EVENT REPORT
2019.09.24(TUE)@新宿MARZ
look forward to science 1
ヒップホップの自由度を謳歌しながら自分の歩幅で新たな道を切り開く次世代アーティスト・Momが、自身が主催する企画シリーズ<look forward to science>を9月から12月にかけて開催。第1回目は9月24日(火)にbetcover!!とDENIMSをゲストに迎え、新宿MARZにて開催された。3連休明けの初日であるにもかかわらず、会場は開演前から多くの人で賑わっていた。
続いてはDENIMSの登場。SEは偶然にもbetcover!!の余韻を増幅さるかのようなスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン(Sly & The Family Stone)の“Sing A Simple Song”。そのサイケで濃厚なファンクからの流れを切らずに自らの演奏を繋ぎつつ、一気にDENIMSの開放的で明るい色を放出するスタートはお見事。
トラディショナルなファンクやロックンロール/R&Bを基調にした、“リズムマスター”とでも言いたくなるようなギターのコードカッティングと跳ねたベースとドラミングに、連休明けの重めのメンタルを、フワッと軽くしてくれるような歌。
この日が3日連続ライヴの締めだったというように、引く手あまたの鍛え抜かれたパフォーマンス力があるからこそのレイドバックした空気。どこをとっても唯一の輝きが、フロアのヴォルテージを高める。
2019.10.04(金)
大阪府 梅田 Shangri-La
LINEUP:
Gateballers
ベランダ
ARSKN
Newdums(Opening Act)
2019.10.11(金)
福岡県 Kieth Flack
LINE UP:
Gateballers
HAPPY
the perfect me
2019.10.13(日)
広島県 4.14
LINE UP:
Gateballers
愛はズボーン
ARSKN
2019.10.17(木)
宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
LINE UP:
Gateballers
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
2019.10.20(日)
愛知県 名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL
LINE UP:
Gateballers
HAPPY
2019.11.07(木)
東京都 代官山 UNIT
LINE UP:
Gateballers
髭
Helsinki Lambda Club
詳細はこちら
しばらくこのサウンドを楽しんだら、今度はパターンのステップ数を変化させます。左列の下から3段目の「PITCH MOD ソケット」と、中央列、下段にあります「BIT IN ソケット」の右側のパッチ・ポイントに接続します。白い線で描いた、四角い枠に接続してある赤のパッチ・ケーブルがそれです。こうすると今まで鳴っていたパターンのステップ数が半分の長さに変化します。この接続によってパターンを16ステップにするか、8ステップにするかを選択できるのです。
「BIT IN ソケット」の左側のパッチ・ポイントに差し替えた場合も半分のステップ数に変化しますが、右側に接続した時とフレーズが微妙に異なります。演奏中にこのパッチを抜き差しして、16ステップから8ステップに変化させたり、「BIT IN ソケット」の左、右を差し替えて、微妙にフレーズを変化させる使い方をすれば、パターンにバリエーションがついて面白いと思います。
この状態で「LFO RATE ノブ」を12時方向から10時位に回すと、リズムに対して「KASTLE」のパターンがゆっくりになり、これはこれで面白いです。同じパターンの繰り返しに飽きてきたら、時々このノブを動かしてスピードを切り替えると良いでしょう。しばらく遊んだら、まだパッチングしますので「LFO RATE ノブ」を12時方向に戻しておいてください。
ステップごとに細い音と、太い音が交互に鳴り、刺激的なサウンドに変化する
さあ、もう少しパッチングしてみましょう。お次は左列の上から3段目の「MODE ソケット」と、左列の下から2段目の「TIMBER MOD ソケット」をパッチングします。白い線で描いた、四角い枠に接続してある緑色のパッチ・ケーブルがそれです。このように接続すると再生されるパターンが、ステップごとに細い音と、太い音が交互に鳴り、中々刺激的なサウンドになります。時々「ゴツ」っとした太い音が鳴るパターンは、スリリングでカッコいいです。このパッチは演奏しながら抜き差しする事で、2つのサウンドを行き来できます。
余談になりますが、一度パッチングしたケーブルを片方抜いてみると、パッチする前の音色との対比が面白かったりする事があります。演奏中にパッチ・ケーブルを同じ所に抜き差しする事で、パッチする前と後の音を行き来して、サウンドを変化させる事が出来るので、こういった使い方を演奏しながら試してみて欲しいです。
スピード感のあるテクノなサウンドから、壊れかけた機械のようなベースラインまで、様々に音色変化する
最後のパッチングになります。パッチ・ケーブルがゴチャっとしてきましたが、指でよけながらうまい事パッチ・ポイントを探り当てるのがコツです。さて、右列下から3段目の「LFO PULSE ソケット」から、左列一番下の「RATE MOD ソケット」に接続します。白く描いた枠に接続してあるブルーのパッチ・ケーブルです。そして「RATE ノブ」を12時から3時方向に回します。すると「KASTLE」がドラムマシンとシンクしながらも、モジュレーションのスピードが変化し、パターンにスピード感が出ます。この音はテクノっぽくてカッコいいです。
この状態で「WAVESHAPE ノブ」をゆっくりと左右に一杯動かします。そうする事で、音が明るくなったり、暗くなったりサウンドが変化し、様々な表情を見せてくれます。さらに「TIMBER ノブ」を3時方向に動かせば、かなり主張の強いサウンドでパターンを繰り返し、10時方向にすると地味ではありますが、壊れかけた機械のような、ノイズ混じりのベースラインを繰り返し奏でてくれます。
本製品はノブを急激に動かすよりも、少しずつ、ゆっくり動かすことによって微妙に異なったサウンドが聴こえるのがとても面白いので、一瞬一瞬を味わうようにして音色を楽しんでみて欲しいです。
<BIG ROMANTIC JAZZ FESTIVAL 2020 PRE-EVENT
Charlie Lim Japan Tour「Charlie Lim x Tendre」
~ Big Romantic Jazz #2>
Charlie Lim SETLIST
Welcome Home
Zero-sum
What Can I Do
Choices
Blah Blah Blues
Human Nature(Michael Jackson cover)
Bitter
Pedestal
Light Breaks In
Photo by Kana tarumi
Text by 石角 友香
Photo by Kazuma Kobayashi、Kana Tarumi(Moon Romantic)
Charlie Lim
シンガポール出身のシンガー・ソングライター/プロデューサー。幼少期からピアノを始め、14歳の時にオーストラリアに渡り、メルボルンの大学でジャズ・パフォーマンスを専攻、現在はシンガポールを拠点に活動している。2011年にメジャー・デビューEP、2015年にリリースしたデビューAL『TIME/SPACE』は、シンガポール最大手メディア、ザ・ストレーツ・タイムズ紙から“ベスト・ポップ・アルバム”と称され、シンガポールのiTunesチャートで1位を獲得した。3年後の2018年には2nd AL『CHECK-HOOK』をリリースし、シンガポール建国記念パレードを含む海外の主要な音楽フェスティバルに出演、チャーリーの音楽はアジア全体に渡り、広まった。更に、今だにシンガポールのアーティストが成し得たことのないモザイク・ミュージック・フェスティバルでのショーを完売を達成し、エスプラネード・コンサート・ホールでヘッドライナーのショーを実現するという2つの大きな出来事を成し遂げた。
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WONK
東京を拠点に活動するエクスペリメンタル・ソウルバンド。2016年9月に全国リリースした自身初のフルアルバム『Sphere』は第9回 CDショップ大賞 ジャズ賞を受賞。ジャズやソウル、ヒップホップなど様々な音楽に影響を感じさせる彼らの幅広い音楽性は多方面から注目されておりデビューわずかながら、2017年夏には第16回 東京JAZZやBlue Note JAZZ FESTIVAL 2017、SUMMER SONIC 2017、FUJI ROCK FESTIVAL 2018等に出演。また米Blue Note Recordsを代表するシンガーJosé Jamesの最新アルバム『Love in a Time of Madness』のリードトラック 『Live Your Fantasy』のリミックスを担当、ヨーロッパ2大都市公演を成功させるなど、国内に留まらず海外からも多くの注目を集めている。
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WONK - Orange Mug(Official Audio)
WONK - Sweeter, More Bitter(Official Audio)WONK - Blue Moon(Official Audio)
RELEASE INFORATION
CHECK-HOOK
2018.10.12(金)発売
Charli Lim
TRACKLIST
1. Welcome Home
2. Circles
3. Zero-Sum
4. Better Dead Than A Damsel
5. Least Of You
6. Premonition
7. Unconditional
「もし君が、ロックンロールはもう死にかけで、本来の遊び心や原始的なエネルギーを失っていると思うのなら、それはまだスタークローラー(Starcrawler)に出会っていないということだ」──そう語っていた〈ラフ・トレード(Rough Trade)〉の創設者、ジェフ・トラヴィス(Geoff Travis)の目に狂いはなかった。この名門レーベルが送り出した4人組は、2018年のデビュー・アルバム『Starcrawler』を皮切りに、狂気の血まみれパフォーマンスと荒削りなロックンロールで世界中を震撼させる。ここ日本でも初のツアーは軒並み完売し、昨年の<FUJI ROCK FESTIVAL’18>でも度肝を抜くステージを披露。身長188センチのヴォーカリスト、アロウ・デ・ワイルド(Arrow de Wilde)がステージ上でかますブリッジも大いに評判となった。
あれからおよそ1年、スタークローラーが早くも2ndアルバム『Devour You』をリリースする。生々しさと疾走感はそのままに、音楽性はよりハードかつメロディアスなものに。歌・リフ・リズムと練り込まれた本作は、イロモノ的なイメージを裏切るように、ロック・アルバムとして王道感すら漂う一枚となった。ちなみに、本作のプロデューサーはニック・ローネイ。80年代のポスト・パンク期からパブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)やキリング・ジョーク(Killing Joke)などを手がけ、近年はニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズ(Nick Cave and the Bad Seeds)やヤー・ヤー・ヤーズ(Yeah Yeah Yeahs)に関与。獰猛かつ艶やかサウンドメイクで知られる人物である。
Starcrawler
RT0074CDJP
ROUGH TRADE/BEAT RECORDS
¥2,200(+tax)
国内盤特典: ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入
1. Lizzy
2. Bet My Brains
3. Home Alone
4. No More Pennies
5. You Dig Yours
6. Toy Teenager
7. Hollywood Ending
8. She Gets Around
9. I Don’t Need You
10. Rich Taste
11. Born Asleep
12. Tank Top
13. Call Me A Baby
14. Pet Sematary *Bonus Track for Japan
詳細はこちら
EVENT INFORMATION
STARCRAWLER JAPAN TOUR 2019
2019.12.04(水)
OPEN 18:00 / START 19:00
東京・恵比寿LIQUIDROOM
ADV ¥6,000(スタンディング・1ドリンク別)
Big Thief
2016年にデビューアルバム 『Masterpiece』をリリースし、瞬く間にインディーフォーク界で頭角を現したビッグ・シーフ。 各メディアから賞賛されたほか、同じくブルックリンを拠点に活動するシンガーソングライターのシャロ ン・ヴァン・エッテンは、彼らの音楽について「この長い間に聴いた音楽の中で最も感動的」と絶賛した。 翌年には2ndアルバム『Capacity』を発表。辛口評価で知られるPitchforkでは 8.3/10の高得点を獲得してBest New Musicに選出されたほか、音楽雑誌Rolling StoneやUNCUTなどからも高評価を得た。そして今年5月にリリースした3rdアルバム『U.F.O.F.』は、名門インディ・レーベル〈4AD〉 移籍第1弾にふさわしい、新境地を印象づける作品となった。「疑う余地のない最高傑作」と謳ったピッチ フォークをはじめ、多くのメディアが絶賛した。
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RELEASE INFORMATION
Photo Credit:Dustin Condren
Two Hands
2019.10.11(金)
4AD
¥ 2,200(+tax)
TRACKLISTING
01. Rock And Sing
02. Forgotten Eyes
03. The Toy
04. Two Hands
05. Those Girls
06. Shoulders
07. Not
08. Wolf
09. Replaced
10. Cut My Hair
11. Love In Mine *Bonus Track for Japan
For Tracy Hydeの通算3枚目となるアルバム『New Young City』が9月にリリースされた。前作『he(r)art』では、シティポップの意匠を借りつつ内側から「都市幻想」を崩壊させるというコンセプトを掲げていた彼らだが、本作ではあらゆる文脈や含意から切り離した全く新しい街「New Young City」を構築し、そこでの都市生活を描くことによりシティポップを相対化してみせるという、相変わらずパンクな姿勢を貫いている。
ソングライティングやサウンド・プロダクションの面では、紅一点ボーカリストのeurekaがギターを持ち、トリプル・ギター編成となったことでシンセサウンドは後退。音の隙間を生かしたアンサンブルが、リーダー・夏botの書くメロディの美しさをより際立たせることに成功している。
──では、夏botさんが思う「美しいメロディー」「ポップソング」の定義とはどのようなものでしょうか。
それを明確に定義できれば、美しいメロディを無限に作れてしまうと思いますが……(笑)。具体的にどうというのは難しいのですが、ひとつ自分が思っているのは、例えばライブを見ていて「このバンド、グッとこないなあ」と感じた時に、突き詰めるとコード進行をはっきり辿れないバンドが多いんですよね。もちろん、アレンジに問題がある場合もありますが、メロディを追っていてもコードが見えてこない場合が往往にしてある。
僕が好きな60年代の音楽は、コード進行に沿ったメロディがつけられていて、それこそビーチ・ボーイズは「このメロディだったら、このコード進行しかあり得ない」と思うくらい密接な関係になっているじゃないですか。それが美しいメロディの1つの条件なのかなと思います。
──なるほど。
でも、例えばART-SCHOOLのメロディとかは、メロディだけ聞いてもコード進行の予想がつかないし、いくらでもコード進行のパターンが思いつくけど、でもやっぱり美しいんですよね。だから、そこに対して自分なりにどう説明したらいいのかはちょっと分からないです……、なんなんだろう。
──それでいうと、例えばジョン・レノン(John Lennon)のメロディも、1音とか2音だけで構成されていて、コード進行の移り変わりによって様々な響きにしている曲もあるじゃないですか。“I Am The Walrus”や、“With A little help From My Friends”なんかはそうですよね。木下理樹さんのような例を挙げるとすれば、例えば中田ヤスタカさんの作る楽曲も、リフのようなメロディに様々なコードを当てて発展させるものが多い。
そうですね。それを考えるとコードの響きも含まれているし、メロディが奏でられている一瞬に鳴らされた楽器の音が、とても重要な場合もあります。突き詰めた時に、やっぱりメロディというのは純粋にメロディそのものだけじゃなくて、ある瞬間に含まれている要素をトータルで考えるものなのかもしれないですね。
それと、これは「美しいメロディ」という話から少しずれますけど、自分が惹かれる音楽に共通する点として、音以外の感覚を呼び覚ましてくれるものというのがあります。
──例えば?
例えばシューゲイザーだったら、ギターの音色1つとっても「色」や「温度」を感じるというか。すごく「共感覚」的な要素が強いジャンルだと思うんですよ。
僕自身はライド(Ride)やスーパーカーとの出会いがきっかけでギターを弾き始めたんですけど、彼らの何が魅力的だったかというと、決して複雑なことをやっているわけではなくて、簡単なコード進行と歪んだギターリフと、シンプルなアルペジオだけで疾走感のあるうるさくてカッコいいロックを演奏できる、というところが衝撃的だったんですよね。
──確かに、その音像からはバンドの姿が見えない、抽象的なところがシューゲイザーの魅力といえますよね。
そう思います。
──では、アルバムについてお聞きします。最新作『New York City』がリリースされてから1ヶ月が経ちましたが、改めて今回のアルバムについて気づいたことなどありましたか?
1つ印象的だったのは、このアルバムを聴いた友人からの「自分が“持ってはいけない”と思っていた感情を肯定されたような気がした」という感想でした。それがLINEで送られてきた時にハッとしたんです。自分自身もこのアルバムを作っていた時すごくモヤモヤしていたし、人に言うのもはばかれるような感情があることを改めて気づかされたんですよね。その上で、自分や自分と同じような気持ちを抱えている人たちのことを、肯定してあげられるようなアルバムを作りたいと思っていたんだなと。そこに気づけたのは自分の中でも大きかったです。
そうなんです。ライブが終わって、一緒に回っていたコズミック・チャイルド(Cosmic Child)やアワーセルブス・ジ・エルブズ(Ourselves the Elves)のメンバーたちと色々話をしていて、僕が「日本では、ライブを行うスペースは法的に公認されているから、いちいち行政は介入してこない」という話をしたら、みんな僕の方を羨ましそうな顔で見たのがすごく印象に残っています。それが2つ目です。改めて自分たちが、いかに恵まれているかを実感しましたね。有難さを感じると同時に、申し訳なさみたいな気持ちも湧いてきました。
だからこそ、自分たちがこの恵まれた、アジア随一である日本のライブ環境で、いかにしてアジアの音楽シーンに貢献できるか?ということを改めて考えさせられました。
Live Photo by Weekendcycler
Text by Takanori Kuroda
FOR TRACY HYDE
eureka(Vo)、夏bot(Gu)、U-1(Gu)、Mav(Ba)、草稿(Dr)
2012年秋、夏botの宅録プロジェクトとしてU-1と共に活動開始。2014年、ラブリーサマーちゃん(Vo)が加入し、女性ボーカルの5ピース・バンドとして原形が出来る。2015年5月、ラブリーサマーちゃん脱退に伴い、新ボーカリストにeurekaが加入。シューゲイザーや渋谷系、60年代から現在までの様々な音楽を自由な発想で取り込み、中高生から〈Creation Records〉にリアルタイムで触れた40~50代まで、幅広いリスナーの日常に彩りを添える「21世紀のTeenage Symphony for God」を作り出す。
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RELEASE INFORMATION
New Young City
2019.09.04(水)
FOR TRACY HYDE
PCD-83017
P-VINE RECORDS
¥2,300(+tax)
これが先入観になってしまったら申し訳ないのだが、このThe ManRay初のフルアルパム『Naked』を初聴した際、私の中には「モーテル」なるワードが浮かんだ。この場合のモーテルは、USの街道沿い等にある、ややうらぶれた感じのモーターホテルの類い。そこで見るアメリカの深夜TV映画的な安っぽいムードと、部屋の数だけある哀愁を帯びた幾つもの物語が、歌やサウンドに、まるでアメリカン・ロードムービーを見終えたような情感を私に抱かせた。
The ManRayはアサトタクロウ(Vo./Gt.)、コガコウ(Ba.)、オオキリョウスケ(Dr.)からなる3ピースのロックバンド。元々はUSゼロ世代のロックンロールリバイバルやアシッドロック、ブルースやストーナーロックを自己解釈し放ってきた。しかしこの1年、バンド形態やメンバーの脱退や交代を経て現在のラインナップへと至り、合わせて音楽性も著しい変化を伺わせている。
そんな彼らが今年3月より6ヵ月連続で配信シングルをリリース。この度それらを集約した現行の彼らを伝えるべく初のフルアルバム『Naked』をリリースした。
The ManRay 1st.Album『Naked』 -2019.9.11(wed)Release-
2014年、都内にて結成。
UKインディ/ガレージ/オルタナ/パンクをルーツに、ブルース/ソウル/ファンクなどのブラックエッセンスを混ぜ合わせた、独特で荒々しく土臭いサウンドに気怠いなかに苦みを効かせたヴォーカル、クールかつルードな佇まいで、時代に媚びないロック美学を熱く貫くネオ・ロッキン・ブルース・スリーピースバンド!!
2017年6月に1st.EP『You will be mine』をリリース。リードトラック“Brown sugar” がSpotify 国内バイラルチャートで2位まで駆け上がるなど、そのサウンドに注目が集まる。2018年4月に 2nd.EP『Fly To The Moon』をリリース。タイトルトラック“Fly To The Moon”が【FRED PERRY for JOURNAL STANDARD】 のコラボキャンペーンのタイアップソングに選ばれ、イメージモデルとして本人達もWEBムービーに出演。
2019年3月より配信限定にて6カ月連続で毎月1曲ずつリリースし、9月に初のフルアルバム『Naked』をリリース。
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RELEASE INFORMATION
Naked
2019.09.11(水)
The ManRay
CUCL-800
¥2,000(+tax)
詳細はこちら
ライブでは、自身のワークショップでも活用している“リズム・ウィズ・サインズ”と呼ばれるハンドサインを駆使し、リズム・アンサンブルの指揮者としての役割を果たしながら、ダイナミックさと緻密さが同居するパフォーマンスを繰り広げていく。各演奏者がバスケスの指揮に盛り立てられ、四方八方にインプロヴィゼーションを広げていく様相は、YAKUSHIMA TREASUREのライブ同様、圧巻の一言だ。
Santiago Vazquez
1972年生まれ、ブエノスアイレス出身。アルゼンチンを代表する打楽器ほか多様な楽器の演奏者、作曲家、指揮者、文化イベントの仕掛け人。ハンド・サインにより複数の演奏者による即興演奏を可能とする「Rhythm with Signs」のメソッドを開発。本年4月にブエノスアイレス市から文化功労者と認定された。
ミロ・モージャはサンティアゴ・バスケスのパーカッション・ユニットであるPANのメンバーとして活躍する一方で、若手のビートボクサーたちを育成するプロジェクトOrquesta de Beatboxのディレクターとしても活動しており、これからのアルゼンチンのストリートシーンにも寄与しているアルゼンチンを代表するヒューマン・ビートボックス・アーティストだ。
彼のビートボックスはアルゼンチンの風土をもとに構成されており、クンビアなどに見られるラテン・ミュージック特有の2拍子のリズムが盛り込まれているのが特徴的だ。聴いてみると、フラメンコギターの音がどこからか聴こえてきそうなほど、情熱的なラテン・ビートがうまく再現されている。実際、ライブでもアルゼンチン・タンゴをベースにした楽曲を制作しているシンガーソングライター、ダリオ・ハルフィン(Dario Jalfin)や地元のフラメンコ・シンガーなどと共演し、腰にくる2ビートを披露している。
<Beat Compañero/波動の交わり>においても、そんなラテン・ビートを堪能できるだろう。またOrquesta de Beatboxでは、日本語を取り入れた楽曲も。以前より来日することを熱望していた様子なので、この日は一層気迫あふれるパフォーマンスを期待できそうだ。
Miloo Moya
ヒューマン・ビートボックス・アーティスト。サンティアゴ・バスケスのパーカッション・ユニット「PAN」のメンバー。ヒップホップやエレクトロニック・ミュージックの限界を乗り越え、アルゼンチン民謡やクンビアなどの多様な影響から自身のスタイルを表現する。 Orquesta de Beatboxのディレクターとして、若いビートボクサーのためにワークショップを実施している。
2019年10月23日(水)
OPEN 18:30/START 19:30
ADV:立見¥5,000/指定席¥5,800(税込/ドリンク代別)
DOOR:立見¥6,000/指定席¥6,800(税込/ドリンク代別)
渋谷WWW X
TICKET:イープラス|チケットぴあ|ローソンチケット
主催:株式会社つばさプラス
制作:SALMONSKY
後援:TRUE COLORS FESTIVAL
協賛・協力:QETIC
お問い合わせ:WWW X 03-5458-7688
──とは言え、意表を突く色使いや組み合わせ、コラージュ等、「さすがMottyさん!」と思わずうなずくテイストはキチンと各所に散りばめられています。Motty おかげさまで結構、好きにやらせいただきました。それをReiちゃんがOKとしてくれて良かったです。相性がイイんだろうと勝手に思ってます。
Rei 相性はバッチリですよ。私もこのMVの完成以降、この曲が流れる度にあの色彩が頭に浮かんできますもん。それって視覚と聴覚という別の五感が結びついていくマジックでもあるわけで。
私も素人ですが、自分でデザインをやったりするので、その色合わせの妙は凄く勉強になりました。色合わせで凄く和風になったりルネサンス風になったり、時代背景や国柄を感じさせられることを知ったり。「Mottyカラースキーム10色」みたいに、それらの組み合わせでMottyさんならではの世界観に結びつけられるのはホントすごいです。
Photo by Masato Yokoyama
Motty 実は、自分の中で色使いのルールがあります。それはトーンを合わせることで。トーンさえ合っていれば、だいたい色が多少異なっても統一感は出させたりするんです。彩度を合わせるのとトーンを合わせる、そこは絶対に気をつけています。
今回に関しては、造形物はポストモダンっぽいもの。色味にしてもバッキバキの色ではなく多少気を遣った色合いを意識しました。もちろん原色も好きだし、よく使ってますけど、今回はもう少し微妙な色合い。そこが重要かなと思いますね。
あとはライティングにもかなり助けていたただきましたね。おかげさまで全体をまとめた際に、あまり子供っぽくなり過ぎずに仕上げることが出来ました。元々その辺りに落ち着かせたい意図もあったのでバッチリでした。
Rei そんなことがあの現場内でMottyさんの頭の中で駆け巡っていたとは……。改めて感心しました。
Photo by Madoka Shibazaki
“情熱的に作ったんで、
その結果、女性にも歓んでもらえたら嬉しい“
Motty
──でもこのMVを観たら女性でもハーレーに乗りたくなる方が多数現れると思いますよ。Rei だといいですね。
Motty そのようなリアクションが一番嬉しいです。MVが魅力的に仕上がったら、もしかしたらそんなことを想って下さる方も現れるかな……? なんてことは考えていました。
Rei 自分たちがカワイイ、カッコイイと自負できるものを情熱的に作ったので、その結果、女性にも歓んでもらえたら嬉しいですね。私たちが作っている時点で、自然と映像には女性ホルモンが注入されているでしょうから。……と今だったら言えますが、作っている最中は全くそんなことを考える余裕はなかったな……(笑)。
──実際にハーレーの実物を見て、欲しくなったりはしませんでしたか?Rei まずは免許取得が先かな。なので、まずはイイ感じのメンズにタンデムしてもらう、こちらの方が早くて現実的かも(笑)。
Motty 欲しいけど、きっと自分では倒しても起こせなさそう。原付レベルでもちょっと苦労したタイプだったので、私。
──最後にお互いに今後望むものを教えて下さい。まずはReiちゃんからMottyさんへ。Rei ミュージシャンや役者さんを始め、色々な方との新しいケミストリーに今後も期待しています。
Motty Reiちゃんの場合は、この若さで既にこれですから。現時点でこんなにも世間から認められているのに、今後成長し続けていったら終いにはどうなるんでしょうね? もう今のまま育ってくれたら必然とカッコいい存在になっていくでしょうから、そのまま大きくなっていって欲しい。
Rei ありがとうございます。目指します。Mottyさんとも、また機会があったら是非一緒に何かやりたいですね。
Photo by Madoka Shibazaki
Photo by Madoka Shibazaki
Masato Yokoyama
Text by 池田スカオ
Rei
卓越したギタープレイとボーカルをもつ、シンガー・ソングライター/ギタリスト。
兵庫県伊丹市生。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。
2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1st Mini Album『BLU』をリリース。
FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、ARABAKI ROCK Fest、SXSW Music Festival、JAVA JAZZ Festival、Les Eurockeennes、Heineken Jazzaldiaなどの国内外のフェスに多数出演。
2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる「TED NYC」でライヴパフォーマンスを行った。
2019年11月13日 通算7作品目となる 4th Mini Album『SEVEN』をリリース。
2019年12月からソロ弾き語りによる「Rei Acoustic Tour“Mahogany Girl”2019-2020」を全国10箇所開催、さらに2020年2月からはRei Release Tour 2020 “7th Note”を開催する。
2020年2月 Verve Recordsより1st Album「REI」の英語歌唱によるインターナショナル盤のリリースを発表。
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Survive Said The Prophet(以下、サバプロ)の今後へと、様々な面で夢を馳せさせる一夜であった。ライブ面では昨年の同時期に同会場で見た時よりも数段大きく逞しくスケール感も増し、更に雄々しく映った。また、感受する我々側も、それらを全身でしっかりとレシーブ。呼応し、シンガロング&アンセム化させていた各光景も印象深い。つい昨年までエネルギー発散装置的な印象があった彼らのライブに対し、着実に「歌」として、その各曲が集まった各人の中で育まれ歩み出しているのを改めて実感した一夜でもあった。
今秋より<Made In Asia Tour>と銘打ったアジアを中心にワールドワイドなツアーを敢行中のサバプロ。これは国内公演では各地で音楽性も多岐に渡るアーティストをゲストアクトとして迎えて行っているものだ。現在もアジアやヨーロッパをまたにかけて続いている。
この日も当初はゲストアクトが出演予定であった。A crowd of rebellionだ。ところがこの9月にa crowd of rebellionの両ボーカル、宮田大作と小林亮輔の声帯ポリープが悪化。その治療/療養のため活動休止となり、残念ながらこのツアーにも不参加となってしまった。結果、サバプロのワンマンという形にはなったが、逆に彼らの分までも意志や想いを各曲に込め放っていたように映り、それは結果、凝縮度と瞬発力、会場の起爆へと更に結びついていった。
LIVE REPORT
2019.10.15(TUE)@Zepp DiverCity(TOKYO)
<Made In Asia Tour>
Survive Said The Prophet
定刻を少し過ぎたあたりでSEが轟き始める。同時に青白い神秘的なライティングによりステージが浮かび上がる。それらがコーションランプを彷彿とさせる赤い色合いへとシフト。期待感が緊張感や緊迫感へと移り変る。ステージにTatsuya(Gt.)、Ivan(Gt.)、Yudai(Ba./Scream.)、Show(Dr.)の各メンバーが登場。緊迫感を煽るようにサイレン音も加わっていく中、間を置きボーカルのYoshも現れた。中央ステップにてマイクを持った左腕を高らかに気高く掲げ、次の瞬間、ライブの幕開けを告げるが如く「TOKYO~!!」とシャウトするYosh。
同時にバンドが一丸となり放つデモンストレーション音の中から、最新シングル“MUKANJYO”(TVアニメ『ヴィンランド・サガ』のOPテーマ)が現れる。Tatsuyaのライトハンドが楽曲に色どりを加え、Yoshも《誰か答えてみてくれ!!》と場内に懇願するようにシャウト。Yudaiもグロウルでアンガー、それでいて激情なシャウトを轟かせていく。「東京、無感情なのか? いや、感情溢れるお前らに感謝することはたくさんあるぜ」とYosh。
続く“Fool’s gold”に入ると、前曲での圧倒さから一転。会場を引き連れるような疾走感が場内を並走させていく。会場前方の密度もさらに凝縮。加えて、クラウドサーフの嵐が起こり始める。会場をバウンス&大合唱の渦に巻き込んだ“found & lost”を経て、ここからは彼らの特性の一つ、ダイナミズムと景色感のある音楽性が加味されていく。まずは“The Happy Song”が会場に幸せそうなワイパーを起こし景色感を共有させていく。同曲では「東京、思いっきり一緒に歌ってくれませんか」とのYoshによる扇動から会場がサビの大事なところを任され大合唱。この上ない光景へと誘われていく。
続いて、耳馴染みのあるマイナー調のアルペジオがIvanにより紡がれていく。TVCMとしても馴染み深い“Right and Left”だ。同曲では彼らがハネさせるファンキーな部分も光り出し、対してサビで現れる開放感が会場中をここではないどこかへと引き連れていく。重さと躍動感を居させた開放感溢れる曲が続く。“I don’t care”では会場をさらに眺めの良い高みへと引き上げていく。ここでYoshから来場への感謝が述べられ、「ベラベラ喋っているよりも曲に行った方が良いだろう?」とライブへと会場を引き戻す。
神秘性と幻想性を帯びたシンセによる同期も交えた“When I”ではYudaiもスラップを交え会場も雄々しく呼応。雄大な景色を見ることができた。また、“Conscious”ではフロントの4人が同じステップに座り弾く場面も。それ経たラスサビがさらなる開放感を引き出していく。リバース音の中、会場のクラップと共にインタールードとなるインスト曲 “[ ]”が贈られ、続くIvanによるアコギのクリスピーなストロークも印象的だった6/8拍子のロッカバラード“Listening”では、合わせて会場も大合唱。感動的な場面を共有させてくれた。
また、雰囲気をガラッと変えるように、「自分を超えていけ!!」と煽るかのように放たれた“NE:ONE”では、障壁を超えるが如くステージに向けクラウドサーフの嵐に美しさすら感じた。また、16ビートを交え、場内の呼応が楽曲を成立させていった“HI | LO”では、Yudaiの膝が作った椅子にTatsuyaが足を乗せギターソロをプレイ。豊かな景色感を楽しませてくれた。
後半に入る際、YoshのMCはあえてノンマイクで挑まれた。自分たちはみんなに活かしてもらっている旨を告げ、そのままノンマイクのYoshを旗手に“Spectrum”のキラーフレーズ、《We are the light We are the future》の大合唱が場内より起こる。また、川が大海へと至るような大河感を味あわせてくれた“MIRROR”ではライトの光量も上がり感動的な場面が作り出されていく。
「色々詰め込んだ10年間だった。でも忘れないで欲しい。俺たちはアンダーグラウンドから始まった。最後にお前たちとカオスを作りたい!」とYosh。ラストスパートへと走り出す。
ここからのラスト2曲は更に会場中の気概もしっかりと背負われ連射された。激しくも雄々しく会場中をしっかりと吸心し放たれた“T R A N S l a t e d”、また、一際激しく鳴らされた本編ラストの“Network System”では、誰も置いていかないからとばかりに誘う歌声に、しっかりと最後までオーディエンスの雄々しい歌声や呼応もついていく。
「最高な1日をありがとう。これからもここからまた続けていこうな!!」とYosh。最後に1人、センターのステップ上で、登場時同様、片手を天に掲げ、落ちる照明と共に彼も消えた。
アンコールは2曲。それぞれ会場も交えた大合唱が巻きおこる楽曲たちで締められた。と、その前に、ここでYoshから2020年1月15日(水)にニューアルバム『Inside Your Head』がリリースされる旨が伝えられる。「めちゃくちゃ楽しみ。石橋叩いてよかった。叩き続けて良かったな!」とシャウト。“Bridges”へとイントロデュースしていく。同曲では昨春の初披露以降、既にお約束ともなっている《石橋叩き続けてたんだ》の大合唱も印象的。この日の場内も彼らの未来の姿へと思いを馳せながら、会場中で一緒に歌った。ラストは感動的に“Follow”が、これまた会場中の大合唱と共に放たれた。
この後、彼らはアジア各国とUKでのツアーを経て、<Made In Asia Tour>のファイナルとしてワンマンにて再び日本に還ってくる。海外でのライブを経て、そこで観た景色や体感したものが彼らの音楽の糧となり、またより一層のスケールアップとダイナミズムの取得、更なる景色や光景感を帯びたサウンドや音楽性にも希望が膨らむ。そこではきっと彼らが描き出す楽曲毎に雄々しくシンガロングし、アンセムさせ、呼応したりワイパーをしたり、時に聴き浸ったりと楽曲毎に自身を佇ませている皆の姿が浮かぶ。すでに私は今からその日が来るのが待ち遠しくてならない。
Live Photo by toya
Text by 池田スカオ
SETLIST
Survive Said The Prophet
01.MUKANJYO
02.Fool's gold
03.found & lost
04.The Happy Song
05.Right and Left
06.I don't care
07.When I
08.Conscious
09. [ ]
10.Listening
11.NE:ONE
12.HI | LO
13.Spectrum
14.MIRROR
15.T R A N S l a t e d
16.Network System
Encore
En-1.Bridges
En-2.Follow
Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophet(通称「サバプロ」)は2011年、東京にて結成。
ネイティブな英語を操るバイリンガルのボーカリストYoshの圧倒的な歌唱力とカリスマ性を筆頭に、確かなスキル、ミュージシャンシップ、そして個性的なキャラクターを持った5人のメンバーからなる奇跡のインターナショナル・ロック・バンド。
その異彩を放つ音楽性はロックに限らず、ポップ、エレクトロ、ヒップホップ、R&Bまで幅広いバックグラウンドをベースに、既存のシーンの枠に収まらないダイバーシティを武器に様々なフィールドを活動の場とし、日々進化し続けている。
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拠点をロンドンに移し、現在は活動照準を海外に置いているDYGL。7月から全国24ヶ所にて行ってきた全国ツアー<DYGL JAPAN TOUR>が10月19日(土)の東京・EX THEATER ROPPONGIにて完遂。大盛況の中、幕を閉じた。
9月中に行われたヨーロッパツアーを間に挟み、彼ら史上最大規模の東名阪ファイナルシリーズの終着地点でもあった同東京公演は、彼ら最大規模の会場ながらチケットは早々に完売。しっかりと現行の世界照準の雄姿を確認させてくれるものがあり、加えて作品からは伝わり切れなかった、各楽曲に込めた気持ちや気概、温度感をも含め、作品とは違った側面も楽しませてくれた。
今夏に発売された2ndアルバム『Songs of Innocence & Experience』は、従来の彼らの音楽性とはまた違った側面を感じさせた作品であった。漂うまどろみのようなサイケデリック感とリバーブ感、60'sUKのR&Bバンドたちのビート全体で躍らせるあの感覚や、80'sミッドなUKインディーズ、例えばC86年的センスがそこかしこから伺えた。
そんな同作品収録の全曲のプレイも交え贈られたこの日は、これまでの彼らの音楽性と、これらの要素の邂逅も興味深いものがあった。以下はその日のドキュメントにあたる。
LIVE REPORT
2019.10.19(SAT)@東京・EX THEATER ROPPONGI
DYGL “JAPAN TOUR”
背後のニューアルバムのジャケットのバックドロップが見守る、まだ無人のステージ。開演定刻を10分ほど過ぎた辺りで、C86的なジャングリーギターの場内BGMがまだ流れている最中、会場の照明がスッと暗転を始める。特に登場SEの類いもなく真っ暗なステージにメンバーのNobuki Akiyama(Vo.&Gt. 以下、Akiyama)、Yosuke Shimonaka(Gt. 以下、Shimonaka)、Yotaro Kachi(Ba. 以下、Kachi)、Kohei Kamoto(Dr. 以下、Kamoto)のDYGLのメンバーに加え、サポートのHiroto Taniguchi (Gt,Key,Per 以下、Taniguchi)の姿が現れる。東京公演としては実に約1年ぶり、ジャパンツアーの実質のファイナルにして彼ら史上単独では最大規模の会場ながら、そこに特別感や待望感をあえて抱かせず、「ただいつも通り自分たちのライブを演るだけ」と言わんばかりのスタンスが、そこからは垣間見れた。
Akiyamaによる、くぐもったリバーブのかかったギターのイントロが場内に響き渡っていく。頭はニューアルバムの1曲目でもあった“Hard To Love”が飾った。最初期のジーザス&メリーチェイン(Jesus And Mary Chain)を彷彿とさせるあえて低めに歌うAkiyamaの歌声と新作独特のサイケデリック感に場内が早くもたゆたい始める。続く“Let It Sway”に入ると、そこにボーイズサマー感が加わる。フロントピックアップを利かしたウォームに歪んだネオアコ感でライブが走り出し熱を帯びていく。
「久しぶりに東京に戻ってきました。いつもの会場とはちょっと趣きも違いますが、自分たちも好き勝手に楽しくやるし、あまり縛られたくないので、皆さんもお酒でも飲みながら好きに楽しんで下さい」とAkiyama。
ライブはさらに楽しく転がっていく。“Let's Get Into Your Car”ではドライブ感が、続く“Spit It Out”では昨今の彼らから感じられた、KachiとKamotoが寄与するビート感とサイケ感も加味されていく。そして、ライブはガレージ方面へと矛先を転換。“Slizzard”ではShimonakaのロックンロールなギターソロが炸裂し、対して、これまで縦ノリだったフロアのリアクションから“Boys On TV”に移ると、その裏打ちのダウンビートとブリティッシュレゲエ的なケミカルなダブも織り交え場内に横揺れを育んでいった。
中盤にはニューアルバムの曲群が配されていた。「今の常識やルールが生きにくい環境に憤りを感じてる。だけど言いたくても言えない、声をあげたくてもあげられない人たちの代わりに演奏します! 消費税10%に憤りを持っている人に変わり演奏します!」(Akiyama)と熱いMCから入った、“Bad Kicks”では、場内もその激情に感化。演奏が醸し出す、あえて荒く激情も露わにした捨て鉢感が場内を帯電させていく。
そして、それを一度クールダウンさせるが如く次曲のメローな“Only You(An Empty Room)”では、元々同曲が擁していた沈殿感や深海感と共に場内を心地よくたゆたわせていった。ここではKachiもあえて休符を多く起用。独特の余白や隙間、行間がオーディエンスに更なる自由さを寄与していくのを見た。
ニューアルバム同様、彼らの骨太さが味わえたのは“An Ordinary Love”であった。Taniguchiもグロッケン的な幻想的な音色を加え、同曲が元々擁していた生命力を更に高めていく。同曲ではKachiとKamotoが生み出すファンキーさが場内に躍動感を与え、終曲時には完全に光に包まれ至福に浸っている自分と出会えた。続いては、Kamotoがスティックからマレットに持ち替え、“Behind the Sun”がゆったりと流れ出していった。合わせてShimonakaのリバーブの深くかかったまどろみ感のあるメローなトレモロギターが会場にドリーミーさを寄与していく。
「東京は昨年末以来。本当は1年前に今回のアルバムを出す予定だったんだけど、ちょっとこだわりすぎて思ったよりも時間がかかった。今回のアルバムは自分たちでも以前と違い、今の時代もあり自分たち以外の楽器もあえて取り入れた」とAkiyama。「進歩するが故に最初の足元を見失うこともある。どんな時でも自分の無垢な部分があるんじゃないか。自分のその無垢な感覚が自分を結果的には導いてくれるんじゃないかと信じている」と続け、そんな気持ちを込めて作ったとされる、こちらもニューアルバムからの曲“A Paper Dream”がジャングリーなギターに乗り現れる。
ポップで大合唱を起こさせる曲は続く。次曲“I've Got to Say It's True“でもサビの部分は会場の大合唱が成立させた。また、Akiyamaがアコギに持ち替え歌われた”As She Knows“では場内に牧歌的かつ弾んだ雰囲気を広げ、次曲の”Thousand Miles“ではゆったりとしたアーシーさも加わり彼らのダイナミズムな面がアピールされた。
“Waste of Time”を皮切りにラストスパートに入ると新旧織り交じり、各曲毎に違った生命力や活力を場内に与え始める。“Nashville”が、ゆったりジワジワながらもこの日最大のスケール感を寄与すれば、“Come Together”では、Shimonakaもマニュアルでエフェクターをいじるシーンも交え、まるで包まれていくかのように神々しい光が会場中をここではない何処かへと誘ってくれた。
本編最後に入る前のAkiyamaのMCは、これまでの想いが堰を切ったかのように、とてもエモーショナルであった。それらを私的に要約するとこうだ。「世の中、どんどん内側に向かっていき、分断が深まっている気がする。自分もそれを見て見ぬふりをすることがあるけど、社会的、政治的なものに限らず、世界中がおかしな方向へと向かおうとしている。自分はこの先も風通しの良い文化を目指していきたい。音楽は自分にとってセラピーでもある。自分は自分にとって歌いたいことを今後も歌っていく!」。そう熱く長く語り、本編ラストの“Don't You Wanna Dance In This Heaven?”へ。ループするシューゲイズ的なKachiのベースラインの上、音が感情となり熱を帯び、とてつもないエネルギーが放出されていく。場内もそれらに感化され起爆。まさに、シーンがエクスペリエンスからエモーションへと移りゆく様を見た。そんな中、プレイし終えた彼らはショートディレイによるフィードバック音を残し袖へと消えた。
アンコールは2曲。それぞれ彼らの出自的なものを感じた。上半身裸のShimonakaも突如MCをふられ、「感慨深いツアーだった」と、今回のジャパンツアーを振り返った。そんなShimonakaのギターも特徴的な力強く感情が込もりエモさのある“Don't Know Where It Is”では会場から無数のコブシが挙がり、それに感化されるようにShimonakaもKachiもステージ狭しと動き回りながらプレイ。最後はニューウェーブ的な歌い方に、前のめりでツッコミ気味のKamotoのドラミング、そしてロックンロールリバイバル的な“All I Want”が誇らしげに鳴らされ、とてつもない熱さを場内に生み出し、フィードバック音と、「凄かった……」の観後感を残し5人はステージを去った。
今後も彼らは22日(火)にはUSツアーを、11月5日(火)には今回のツアーのエクストラを渋谷CLUB QUATTROにて行い、その後、アジアツアーへと向かう。きっと今後も彼らは国内外を問わず、世界を照準にみた日本発のロックバンドの音楽を放ち、魅了していくことだろう。次にまたこの日本で逢うときは、もっともっと大きくスケール感豊かな彼らと出会えるに違いない。これからの彼らの飛躍がますます楽しみになった一夜であった。
Live Photo by Yukitaka Amemiya
Text by 池田スカオ
SETLIST
01. Hard To Love
02. Let It Sway
03. Let's Get Into Your Car
04. Spit It Out
05. Slizzard
06. Boys On TV
07. Bad Kicks
08. Only You(An Empty Room)
09. An Ordinary Love
10. Behind the Sun
11. A Paper Dream
12. I've Got to Say It's True
13. As She Knows
14. Thousand Miles
15. Waste of Time
16. Nashville
17. Come Together
18. Don't You Wanna Dance In This Heaven?
Encore
En-1. Don't Know Where It Is
En-2. All I Want
DYGL
DYGL(デイグロー)は2012年結成、Nobuki Akiyama(Vo,Gt.)、Yosuke Shimonaka(Gt.)、Yotaro Kachi(Ba.)、Kohei Kamoto(Dr.)の4人組バンド。2017年4月にThe StokesのギターのアルバートハモンドJrのプロデュースで1st Album『Say Goodbye to Memory Den』をリリースし、日本を皮切りに、台湾、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国とアジアツアーを敢行。その後、FUJIROCK FESTIVAL’17のREDMAQUEEのステージで5000人を集めてパフォーマンスを行うなど注目を集める。2018年に活動の拠点をイギリスに移し、精力的にヨーロッパツアーなどを行いながら、日本でも12月に行った東名阪札福ツアーはすべてソールドアウト。2019年1月にはアメリカのBAD SUNSとのヨーロッパツアーを成功させ、3月にはSXSW2019にて8公演を行う。今回約2年ぶりの2nd Full Album『Songs of Innocence & Experience』を7月にリリースし、FUJI ROCK FESTIVAL’19でのライブも国内外から高い評価を受ける。
現在アルバムツアー中。北米、EURO、アジア(日本を含む)で全52公演を敢行する。
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EVENT INFORMATION
DYGL “JAPAN TOUR EXTRA SHOW”
2019.11.05(火)
OPEN18:00/START 19:00
東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
TICKET:SOLD OUT
US TOUR
2019.10.24(木)
The Wayfater コスタメサ
2019.10.25(金)
UNCOOL FESTIVAL V @ The Hollywood Palladium ロサンゼルス
2019.10.26(土)
UNCOOL FESTIVAL V @ The UC Theatre バークリー
2019.10.28(月)
No Fun ポートランド
2019.10.29(火)
The Sunset シアトル
2019.10.30(水)
Biltmore Cabaret バンクーバー
ASIA TOUR
2019.11.2(土)
Dudesweet バンコク
2019.12.04(水)
Clapper Studios 台北
2019.12.05(木)
This Town Needs 香港
2019.12.07(土)
Hou Live 深圳市
2019.12.08(日)
Mao Livehouse 広州市
2019.12.10(火)
Nu Space 成都市
2019.12.11(水)
Vox 武漢市
2019.12.13(金)
Vas Live 上海
2019.12.14(土)
Mao Livehouse 杭州市
2019.12.15(日)
Omni Space 北京
詳細はこちら
1963年12月27日、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。父は画家のルイス・フェリペ・ノエ。子供時代の数年間をニューヨークで過ごし、1976年フランスに移住。パリのエコール・ルイ・リュミエールで映画を学んだ後、スイスのサースフェーにあるヨーロッパ大学の映画科の客員教授となる。短編映画『Tintarella di luna』(85/未)、『Pulpe amère』(87/未)を経て、94年に中編映画『カルネ』で、カンヌ国際映画祭の批評家週間賞を受賞。続編で初の長編映画となる『カノン』(98)はアイエス.bの資金援助を得て完成、カンヌ映画祭でセンセーションを巻き起こす。その後、『アレックス』(02)もカンヌで正式上映され、更なる衝撃をもたらす。その後も、『エンター・ザ・ボイド』(10)、『LOVE 3D』(15)など世界の映画ファンを驚愕させ続けている。
視覚と聴覚をこれでもかと刺激しエクスタシーへと導くパフォーマンスで、都内のライブハウスやクラブを湧かせる5人組・gatoが新作EP『miss u / C U L8er』で大きな変化を遂げた。
前作『luvsick』のクールな中に情熱が燃えるサウンドスケープやソウルフルな歌声、ダンス・ミュージックの先端をとらえるビートといった持ち前の魅力は健在。そこに、これまで以上に即効性の強いポップセンスが加わった、ネクスト・ウェーヴの決定打とまで言いたくなるほどの5曲を収録した1枚になっている。
今回はプロデューサーであるpavilion xoolにも入ってもらい、作品の魅力に迫るとともに、自らが“音楽シーンのアイコンになりたい”と語る5人の今とこれからについて、話してもらった。
──具体的にはどのような変化があったのでしょう。hiroki そういう手先の技能よりも、生のドラムが入ることで曲に高揚感が出るように、打ち込みとの関係性を繊細に考えるスタイルになっていきました。自分がフィジカルで叩くことより、トラックをどれだけ響かせられるかが第一ですね。
──そこに作詞作曲を手掛け、ライブではフロントマンとしてそびえ立つageさんがいる。そのオーラが凄まじくて、いつも驚くばかりです。age ライブでの軸は自分のナチュラル・ボーン系のダンスとそれに合わせた5人の動き、VJの映像、箱と僕たちで押し出すサウンドの3つです。ドラムやギターやヴォーカル、フィジカルで出せる音や動きにはもともと自信があったし、そこにsadakataの映像が固まってきたことで、いいパフォーマンスを観たときの多幸感やエンタテインメント性は、よりオリジナルなものとして確立できている感触はあります。
──“gatoが出るイベント/パーティだから行く”というお客さんも多いですよね。そこがすごく興味深いです。age 音楽シーンのアイコンとして存在したいという想いは強いです。
kai ”アイコンになるべく”っていう軸があるので、そこに向かってみんなで話し合って、どんな曲や音やビジュアルが、どの位置にあったらいいのかや、オーディエンスからの見え方も意識しながら音を構築しています。そこには、5人それぞれの意見があるんですけど、リーダーのageを中心にみんなが呼応する感じで、いい足し算ができるようになってきたと思います。
──生音からエレクトロニックまで幅広くプレイし、早い段階からgatoの音楽性と共鳴してきたDJ JUDGEMANとのパーティ<KØĀ>、ravenkneeやphaiとの繋がりなどは、これから大きなムーヴメントが起こりそうな”何か”がうごめいているような印象があります。gatoにとって”シーン”とは?age 僕らにとっての“シーン”って、ジャンルや演奏スタイルではなく、何か新しいものを生み出したいという姿勢で繋がっているもの。僕らはいろんなジャンルが混ざっているし、バンドだからライブハウスとか、エレクトロだからクラブとか、そういう限定的な感じではなく、どこにも依存しない形態は強みだと思っています。
──まさにそうだと思います。age JUDGEMANはDJだし、phaiは2人のトラックメイカーが組んだユニットだし、ravenkneeはバンドだし、でも”同じ界隈”みたいなイメージがある。それは僕らに共通認識のようなものがあって、アウトプットの色味や演奏形態を揃えなくても、ひとつの括りはできるものなのかなって思いますね。
──音楽的に限定的な言葉で形容できるシーンではないですよね。アティチュードや雰囲気的な何か。age 今現在、深く関わっているのがおしゃってくれた1人のDJと2組なんですけど、ライブハウスとかクラブカルチャーとか、いろんなものがクロスフェードしているものの中心に、僕たちはいるんだって、思っています。それをもっともっと大きくして、いろんな人たちを巻き込んでいけるように、積極的に動きたいですね。
──では、続いて新作EP『miss u / C U L8er』の話に移ります。ここからは、今作のプロデューサーであるpavilion xoolさんにも加わっていただきます。前作のEP『luvsick』と比べて、すべての曲がクラブのピークタイムにかけれられそうな、ざっくり言うとアッパーな曲が揃っています。age そうですね。BPMも速くなっていますし、テンション感は違うと思います。そこは、僕たちがクラブにもよく出ているし、仲間にもたくさんのDJがいるし、そういう人たちにかけてもらって共存したいっていう目的はありました。あと今回は、自分のなかでのポップ・センスみたいなものを打ち出したくて、メロディックな曲をしっかり入れつつ、gatoらしいところに落とし込めたEPになったと思います。
1. miss u(prod by pavilion xool)
2. C U L8er(feat.telyoshi prod by pavilion xool)
3. cinema(prod by pavilion xool)
4. dawn(prod by pavilion xool)
5. throughout(prod by pavilion xool)