

『Summer 08/サマー・オー・エイト』
果たして、愛すべきひねくれものたちはこの作品にどんな真意を込めたのだろう? 中心人物のジョセフ・マウントがメール・インタビューで応えてくれたところによると、どうやら今回の肝は「“メタ・ノスタルジー”の要素を加えた 08年の夏」。いやはや、メトロノミーらしいというか何というか。一筋縄ではいかない、彼ら流の夏の風景をお楽しみあれ!Interview:Joseph Mount(Metronomy)
――前作『ラヴ・レターズ』はサイケデリックでメランコリックな楽曲が多い作品でしたね。今振り返ると、あのアルバムはあなたたちにとってどんな作品だったと思っていますか? Metronomy - Love Letters*14年作『ラヴ・レターズ』に収録。
今でも素晴らしいと思っているよ。僕にはこれまでリリースした作品それぞれに対して細かい「繋がり」がある。それぞれ、僕の人生の中の明確なひとときを描いているものだからね。だから過去のアルバムを聴きはじめると、当時関わりのあった場所や時間へと連れ戻されるんだ。『ラヴ・レターズ』を聴くと、父親になり、初めて家族のために休日を取ったりしたことを思い出すよ。それぞれの曲から思い出す記憶は全て僕にとって特別なものだから、レコード自体も少し並外れて聴こえるんだよね。 ―― 一方、最新作『サマー・オー・エイト』はあなたたちにとってのサマー・アルバムになっています。この変化には何かきっかけがあったんですか? Metronomy - Old Skool Metronomy - Back Together 実はとても簡単なことなんだよ。僕はある種類のレコードを作成した瞬間に、次はまったく異なったジャンルのレコードを作りたいと思いはじめちゃうんだよね。前作『ラヴ・レターズ』は制作に苦戦したレコードだったからこそ、それぞれの音にその思いが表われていたと思う。でも今回は全く反対のものにしたいという思いを抱いていた。だからこそ、今回は作るのが簡単だったし、なごやかな音に仕上がったのかもしれないよ。 ――そもそもあなたたちの夏のイメージは? 地名でも食べ物でも、音楽で映画でも文学でも何でもいいので、あなたたちが夏を感じるものを教えてください。 僕にとっての夏は…… 1:木々に生い茂る緑の葉っぱ 2:海 3:暖かく、長く過ぎる夕方 4:ロゼ(ワイン) 5:スティーヴィー・ワンダー だね。 ――では、今回のアルバムの中で特に印象に残っている楽曲を3つ挙げるなら? まずは“Hang Me out to Dry(With Robyn)”。この曲は、11年のアルバム『イングリッシュ・リヴィエラ』の制作中に作業を開始した曲のひとつなんだ。当時の曲調は今とは全く違っていたよ。もっとテンポも早かったし、曲にまとまりがなくて、曲の中の感情的な面も全然違ってた。でもロビンの手助けによって、より良い曲に仕上がったんだ。次は“Summer Jam”。この曲ではオスカーがヴォーカルを担当しているんだ。ずっと前から、彼にメトロのミーの曲で歌ってほしいと思っていたんだよ。つまり、僕の夢がかなった1曲だね。最後の“Night Owl”は、『ナイツ・アウト』を制作する前から作りはじめていたんだけど、これも当時は全く違う姿だったんだ。長年の付き合いの中で、ようやくあるべき姿へと進化したと思っているよ。 Metronomy - Hang Me Out to Dry (With Robyn) Metronomy - Night Owl 次ページ:ジャスティン・ビーバーの“Sorry”は何ヵ月も頭の中から離れなかった