです。 Audio Technica 玖瑠実さんと同世代のミュージシャンについて 私自身が勇気や元気をもらっている、同世代のミュージシャンをセレクトしています。當山みれいというシンガーソングライターは、女性の気持ちを代表してくれるような歌詞。他にもあいみょんや、スダンナユズユリー、BLACKPINKと、皆さんすごく強くてカッコいい女性のイメージがありますよね!自立した女性への憧れ、共感、尊敬心がセレクトにも反映されているのかなって思います。自分の育ってきた環境でも、ポジティブで自立心のある女性がまわりに多かったんです。今回のセレクトにあるような女性アーティストから、いつも元気をもらってますね。 Audio Technica Audio Technica 続きはこちら

Photo by Masato Yokoyama interview&text by Always Listening編集部 Hair&Make-up by 手塚裕美 撮影協力:bonjour records 代官山

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アーティスト×ライブハウス×行政書士|コロナショックから生き残るための模索、いま使うべき支援制度とは

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、音楽業界は今、かつてない苦境にあり、変化の時代を迎えている。 緊急事態宣言発令以前から感染リスクが高いとされる「三密」空間の一例として営業自粛が求められていたクラブやライブハウスは、現在全国でほぼすべての店舗が休業状態だ。収入がなくなり家賃の支払いだけが続くなか、閉店を決める店も出始めた。 ライブの現場を失ったアーティストたちもまた、ツアーやフェスティバルへの出演が中止になったことで、収入源の多くを失った。 政府に対して自粛と補償はセットで、という声も叫ばれているが、一方で当事者たちはこの未曾有の事態に対峙しながら新たな活動へシフトし、動き出している。 〈HIPLAND MUSIC〉のデジタルディストリビューションサービス「FRIENDSHIP.」とQeticが企画する連載の第5回となる今回は、欧米、アジアでも高い人気を誇るバンドThe fin.のフロントマンYuto Uchinoと、下北沢のライブハウスBASEMENT BARの片山翔太、インストロックバンドLITEのメンバーであり行政書士として企業やアーティストの資金調達を支援している武田信幸の3人に、サブスクをはじめとするデジタルプラットフォームの活用法や、利用できる支援策、そしてポストコロナ時代の音楽業界のあり方について、それぞれの視点から語り合ってもらった。

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左からYuto Uchino、片山 翔太、武田 信幸。 取材は5月1日(金)にZoomで実施。

武田 信幸(LITE) × Yuto Uchino(The fin.) × 片山 翔太(下北沢 BASEMENT BAR)

━━新型コロナの感染拡大以降、バンドの活動やライブハウスの営業はどのような状態ですか。 Yuto Uchino(The fin. 以下、Uchino) 中国でのコロナウイルス蔓延が報じられた段階で、ライブができなくなるだろうなという予感はありました。The fin.はライブの大半が海外公演なので、より早いタイミングでスケジュールが白紙になりましたね。春から夏にかけての国内外のフェスティバルへの出演やツアーもキャンセルになりました。 ライブは無くなりましたが、楽曲制作は変わらずやっています。自分の家がスタジオになっているので、そこに影響はありません。 武田 信幸(LITE 以下、武田) LITEのライブは海外と日本国内の割合が半々くらいなのですが、まだ海外ツアーの予定はしていなかったので、初めは対岸の火事という感覚でした。3月後半時点では、4月後半からライブ活動を再開できるんじゃないかと思っていたんですが、徐々に雲行きが怪しくなってきて。結局、今年いっぱいライブができるかどうかも不透明な状態です。 (中止の代わりの公演を)配信でやろうという話もあったんですが、配信ならOKだろうという3月ごろまでの流れから、ライブハウス全体が完全休業になったことで、それも頓挫しました。 行政書士の仕事では、海外公演に行くアーティストたちの申請業務を受けているのですが、計画されていた案件も軒並みキャンセルになっていて。バンドと行政書士、双方で影響が出ていますね。

ライブハウスはどう生き残る?

片山 翔太(下北沢BASEMENT BAR 以下、片山) BASEMENT BARは現在、ライブハウスとして営業ができないので、ライブ配信プログラムの制作のために動いています。以前と変わらず、先のブッキングもしていますが、緊急事態宣言がいつ終わるかわからない中で、今ブッキングしているものが実際にお金に繋がる仕事なのかどうか不明なまま仕事を続けているという感じですね。コロナ以前と仕事内容はほとんど変わりました。 ━━BASEMENT BARの経営母体であるTOOS Corporationはグループ店のグッズを販売するWeb Storeを開設しました。クラウドファンディングではなくグッズ販売とした背景は? 片山 まずドリンクチケットを売ろうというアイデアがありました。できればお客さんの対価になるようなことを準備したいね、という考えのなかでグッズも用意しました。 支援を募るということはお客さんにも少なからず負荷がかかるものだと思うので、短絡的にお客さんに頼ることはしたくなかった。なるべく価値のあるものを提供して、それを対価にお店を回す方法に今は頭を使うべきだろうと。それでもダメなら、最終手段としてお客さんに頼るということはあり得るかもしれませんが。

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BASEMENT BARから発売されているグッズ
Web Storeはこちら

━━すでに閉店を決めたライブハウスやクラブも出てきています。緊急事態宣言の延期、さらにその後の行く末も見通せないなか、お店の財政難を乗り越えるための手段はあるのでしょうか。 片山 東京都の(休業要請への)協力金(2店舗以上で100万円の支給)については、うちの会社は7店舗もあるので、その中で分け合うと1日の売り上げにもならないんです。もちろんいただけることはありがたいんですが……。 ━━ライブ配信での収益は? 片山 回ごとに変動しますが、チケット代を取っている有料配信に関しては、平常時の1日の売り上げに近い数字を出せることもあります。ありがたいことにチケット代だけでなく観客の方々の投げ銭の金額がかなり大きいです。 ただ、配信の準備にかかる労力を考えると、売り上げとしては成り立ちません。 ━━連日配信をしてスケジュールを埋めていく、というのはあまり現実的ではない? 片山 現時点ではそうですね。有料配信については、専門の配信チームにお願いしているんですけど、彼らと一緒に配信プラットフォームを組み立てられたらいいなと思っています。本来であれば現場スタッフへももっとお金を払う必要があるので。 投げ銭のみの無料配信では撮影を自分たちでしている場合もあるのですが、収益になるものではないですね。

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配信プロジェクト<Send>
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投げ銭のみの無料配信プロジェクト<self>
配信はこちら

━━協力金の話がでましたが、行政はそのほかに持続化給付金や雇用調整助成金などの支援制度を用意しています。武田さんから行政書士として、その辺りのアドバイスはありますか。 武田 元々、行政書士としての僕の専門領域は資金調達なんです。ですので、ライブハウスやクラブの事業者、アーティストの方々には、こうした不測の事態を迎えるにあたって一番大事なのはキャッシュである、ということは責任感をもってお伝えしたいと思っています。 「キャッシュ・イズ・キング」という言葉もあります。キャッシュさえあれば会社は潰れない。キャッシュ残高をいかに多く持つか、という意味で、とにかく今は政府の施策をフル活用することがベストだと思っています。 『持続化給付金』は法人であれば200万まで、東京都の『感染拡大防止協力金』は単独の店舗で50万円、複数の店舗を持つ事業者へは100万円。個人的に一番活用してほしいのが、事業資金の実質無利子・無担保融資『新型コロナウイルス感染症特別貸付』と『セーフティネット保証4号5号』などです。売り上げの減少があれば、かなり窓口が開かれて通常よりもかなり融資が出やすい状況です。 この融資制度だと、目安として3ヶ月分の売り上げや運転資金が融資対象額になっていて、さらに追加で融資を受けられたりもする。すでに閉店してしまったクラブやライブハウスのなかには融資が受けられない事情があったお店もあったのかもしれませんが、ひとまずはこうした融資を受けたり、給付金をあてにすることができれば、少なくとも3、4ヶ月は持ちこたえることができるはずです。

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武田信幸が行政書士として所属する株式会社INQで 作成した資料が経済産業省の公式資料として採用された

政府が出せる支援策としては現時点の策がマックスといっていいほど充実しているので、個人的にはさらに大きな施策を求めるのはハードルが高いんじゃないかと思っています。 一方で、民間の団体が基金なり寄付を立ち上げていく必要があると思います。クラウドファンディングはすでにたくさんされていますが、今課題になっているのは、それらを統括するライブハウスやクラブの団体がないこと。クラウドファンディングができないくらい小さなお店がたくさんあるんですよね。そこにもお金を行き届かせるためには、民間団体による新しい仕組みがないと難しいかなと思います。ただ、音楽業界はジャンルごとに、ライブハウスやクラブ同士の繋がりが別れてしまっていることがしがらみになって、そういったとりまとめが難しい。

音源からの収入が期待できない時代 アーティストはどう稼ぐ?

━━アーティスト側の話を伺っていきたいのですが、The fin.が元々ライブから得ていた収入は活動全体のうちで何割を占めていたのでしょうか? Uchino ほぼ大半と言っていいぐらいだと思いますね。The fin.が初めて音源を出した2013年ごろってまだCDが売れていた時代で。その頃なら、CDを出したらタワーレコードなどに展開されて、それなりの枚数が店頭で売れていくっていうスタイルだったんですが、いまは完全にストリーミングに移行していますよね。そうなってからは、フィジカルの音源が売れるケースっていうのが、ツアー中のグッズ販売の一部として買ってもらうパターンが主になっている。なので、ライブがなくなると音源を売る機会も失う。音源を出して、ツアーやフェスを回って制作費や収益を回収するシステムなので、リリースをすること自体が躊躇われる。 ストリーミングサービスからの収入は継続的にもらえるものではありますが、まだまだ十分なマネタイズには至っていなくて、Bandcampがやってくれている手数料が無料になるキャンペーンとか、色々なやり方を模索する必要があると思います。 そもそも日本はデジタルへの移行が他の国に比べて10年とか15年単位で遅れていると思っていて。誤解を恐れずにいうなら、このコロナ禍によってこれまでなかなか進まなかったことが無理やり進むようになるのかなと。 ━━LITEはライブに代わる収入源としてなにか用意があるのでしょうか。 武田 僕たちは去年から株式会社ユートニック(https://about.utoniq.com/)と共同で『The Room』というファン向けのアプリというか、サブスクリプションのファンプラットフォームを作りまして。そこでのマネタイズをし始めたところだったんです。 そこではファンアプリ限定のスタジオライブや、メンバーのトークライブ、ライブやデモの音源などを販売したり、従来の音楽活動以外からマネタイズできるコンテンツを拾い出して提供しています。

”LITE Official Application "The Room" teaser”

コミュニティ作りが今後を左右する?

━━ファンコミュニティを作れるかどうかは、コロナ以降、より重要になりそうです。一方で、純粋に音楽性で勝負しているアーティストたちには、そういったファンとの密な関係作りを行ってこなかった、また労力を割けなかった人たちも多いです。 武田 LITEの一連の活動は、コロナ関係なくそもそもバンドってそういうものだよね、という思いからやっています。バンドの成長って、好きな人が集まって村になり、村がだんだん町になって都市になる。そんなイメージを持っています。小さいコミュニティから村を作るということは、コロナの影響という部分以外でも、今後必要になってくることだと思いますね。 Uchino ファンと直接繋がっている人の方がもちろん強い。一方で、あまりアイドルみたいな活動スタイルにしたくないっていう気持ちもあると思うんですよね。ファンと近くなりすぎたくないみたいな。 そのバランスのあり方はカルチャーごとに違うと思います。そもそも人がどれくらい音楽やカルチャーに関心をもっているのか。アーティストとファンの繋がりじゃなくて、音楽と音楽が好きな人の繋がりの強さが底力になって全体を変えるものになる。 アイドルは本人がそこにいることが重要で、ファンの「サポートしたい」というモチベーションがアイドルを支えていると思います。しかし、基本的に「音楽」は音楽の内容そのものが評価される。その評価っていうのは、「音楽」というカルチャー自体を愛する「音楽ファン」によってされるものなので、彼らの母数がカルチャーの規模を決める。欧米は日本に比べて、「音楽ファン」の母数が大きいように思います。音楽文化と人々の繋がりが強いから、こういう非常事態になると、大きいファンコミュニティを持っていないアーティストでも何かを出したら買ってもらえる。Bandcampが手数料を無料にしたからみんなで買おう、っていう発想が生まれてくるのかなと思いますね。 日本に同じ環境は求められないので、ファンコミュニティを作る、囲い込みが必要になってくるのかなと思いますね。個人的には、その危険性もすごく感じているんですが……。難しいですね。 ━━ライブハウスにおいても、コミュニティ作りへの意識は今後変わりそうですか? 片山 今まではブッキングして、良いと思ったものを発信し続けるなかでお客さんが来てくれてコミュニティができるっていう流れでした。今は配信に切り替わったことで全国に発信できるという状況は生まれました。ただ、イチからスタートしていることなので、どうやって取っかかりを作ってコミュニティを形成していくかを模索しています。 配信の行き着く先というか、具体的にコミュニティの出来上がりのイメージがまだ探り探りで。こういう配信をしてこういう評価されていく、っていうイメージが正直できていません。 ━━BASEMENT BARの新規ファンを全国で開拓していく? 片山 そうですね。海外から見てくれている人もいます。ただ現状は、視聴者の方達は好きなアーティストが出演しているから見てくれている状態。全国にファンがいるバンドをブッキングした時は意識的に有料にして、チケットをとっていこうと考えています。 今はコンテンツ数を増やしていって、どれも良いものだって言われるようになって、BASEMENT BARのWeb Storeを見てもらえるようになりたい。BASEMENT BARが面白いことやってるなって伝わるようにしていきたいですが、まだまだ力不足ですね。

サブスクリプションサービスの活用法

━━SpotifyやApple Musicといったサブスクリプションサービスからの収益というのは、どのくらいのものなのでしょうか。 Uchino サブスクの仕組みってざっくり言うとユーザーからの月額料金をパイにしてそれを全員で分けるものだと思うんですけど、その大半を持っていっているのは圧倒的にメジャーなポップアーティストたち。再生回数に応じて支払い金額が決まるわけですが、彼らの再生回数は文字通り何桁も違う。ポップミュージック一強のなかでパイの取り合いを挑むのはちょっと無謀なんです。 昔ならコアな音楽でも、そのジャンルの規模に合わせた枚数のCDを出せばそれなりに買ってもらえたと思うんですよ。今は出すのは簡単でも、収益のパイはほぼほぼ取られている状態。自分たちのライブラリとしてSpotifyやApple Musicに楽曲はあがっているけど、そこからさらに一歩踏み込んだものを作っていけば、インディーズやコアな音楽シーンでもサブスクを活用する可能性は出てくるんじゃないかと思います。 武田 LITEもサブスクが収益源になっているとは言えません。ポップミュージックにおけるサブスクからの収入と比べて0が何個か少ないのが現実です。ただ、自分たちの音楽を広めるという意味では必要なものなので積極的に利用していきます。 一方で、コアなファン層への深堀りというか、ロイヤリティーを高める動きも必要だと思っています。例えば、航空会社の収益モデルは乗客数としては全体の数%のファーストクラスが柱になっている。アイドルとかもそれは一緒で、数%のコアなファン層がそのアイドルを支えているという話もあります。 サブスクを使って存在が広まれば広まるほど、層の色の濃さがでてくるので、より深堀りしていく動きっていうのが、サブスクをやる上で必要なのかなと思いますね。 最近の話ですが、グラミー賞レベルのアーティストがCDとグッズを一緒に販売して、普通のCDの売り上げよりグッズと一緒に売った方が売り上げ枚数自体が多かった、という話もありました。サブスクだといつでもどこでも手に入るけど、このTシャツ、この曲はここでしか手に入らないというロイヤリティーがあれば、お金出してくれる人は一定数いるんだろうなと思います。

アーティストが受けられる支援策

━━先ほどは事業者向けの支援策を紹介していただきましたが、アーティストが利用できるものではどういった支援があるのでしょうか? 武田 東京都の制度で『アートにエールを!東京プロジェクト』というものがあります。これは5分から10分の動画作品を作ってそれをこの団体に納品する。アップロードされたら補助金が1人あたり10万円、団体で最大100万円まで受けられる。 パフォーマーやアーティスト、音響や照明といったプロフェッショナルとしての人材、周辺スタッフも対象に含まれています。ライブハウスのPAさんとか照明さんも対象になります。これが5月15日(金)に開設されます。計4億円のプロジェクトなので、対象数は1000人くらい。これはぜひアーティスト側もライブハウス側も使えたらいいのかなと思います。 また、国のものでは『コンテンツグローバル需要創出促進事業(リンク先 P.32)』というのがあって、これは海外に向けた動画やライブ配信が想定されています。元々はJ-LODという海外公演を行うアーティストのための補助金を使って、新たな文脈ではじまった補助金です。 さらに『Arts United Fund』というのもあって、これは一人あたり20万円。ケイスリー株式会社というコンサルティング企業が始めたもので、資金は現在クラウドファンディングで募っていて、アーティストの募集は5月25日(月)から開始されます。補助金の配布は6月中を予定しているようです。具体的な金額は資金の集まり具合で決まると思います。

ポストコロナの展望

━━緊急事態宣言の期限後も、音楽業界が原状復帰をするのは先の話、またはもう戻らない可能性も大いにあります。コロナ禍のなかで見えたもの、収束後の展望について考えを聞かせてください。 武田 配信の重要性に気付くということはまずあると思います。遠隔であってもお客さんにとってはコンテンツのひとつ。ライブだけじゃない動画コンテンツや新しい仕組みが急がれていると思いますし、それはライブハウス側だけじゃなくて、アーティストも考えていくべきこと。配信やコンテンツを面白く変えていく仕組み作りとか、そういう時代に適したやり方を考えるいいきっかけになっているんじゃないかと思います。 Uchino コロナウイルスがもし収束したとしても、この事態のなかで人々が重要だと気づいたことは変わらないと思っていて、元に戻るということはないと思います。終わったあとも、今キツいなと思っているところはキツいままだと思うし、デジタルへの移行の重要性はみんなが感じていると思う。 これから5Gも登場して、動画コンテンツや大容量のデータを高速でやりとりできるサービスが増えてくるはずですよね。そうなってくるとフィジカルよりも、デジタル上でガツンとインパクトのあるものを発信して、それを多言語でコンテンツ展開していくとか、そういうことが大事だと思います。 片山 実際、この事態がなければ配信をしようという流れが生まれることはなかったと思います。今後も続けていくつもりだし、もっと全国の人たちが音楽を楽しみやすいように、これをきっかけにもっと風通しが良いあり方を求めていければと思います。 これまでの状態にはもう戻らないと思うし、新しい収益モデルもまだイメージできていない。今はとにかく、今やっていること、目の前にある仕事を生活に馴染ませるというか。ちょっとずつシフトしていけたらと思います。

下北沢BASEMENTBAR/THREEでは店発信の配信イベントに関して、 チケット代と投げ銭を含む売り上げから手数料を引いた額を出演者とライブハウスで折半することを5月8日(金)に発表。

━━コロナ前は当たり前だったリアルの現場への気持ちや、価値について、どのような変化がありましたか。 片山 正直、お客さんが10人とかでもいいのでお店は開けたいです(笑)。やっぱり、配信だけでは人と人とのコミュニケーションは不足しているというか。チャット機能もありますけど、みんなで参加しているという感覚にはならなくて、やっぱり寂しいですね。人が集まらないという状況が。売り上げにならなくてもいいから、お店は開けたいくらいの気持ちです。 武田 僕もプレイヤーとして、ライブはものすごくやりたいですし、リスナーの人たちもものすごくライブが観たいと思っていると思う。だからライブに対するモチベーションが高くなっています。 それはたぶん一時的なものではなくて、ライブハウスでライブをするということの意味がすごく浮き彫りになっているというか。ライブハウスが貴重な空間だという意味が見出せたという空気が広がっていると思う。この空気を終わらせないために続けていくことが大切なんじゃないかと思います。 配信でやれるところはやるし、オンラインでも練習できるようになって、スタジオを使わなくてもいいとことはそれで済ませる。でも、ライブはしっかりと現場をセッティングしてやる。モチベーションのメリハリにもなるし、ライブのクオリティがすごく上がってくるんじゃないかと思いますね。 Uchino 僕はライブの原体験がコーチェラのストリーミングにあったりするので、下手したら現場に行くより配信の方が良い体験ができるんじゃないかと思ったりもするんです(笑)。ずっとレコーディングをしていたいみたいな人間なので、こだわって作られたものを聞くのが好きなんです。 そういう人種にとっては、プロのカメラワークで撮られて高音質で編集されている配信が充実するのはありがたいんですけど、一方でだからこそ生で爆音を浴びる気持ちよさや大切さも分かる。実際に人と会ってコミュニティがあって五感で感じる体験の方がより記憶に刻まれる。人間はそういう体験にどこかで必ず戻るものだと思うんです。 小さいライブハウスで見るから意味のある音楽っていうのもありますよね。音がゴシャっとしたパンクバンドってデジタルを通した配信の音で聞いても面白くない。レコーディングでも同様なんです。デジタルレコーディングの手法でそういうロックのサウンドを録ると耳障りな音になるんです。それは、ロックが減ってEDMが広まった背景の一因だと思います。ただ、最近はデジタルレコーディングの技術がさらに進化したおかげでロックの良さがデジタルでも伝わるようになってきた。なので、最近ロックミュージックが戻って来ている風潮がある。 なので、今はデジタルへの移行というフェーズだけど、どこかでフィジカルなものへ戻ってくると思っていて、そういう意味では今後がすごく楽しみです。

Text by Kunihiro Miki

ライブハウス・クラブ向けの支援策一例

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政府による支援策 -給付 持続化給付金雇用調整助成金 -融資 新型コロナウイルス感染症特別貸付セーフティネット保証4号セーフティネット保証5号 東京都による支援策 東京都感染拡大防止協力金アートにエールを!東京プロジェクト 民間団体 ライブベニューに対する新型コロナ関係支援策活用に関する相談窓口

アーティスト向けの支援策一例

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ライブハウス・クラブ、アーティスト向けの資金繰り支援内容

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FRIENDSHIP. archive

FRIENDSHIP.対談企画 Vol.1 タイラダイスケ(FREE THROW)× Yuto Uchino(The fin.)対談 「FRIENDSHIP.」が目指す新しいアーティストサポートの形とは?

Vol.2 橋本薫×奥冨直人対談|カルチャーとの結びつきから広がる新たな音楽の届け方

Vol.3 downy・青木ロビン×LITE・井澤惇 対談|インディペンデントな活動における音楽との関わり方

Vol.4 ”音楽はずっと自分の味方なんだ”|美声のSSW・Mark Diamondが語る、新曲"Rita"への思い

FRIENDSHIP.プレイリスト企画 橋本薫×奥冨直人|ファッションを感じるアーティスト

FRIENDSHIP.対談

FRIENDSHIP.とはカルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽をデジタル配信する新しいサービス。 世界中から新しい才能を集め、それを世界に届けることが私達のできることです。 リスナーは自分の知らない音楽、心をうたれるアーティストに出会うことができ、アーティストは感度の高いリスナーにいち早く自分の音楽を届けることができます。

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FRIENDSHIP.03
LITE 2003年結成、4人組インストロックバンド。今までに5枚のフルアルバムをリリース。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、アメリカのインディレーベル”Topshelf Records”と契約し、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどでもツアーを成功させるなど国内外で注目を集めている。 国内の大型音楽フェス”FUJI ROCK FESTIVAL”や”SUMMER SONIC”をはじめ、海外音楽フェスのSXSWへの出演や、UKのArcTanGent Festival、スペインのAM Fest、メキシコのForever Alone Festではヘッドライナーでの出演を果たすなど、近年盛り上がりを見せているインストロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつとなっている。2019年6月5日には6thアルバム「Multiple」をリリースする。

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thefin_1
The fin. 神戸出身、ロックバンドThe fin. 80〜90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせが殺到している。The Last Shadow Puppets、Phoenix、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、<FUJI ROCK FESTIVAL>、<SUMMER SONIC>などの国内大型フェス始め、アメリカの <SXSW>、UKの<The Great Escape>、フランスの<La Magnifique Society>、中国の <Strawberry Festival>などへの出演、そしてUS、UK、アジアツアーでのヘッドライナーツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。また8/25(日)からはバンド自身最大規模となる中国で全13公演15,000キャパシティ(全公演SOLD OUT)のツアーを行った。

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FRIENDSHIP.05
下北沢 BASEMENT BAR 住所 〒155-0032 東京都世田谷区代沢5-18-1 カラバッシュビルB1F

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コロナ時代に音楽はどう存在するのか?|ベルリンで生きるアーティスト・スペシャル編Vol.1

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まずはじめに、この企画に賛同、参加してくれた友人であり、尊敬するアーティストの皆さん、サポートしてくれた友人に心からお礼を言いたいです。本当にありがとうございます!! 新型コロナウイルス感染症防止のため、Berghainが閉鎖するという前代未聞のニュースがSNS上に駆け巡り、そこからベルリンがロックダウン状態となるまではほんの一瞬の出来事だった。まさか、リアルなエンターテイメントに触れることが出来ない生活がやってくるとは思いもしなかった。4月21日の発表では、ローカルクラブは7月末までクローズ、フェスに至っては8月末となっており、その後、レストランやカフェは営業再開となったが、バーやクラブは許可が下りないままである。それ以降も再開されるという保証はなく、その事実に打ちのめされそうになりながら、それでも僅かな希望を探し、未来を思い、同企画を実行することを思い立った。 ベルリンには日本人アーティストだけでも数え切れないほどいる。中でも、今回インタビューに協力してもらった4組のアーティストはジェットセッターのように世界を飛び回り、それぞれの活躍を毎日のようにSNSで目にするのが日常だった。それが今では年内のスケジュールが空白のままになっている。そんな非常で異常な状況の中、今の心境を語ってもらった。 第一回目は、サウンドアーティストKyoka、そして、バイオリニストの山根星子の2名の女性アーティストをゲストにお迎えして、制限内における可能な範囲でインタビューを行った。貴重な動画メッセージとともにぜひご覧下さい。 まずは、Kyokaに動画インタビューに答えてもらった。ファンへのメッセージも!!

Interview:Kyoka

※規定のソーシャルディスタンスを守った上で撮影を行っています。 ──ベルリンに住んで何年ですか? 12年です。 ──新型コロナウイルスの存在を知ったのはいつどのような形で知りましたか? 1月末に、カリフォルニアの砂漠からサンフランシスコの空港に戻った際、白人さんがマスクをしていたので「何か変だぞ?」と思って知りました。 ──アーティストとして、どのような影響を受けましたか? ライブやレクチャーのお仕事が、瞬く間に全部中止になりました。 ーーロックダウン中の今、毎日何をしていますか?音楽面であればそれも教えて下さい。 音波や光や空間などと、周波数の基本的な法則や現象を、計算式などから改めてきっちり学び直してます。それに沿って作った音で、どこまで新感覚を得られるか試しています。 ──今この状況になって、改めてあなたにとって音楽とはなんですか?これまでと価値観は変わりましたか? 精神的・肉体的に、私を元気にしてくれるもの。私をいろんな新しい世界に連れていってくれる先導者、道しるべ。 ──終息後にやりたいことはなんですか? 皆でガンガン飛び跳ねられるライブ。(ロックダウンで、みんな運動不足かなと思って。)皆でしっぽり、音の多次元感覚を感じられるライブか展示など。

PROFIELE

Kyoka

Photo:Jordi Cervera
実験・電子音楽レーベルの世界最高峰の一つ『raster-noton』における、初の女性ソロアーティスト。 ベルリン~東京を拠点に、独特な音楽表現で世界を魅了する。アート、科学、物理領域を往来する全世代の人々に向けて、思いもよらないような多次元感覚を周波数により表現している。
Bandcamp
続いて、Tangerine Dreamのメンバーとしても活躍するヴァイオリニストの山根星子からの動画メッセージ。

Interview:山根星子

──ベルリンに住んで何年ですか? 3月で丸 12年になりました。 ──新型コロナウイルスの存在を知ったのはいつどのような形で知りましたか? 1月末頃、日本のニュースで中国、武漢の現状を知りました。2月いっぱいはずっと日本のこと、日本にいる家族や友人、そして相次ぐ公演キャンセルに伴うミュージシャン仲間のことを心配していました。その頃ヨーロッパでは、アジアで大変なウイルスが流行しつつあるといった認識でした。また、ベルリンに住んでいる日本人にとっては、ウイルスそのものよりも、それに伴ったアジア人差別への方が、現実的に問題でした。 ──アーティストとして、どのような影響を受けましたか? ドイツの全ての劇場が閉鎖される前日まで、オーケストラで録音の仕事をしていました。 その後予定されていた私のソロのライブは全てキャンセルになりました。スタジオで録音する予定だった新作アルバムのための制作も延期になりました。 ──ロックダウン中の今、毎日何をしていますか?音楽面であればそれも教えて下さい。 新しいソロアルバムのために以前スケッチしておいたアイデアを形にする時間ができたので、毎日譜面を書いています。今はデータのやり取りで様々なミュージシャンとコラボレーションという形で共同制作できる時代なので、いろんな国の音楽家たちと作品を作ることも同時に行っています。創りたい作品のアイデアがどんどん出てくるので毎日籠もって制作に集中できて、個人的にはとても充実した毎日です。 生活面では、スーパーに行く日数を減らしたので、毎日限られた食材の中から飽きない献立を考えるのも楽しいです。イースターの連休には部屋の模様替えをして気分転換し、読む機会を見つけられずに本棚に置かれていた長編小説2作を読み切りました。 ──今この状況になって、改めてあなたにとって音楽とはなんですか?これまでと価値観は変わりましたか? 今も変わらず音楽は私にとっては、自分が楽しむためのものです。自分を表現するものの一つでもあります。こうして外出制限がされている状況下において、それぞれが楽しむための手段やストレス発散のための方法として音楽があったり映画があったりするので、私はその選択肢の一つとして、自分の作品を生み出し、提供しているに過ぎません。音楽は肉体を救いませんが、精神を安らかにします。それは今までもこれからも、変わりません。 ──終息後にやりたいことはなんですか? 前述した新しいソロアルバムのための譜面が完成しているので、アンサンブルを集めて録音したいです。それから、データのやり取りでは不可能なコラボレーション、例えばライブレコーディング形式であったり、ダンサーさんたちとの舞台作品であったりなどをどんどん進めていきたいです。もちろんライブもやりたいです。スピーカーから聴くのと、その場の雰囲気も含め音楽を体感するのでは、全く異なります。たくさんの人と、楽しい時間を共有したいです。 ──今後も音楽を続けていきますか? もちろんです。ヴァイオリンを始めてから35年、私にとっては歯磨きするのと同じくらい、生活の一部です。

PROFILE

Hoshiko Yamane(山根星子)

ヴァイオリニスト、作曲家。 2011年よりドイツのプログレッシブロック、シンセサイザー音楽グループTangerine Dreamでエレキバイオリンを担当し、創始者のエドガーフローゼ亡き後も、50年以上に及ぶバンドの歴史と音楽を引き継ぎ現在も精力的に活動を行っている。2020年6月にはバンド550周年特別企画として11年ぶりの来日公演を予定。Hoshiko Yamaneの本名名義でのソロ作品は主にアコースティックのサウンドで、アルバムをリリースする他舞台作品や映像作品の音楽などを手掛けている。また、Tukico名義のソロ作品はエレキヴァイオリンやエレクトリックなサウンドとの融合を試みる実験的なプロジェクトであり、2020年に始めてのEPをカセットリリースしている。
Official Website

あとがき

実は、この企画を実行しようと思い立った時、何日も何も手に付かなかった。何から始めて、何をどう伝えるべきか、一体自分に何が出来るのか分からなかったからだ。それどころか、突如ゴーストタウンと化した街の様子や外出に規制がかかるという前代未聞の状況を暫く受け入れることが出来なかった。ベルリンという自由と個性に満ち溢れた街で、民主主義国家にいながら自分の中での民主主義を築き、何不自由なく、誰にも指示されることなく生きてきたことこそが全てだったのだと思う。それが突如奪われ、コロナウイルスという目に見えない未知なるものの存在に脅かされる日々に納得がいかなかったのだ。 怒りにも悲しみにも近いやり場のない気持ちを抱えたまま精神面が徐々に荒んでいくのを感じる中で、救いの手を差し伸べてくれたのは身近な友人たちであり、大好きな音楽だった。そして、マイノリティーな私たち日本人にも分け隔てなく対応してくれたドイツ政府だったのだ。40年以上生きてきて、生まれて初めて政府というものを信頼できた瞬間でもあった。 人間は環境の変化に順応していける生き物だというが、自分自身もそれまでの身勝手な考えを改め、ライターとして、1人の人間として、制限された中で何が出来るのか?そう考えるようになり、こうやって重い腰を上げることができた。関わってくれている全ての人へ感謝と健康、一早い収束、そして、終息後の生き方として少しでも参考や希望になることを願って、このインタビューを送る。 第二弾は、ドラマーの青島主税、ライブアクトのSUDO(Isao)をゲストに男性アーティスト編をお届けします。お楽しみに!!

Interview & Text : Kana Miyazawa Video : Ari Matsuoka Kyoka Photo : Jordi Cervera

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原 摩利彦、桜の季節に森山未來と京・建仁寺で邂逅|ニューアルバム『PASSION』からの先行曲MV撮影を密着レポート

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原摩利彦

国内外問わず現代アートや舞台芸術、インスタレーションから映画音楽まで幅広く活躍する原 摩利彦が6月5日(金)に待望の最新作となる『PASSION』をついにリリースする。実に3年ぶりとなる本作は、かの著名映画音楽作家ヨハン・ヨハンソン(Jóhann Jóhannsson)が遺した名盤『オルフェ』を手がけたフランチェスコ・ドナデッロをマスタリングエンジニアとして迎えており、音源としての仕上がりにも期待が寄せられている。 原はそんな本作から表題曲となる“PASSION”を先行配信リリースし、そしてこの度本楽曲のMVが解禁となった。映画や舞台で活躍する傍ら、ダンサーとしても才気を奮う森山未來がこの撮影に参加。原が音で紡ぎ出す世界観を視覚でも体感できる素晴らしい作品となっている。 Qeticでは本MV撮影に密着し、レポートを実施。原 摩利彦という世界が認める音楽家の才能の一端をここで触れてみてほしい。

Text by Qetic編集部

原 摩利彦、桜の季節に森山未來と京・建仁寺で邂逅 ニューアルバム『PASSION』からの先行曲MV撮影を密着レポート Reported by 岡村詩野

原摩利彦

予期せぬコロナ禍で「Passion」が持つ意味

京都在住の音楽家、原 摩利彦が建仁寺で新しいMVを撮影する。そんな知らせを受けたのは、ようやく日差しの暖かさが肌で感じられる桜満開の4月上旬のことだった。 6月頭に原 摩利彦のニューアルバムがリリースされることは聞いていた。そして、そのタイトルが『PASSION』という一見すると誰でも耳にしたり言葉にしたことのある馴染みのあるタイトルであることも。だが、京都大学在学中から音楽活動を開始し、ダムタイプの高谷史郎との交流から多面的に創作の現場で活躍、その後、坂本龍一と共演によってお墨付きももらった、あの原 摩利彦が「情熱」という意味を持つ《Passion》という単語を自身の作品に与えることにはとても興味があった。確かに音楽への一途な情熱に貫かれた音楽家ではある。だが、そこにはある種のストイシズムを背負ったような側面も感じられていたからだ。 しかし、《Passion》には「キリストの受難」という解釈もある。イエス・キリストが磔にされた際の苦しみを語源とするところから、「受け入れること」とする意味に転じたのだという。パッション・フルーツの名前はここからとったとも言われている。そうして《Passion》という言葉の意味の裾野を改めて知った時、世の中をふと見渡すと、世界中の多くの人が「受難」と格闘していることに気づかされた。そう、この原稿を書いている4月下旬現在、日本は…いや世界中が思わぬ事態に陥ってしまっている。新型コロナウイルスの拡大で多くの国で感染者と死者が激増。世界の大都市の多くはロックダウンし、それぞれに自宅待機と行動制限が強いられている。原 摩利彦がこうした状況を察知してこのタイトルを用意したわけではないだろうが、誰もがこの苦難を静かに受け入れながら真摯に向き合っている今、「情熱」と「受難」という二つの意味を持つ『PASSION』と名づけられたニューアルバムが届けられることはあまりにも象徴的であり示唆的だ。

主演は原とは昵懇の森山未來

果たして向かったPV撮影の場所、京都市は東山区にある建仁寺。祇園は花見小路の南突き当たりにあるこの名刹は、由緒ある料理屋や茶屋が並ぶ普段なら観光客でごった返しているエリアにあるが、この日は人通りもほとんどなく閑静で、京都本来の落ち着きを取り戻しているかのよう。この時、まだ京都は非常事態宣言が出ておらずデパートや商店街の多くも開店していたが、既に観光客はもちろん、地元住民も外出を控えるようになりつつあったのだろう。本音を言うと、このくらいで町の雰囲気はちょうどいい。 建仁寺から自転車で5、6分ほどのところに住む筆者は、やはり自転車でやってきたという原 摩利彦と、撮影現場となる建仁寺内の両足院の前で待ち合わせた。同じ京都に暮らしながらも、直接会うのは初めて。一方的に…と思っていたが、聞けば、原は去年京都の町中で行われた〈WARP〉レーベルの記念イベントで筆者が拙いDJをしているのを見ていたのだという。もちろん共通の知人も多く、この日の撮影スタッフの中にも知り合いがいてホッとする。京都は本当に狭い。 だが、原は生まれ育った地元京都に片足を置きつつも、現在は世界規模で活躍している。そんな原のために、この日「主演」としてMV出演にかけつけたのは森山未來。今や原の音楽の理解者の一人としても知られている若手の名優だ。

原摩利彦

伊勢谷友介監督作品で、森山も出演していた映画『セイジ -陸の魚- 』(2012年)の劇中音楽に原が参加していたことを皮切りに、二人はこれまでに様々な作品で“共演”してきた。彫刻家・名和晃平と振付師でダンサーのダミアン・ジャレによる舞台『VESSEL』(2016年)の音楽を坂本龍一に代わって担当したのが原でそこに出演していたのが森山。また、ジュスティーヌ・エマールと森山未來によるヴィデオインスタレーション作品で<モスクワビエンナーレ>出品作『Co(AI)xistence』(2017年)の音楽も原が担当した。近いところでは、昨年秋、長崎県壱岐島で開催された<カミテン>に出店された映像監督の大場潤也による作品『神天』(2019年)でも両者は合流……と、1983年生まれの原と1984年生まれの森山は同世代として互いに刺激し合い切磋琢磨し合ってきた。今回、原本人のたっての希望に森山はMV出演を快諾。多忙なスケジュールの合間をぬって建仁寺におもむいたのだという。

鳥の鳴き声聞こえる祇園の名刹で

午後1時。筆者が到着すると、前日にも同じ場所でリハーサルに参加したという森山が、快晴の暖かな日差しに溢れた両足院の廊下で既に体を緩やかに動かしていた。柔らかくしなやかな体の動きに思わず見惚れる。まだ衣装は着ていない。なのに、木の床の衣擦れの音、微かに聞こえてくる呼吸、そして庭の鳥たちの鳴き声や木々のさざめきがシンクロし、もうこれだけでこの両足院と原の音楽の世界にフィットしているようにさえ思えてしまう。機材の準備をするスタッフが静かにその様子を見守っている。前日にリハをしているからか、みな落ち着いて撮影開始を待っているようだった。

原摩利彦
原摩利彦

今作の監督を務めるのは髙橋弘康。原の前作『Landscape in Portrait』(2017年)収録曲「Circle of Life」のMVに引き続いて手がけることとなった髙橋は、京都で毎年開催されている<KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭>(2020年度は9月~10月に延期)の共同代表を務める仲西祐介ともに、原にとっては時間をかけて信頼関係を築いてきた心強い同志だ。今回もロケーションやスタッフ・キャスティングなどを相談し合いながらこの日を迎えたのだという。 両足院は、丁寧に整備された部分と、木々がそのまま生い茂る部分とが調和された広い庭園に囲まれている。建仁寺自体そもそも敷地が広いが、両足院からは周囲の住宅や建物もほとんど見えない。祇園のど真ん中にある名刹であることを忘れさせる静寂さだ。そんな両足院の庭に、撮影前、原は録音機材を手にしてフラリと出ていた。「フィールドで採取した音を、後から映像に重ねるかもしれないから…...」と原。この日撮影するMVはアルバム1曲目に収められる“Passion”だが、音楽を作ることができる「歓び」もそこに立ちはだかる「苦難」も全て受け入れる覚悟が、こんな些細な行動にも現れている。

原摩利彦

翁面の男が舞う“背中”の演技

さて、いよいよ森山はえんじ色の装束にストールを頭から巻き、頭の後ろに「翁」の小さな面をつけた衣装に身を包む。この面は、父尉(黒い尉面)と言われるもので、現在の能楽ではあまり使用されていない翁面の類で、村の長、またはその土地の地主神などを表しているという説もある希少なもの。この面を制作したヌマバラ山ポール氏が言うには「通常白色だが、能楽大成以前は黒色のものも多くそこからインスパイアされて黒の彩色にした」とのこと。この日の撮影にも遅れて見学に参加した石原三静も京都在住の面創作の作家だ。

原摩利彦

「総監督!」と冗談めかして森山が原を呼ぶ。カメリハのスタートだ。今回、振り付けを担当する山本晃が丁寧に動きをチェックする。なめらかで寡黙な動きはまるでスローモーションをいくつも重ねたヴェールを纏っているかのよう。だが、その中から熱い息遣いと大胆な切り返しが外に向かって突き破ってくる。それはまるで土方巽や大野一雄の往年の作品を思い出すような、前衛的かつフィジカルな舞踏。小さな面の表情が動きのたびに変化するさまを、監督の髙橋が丹念に確認していく。基本は建物の廊下と庭など屋外での撮影のため、自然光が少しでも変わると森山の動きや面に与えられる光と影の表情が変わる。その僅かな変化も髙橋は見逃さない。この日は好天に恵まれたが、原も森山も監督の髙橋以下スタッフも、日光のある時間との戦いであることはわかっている。それだけに集中力が途切れないようみな黙々と作業に向き合う。ストイックだが熱い時間が続く。

原摩利彦
原摩利彦

15時半、ついに本番開始。音楽は後から重ねるため、森山が廊下を歩く音、だけが聞こえてくる。だが、そこにいる全員の頭の中で“Passion”が鳴っていたのだろう。一分の乱れもなく、そこにいる全員が楽曲の流れに沿ったように森山の動き追いかけていく。最初の登場場面と、ラスト、後ずさりしていく場面を除くと、森山の顔は画面に映らない。厳しい動きを纏ったまま階段から転がり落ちたり、立ち上がったり、壁伝いに門へと向かったりするのは、あくまで背後の面の「翁」。泣きそうになったり、優しく微笑んだり、睨みつけたり…...といった表情を森山は、肩を震わせたりよろめいたり凛々しく立ち上がったりしながら演じていく。それが森山であることは全く感じさせない、見事な「背中」の演技であり舞踏からは、不思議な色気や艶かしささえ感じられた。固唾を飲んで見守る原もこれ以上ないほどの充足感に満ちた表情を見せていた。

原摩利彦

MVでは翁が庭で坐禅を組んでいるようなシーンも最後に控えている。鮮やかな苔の緑色が映える画面の中で、翁には演じる主=森山がいたことを改めて明かされるような最終の場面。翁に森山が憑依したような約6分半のMVはこの美しい鎮座のシーンで幕を閉じていく。これらの動きはすべて時系列通りに撮影されたため、15時半から18時くらいまでの午後の日差しが映像が進行するにつれて陰りを帯び、それが翁の表情を大きく左右していることに気づくはずだ。

原摩利彦
原摩利彦
原摩利彦
原摩利彦
原摩利彦

撮了後、森山は原やスタッフと軽く談笑するも東京に向かってすみやかに建仁寺をあとにした。両足院は翁の舞踏などなかったかのように変わらぬ静寂さの中で夜を迎えようとしていた。1202年に建立された京都の建仁寺で、名もなき翁と森山未來の肉体が一体化したような情感溢れる演技と、原 摩利彦の点と点とが連なって凛とした流線型を描くような音楽が一つに重なった奇跡。それはまさしくこの曲“Passion”の持つテーゼであり、コロナウイルス感染症に揺れる今の世界が携えるべき主題になりうるに違いない。

原摩利彦
原摩利彦
原摩利彦
原摩利彦

原 摩利彦|Marihiko Hara - Passion

Text by 岡村詩野

INFORMATION

原摩利彦

PASSION

2020年6月5日(金) ¥2,400(+tax) 原 摩利彦 Beat Records BRC-619 1. Passion 2. Fontana 3. Midi 4. Desierto 5. Nocturne 6. After Rain 7. Inscape 8. Desire 9. 65290 10. Vibe 11. Landkarte 12. Stella 13. Meridian 14. Confession 15. Via Muzio Clementi 購入特典:「Scott Walker - Farmer In The City (Covered by Marihiko Hara)」CDR Tower Records Amazon HMV Disk Union 詳細はこちら

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待望のフジロックヘッドライナー!世界中が酔いしれる、テーム・インパラの軌跡

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Tame Impala

2020年3月、イヤなニュースばかり続く中、清涼剤のようにドロップされたのが<FUJI ROCK FESTIVAL’20>の第一弾ラインナップ発表。 中でもヘッドライナーのテーム・インパラ(Tame Impara)は、世界のメジャー・フェスの大歓迎ぶりを思えばある程度想定内であったこととはいえやっぱり決まれば嬉しく、一気に気分は盛り上がる。

Tame Impala
FUJI ROCK FESTIVAL’20 LINEUP(第2弾発表時点)

最新作『The Slow Rush』が早くも出た年間ベスト1・クラスの大傑作アルバムで、アーティストとして大きな前進を強烈に印象づけ、聴くたびに今も興奮に拍車をかけてくれる。カラフルでサイケデリック感たっぷりなサウンド・ディコレーションの奥から立ち上ってくるソフト・ロック、AOR、ディスコといった音が溶け合う感覚は最高だし、そんな音と身体にフジロック以上のシチュエーションはないだろう。 オーストラリア、バース出身のテーム・インパラは、現在34歳となるケヴィン・パーカー(Kevin Parker)ソロ・プロジェクトで、バンドはライブの必要に応じて招集されるが(現在は5人組編成)録音物は、基本的にケヴィン一人が創り上げていく。ネオ・サイケ・グループとして登場し、もう5年も前となる前作の『カレンツ』では洗練されたダンサブルなサウンドへと変貌を遂げて全米4位、全英3位の大ヒット(日本との人気&評価の落差巨大!)。 どこか懐かしいエレクトロ・サウンドに、オーガニックでフレンドリーなメロディは広く愛され、<コーチェラ・フェスティバル (Coachella Valley Music and Arts Festival)>を始め世界各地のフェスのトリを飾る人気者となった。

Tame Impala - Patience(Live At Coachella 2019)

また人気のラッパー、トラヴィス・スコット(Travis Scott)の『アストロワールド』では一緒に曲を書いたり、『ダム』リリース前のケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)とセッションしたりカニエ・ウェスト(Kanye West)といった人たちと密接にコラボも重ねれば、リアーナ(Rihanna)は『アンチ』のなかで『カレンツ』のナンバーをカバーしたりと、とにかくジャンルを超えた人々がケヴィンの才能を認め、ハイブリッドな交流を重ねてきた。

SKELETONS/トラヴィス・スコット

テーム・インパラと共にファレル・ウィリアムズ(Pharrell Williams)、ザ・ウィーケンド(The Weeknd)も参加している

Same Ol' Mistakes/リアーナ

『カレンツ』収録の“New Person, Same Old Mistake”をリアーナがカバー

そんなすべてが盛り込まれてもいるのが『The Slow Rush』だ。今作もケヴィン一人で曲を書き、サウンドも構築されていっている。70年代前半のテイストがこぼれ出るようなダンサブルなチューンや人工的なファンク・ベース、ソフト・ロックなニュアンスを振りまくギター、そこにかぶさるセンシティブなボーカルなどに浸っていると、これはいったいいつの音なんだろうとも思い出す。 ケヴィンは、本作のテーマは「時の流れ」だと言う。実際、《Time》、《Yesterday》、《Tomorrow》、《Year》といった言葉が曲タイトルに散見するし、収められたインナースリーブの歌詞は1992年のカレンダーに書かれている(2020年と同曜日なのだ)など、自在に「時」を行き来することで新しいパワーを得ていこうとする姿勢が強烈に印象づけられるし、ダリやマルグリッドの絵画を連想させるジャケットにもそれが鮮明に表れている。

The Slow Lush/テーム・インパラ

残念ながら彼らがトリを務める予定であった6月の<ボナルー・フェスティバル(Bonnaroo Music and Arts Festival)>は延期になってしまったが、新しいツアーは非営利環境保護団体「REVERB」に協力して環境廃棄物の減少や募金活動を積極的に働きかけていくという。 また密かに進んでいるコラボは順次、明らかになってくるだろうが、いま噂されているのはゴリラズ(Gorillaz)の新プロジェクト「Song Machine」で、いつ突然出てきても不思議じゃない。 アクティヴに多彩な活動を続け、多様な人たちと交流する姿こそ、いまの時代ならではだし、カラフルで多数のレーザーが飛び交う中で浮かび上がるポップでサイケなサウンドの魔力は、こんな時期だからこそとてつもない力を与えるはずだ。

Text by 大鷹俊一 Live Photo from Coachella by Pooneh Ghana

Tame Impala

Tame Impala
Tame Impala Tame ImpalaはKevin Parker(ケヴィン・パーカー)である。2008年、EP『Tame Impala』をリリース後、MGMT等とのツアーを経て、2009年にはアルバム・リリース前ながらもサマーソニックに出演。2010年には待望のデビュー・アルバム『Innerspeaker』をリリースし、世界中のメディアから高評価を得ては、2012年リリースの2nd アルバム『Lonerism』ではNME年間ベスト・アルバム・ランキング1位を飾り、2015年リリースの『Currents』はBRIT AWARDのBest International Groupを受賞し、2作続けてグラミー賞にもノミネートされている。作詞作曲家/プロデューサーとして、Kevin Parkerは過去にTravis Scott, SZA, レディー・ガガ、マーク・ロンソン、カニエ・ウェスト、Kali Uchis, ミゲル、A$AP Rockyなどともコラボしている。 2019年3月に配信されたシングル「Patience」に続いて、ニュー・シングル「Borderline」配信後、コーチェラ、ロラパルーザ、ACL等数々の音楽フェスのヘッドライナーを務める他、全米人気TV番組Saturday Night Liveに出演し、勢力的にワールドツアーで世界中を駆け巡って来た中、遂に2020年待望の4thアルバムをリリースする。

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INFORMATION

Tame Impala

The Slow Lush

2020.02.14(金) on sale

track list 01. One More Year 02. Instant Destiny 03. Borderline 04. Posthumous Forgiveness 05. Breathe Deeper 06. Tomorrow's Dust 07. On Track 08. Lost In Yesterday 09. Is It True 10. It Might Be Time 11. Glimmer 12. One More Hour

ストリーミング/ダウンロードはこちら

INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL

FUJI ROCK FESTIVAL ’20

2020.08.21(金)22(土)23(日) OPEN 9:00/START 11:00(23:00 終演予定) 新潟県 湯沢町 苗場スキー場 2020.08.21(金) TAME IMPALA DISCLOSURE/MURA MASA CLAIRO/CORY WONG/JACKSON BROWNE/TOM MISCH BLACK PUMAS/DERRICK MAY/DONAVON FRANKENREITER/ELEPHANT GYM FUTURE ISLANDS/GEORGIA/HINDS/LINDSTRØM(LIVE)/MEN I TRUST METRONOMY/milet/NEAL FRANCIS/ROMY/TENDOUJI/手嶌葵 YOGEE NEW WAVES 2020.08.22(土) THE STROKES MAJOR LAZER FOUR TET/KING GNU/NUMBER GIRL/ROVO THE BAWDIES/CELESTE/DENIMS/FANTASTIC NEGRITO/FONTAINES D.C. FRENTE CUMBIERO/GRYFFIN/KEMURI/光風&Green Massive/MONOEYES/ReN THE SKA FLAMES/YUMI ZOUMA 2020.08.23(日) 忌野清志郎 Rock’n’Roll FOREVER/電気グルーヴ FKA twigs FLOATING POINTS(LIVE)/RUFUS WAINWRIGHT/VOODOO DEAD ALTIN GUN/BLACKBEAR/THA BLUE HERB/BRUNO MAJOR/カルメン・マキ&OZ COLIN BENDERS/EMOTIONAL ORANGES/GOGO PENGUIN/羊文学 MONO NO AWARE MUSCLE SHOALS SOUL REVUE featuring Willie Hightower, Charles Hodges & Scott Sharrard 折坂悠太 SUMMIT(PUNPEE、GAPPER、OMSB、MARIA、SIMI LAB、DyyPRIDE、BIM、VaVa、in-d、C.O.S.A. × KID FRESINO、BLYY、TWINKLE+) サニーデイ・サービス and more artists to be announced

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KATOMAN50 vol.1

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カトマン プレイリスト
日本の音楽シーンにおいて知る人ぞ知る男、カトマン氏のコラム連載がスタート。コラムタイトルは『KATOMAN50』。90年代に音楽関係の仕事をはじめ、海外アーティストとのつながりを深めるなか、日本でのライブ誘致や自主インディ音楽レーベル〈Dotlinecircle〉を立ち上げリリースをサポートするなど、様々なアーティストの日本進出に貢献してきた。現在は、海外のアーティストが来日時に立ち寄る秘密基地として知られるBar「Beat Cafe」を運営している。 カトマン氏は90年代からその目利きの速さで一目おかれてきた。今回、この「KATOMAN50」のコラム連載では、テーマごとにカトマン視点に落としたプレイリストを提供してもらう。自宅で過ごす時間が増えた今、ぜひカトマン氏の選曲で楽しんでみて欲しい。 今回、プレイリストを紹介する前に、カトマンを知らぬ人に向けて彼にメールインタビューをしてみた。イントロダクション的な要素になっているので是非チェックを!
━━KATOMANさんについて、まずは自己紹介をお願いします。音楽シーンで今までどのような活動をされてきたのでしょうか? 90年代初頭からラジオ番組制作、音楽ライター、ディストリビューター、レコード屋などなど音楽を伝える仕事をしてきた中で、元々、自分が手書きでつくってたジンやニュースペーパーでつかってた名前だった“Dotlinecircle”として音楽レーベル、海外アーチスト招聘、イベント制作を90年代後半から始めたり、さらに日本のバンドのマネージメントを手掛けたりしながら渋谷にあるビートカフェで働き始めたりして今に至る感じですね。 ━━KATOMANさんは海外のさまざまなアーティストと交流がありますが、その始まりはなんだったのでしょうか? 大学在学中はパンク、ハードコア、オルタナティブに分類されるようなバンドのライブに通いまくっでたんですけど、FM東京のカレッジチャート番組の制作に関わるようになってから海外のアーチスト、招聘プロモーターやレーベルの人達とさらに直接接することが増えてきましたね。 ━━常にどのようなアーティストに注目していて、現在、とくに親交のあるアーティストは? 昔から聴かず嫌いとかほとんどなくてどんなジャンルでも、うわーヤバいって自分の直感に訴えかける新しいアーティストに惹かれます。 親交があるアーチストはホントたくさんいるのでなんともいえないですけど、Helmet時代から親交があるJohn StanierがいるBattlesに関しては彼らがきちんとバンドじゃない頃、2003年から関わってるし彼らにとって初めてのツアーを自分が手掛けたのでかなり特別ですね。 ━━来日アーティストが集うBarとして知る人ぞ知る名店「Beat Cafe」ですが、お店はいつ頃、立上げたのでしょうか?またBarをはじめるキッカケは? Beatcafeは、Blue Tonic、The Thrill、ホフディラン、今はTh eRockersのドラムやってるゲンショウさんが2006年に始めたんですけど自分は最初から関わって今のような店のテイストになってきた感じですね。 ━━Barという「場」をやり続ける、その想いは? 14年もの間、関わってきたお店だし、最初から創り上げてきたお店なのでBeatcafeって「場」には特別な思い入れやこだわりがあります。 世界中からこの店を探したりしてくれたり、自分を訪ねて店に来てくれるとか本当に嬉しい事です。これがBar以外の違う「場」だったら今まで店で起こった様々な出来事は体験できてないと思ってます。だからこそ今後も続けていきたいですね。 ━━今年50歳になったKATOMANさん。これからどのような活動をしていきたい? 今までと同様、“今”の楽しさや喜びを積み上げながら歳を重ねていきたいです。 あとこのタイミングで、コラボビールを作ったんです。『katoman beer』は長野のクラフトビール・ブリュワリーのAJBがブリュワーで、渋谷のビアバー「ミッケラー東京(Mikkeller Tokyo)」が間に入ってくれて作った“Katoman x MIKKELLER x AJB”のコラボレーションで梅を使ったサワービール(alc 3.5%)です。Parquet CourtsのギターAndrew Savageがラベルのアートワークやってくれました。 カトマン プレイリスト ━━Qeticにてコラム連載。KATOMANさんセレクトのプレイリスト企画としてまずはスタート致します。こういったプレイリストからどのようなメッセージを発信したいと考えていますか? 昔から音楽って基本、聴く人が誰の干渉もなく自由に楽しめるものでこうしなくてはいけないっていうようなルールがあるものではないと思ってます。 こういった企画を“いま”やりたいなとか、いままで自分のためにつくっていたプレイリストを“いま”パブリックに公開にしたいって今強烈に思ってるんですよね。 世界中の人達が今まで普通にできたことが普通にできなくなってる今現在の状況下でささやかな楽しみ、喜びを提供できればとは思ってます。 カトマン プレイリスト

記念すべき初回のプレイリストテーマは、海外の友達が喜ぶ日本の音楽

Japanese Music Only Playlist “Stay Safe,Miss You All”

 
今回のプレイリストについて 海外の人達が日本の音楽を知りたい事はずっと知ってるし日本の人達より詳しい人も多いので世界中コロナショックで家から出られない今、普通に出来た事が普通じゃなくなった今、あらためて自分の確認作業も含めて日本の曲のプレイリストをシェアしたいなと思いました。 今まで様々なプレイリストをほぼ毎日のように作るのが自分の生活の日課になってて、ただそれらを大事な友達にシェアしたりはしてたけどパブリックで公開したいってあまり思った事なかったんですね。 今回は最初なので日本の音楽で特に海外の友達の喜ぶ顔が目に浮かぶ曲をセレクトしました。山下達郎関連はSpotifyにないのでそこが少し残念だったけど、わかる人がバックグラウンドがわかるとニヤニヤできる曲満載です。
カトマン プレイリスト
@fourminitestomidnight

SHOP INFORMATION

Beat Cafe

東京都渋谷区道玄坂2-13-5ハーベストビル地下1階 20:00〜26:00 不定休
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